株式会社Lead accel

株式会社Lead accelの創業と資金調達のお知らせ

2025年12月09日

株式会社Lead accel
『原子力のゴミをエネルギーに変える』 東京科学大学の液体金属技術を応用した加速器駆動型未臨界炉の研究開発を推進




このたび、東京科学大学総合研究院ゼロカーボンエネルギー研究所准教授の近藤正聡により株式会社Lead accel(本社:東京都港区)が設立されました。当社は、東京科学大学の研究成果を活用したベンチャー企業として、同大学の「研究成果等を活用したベンチャー企業への称号の授与に関する規則」第6条に基づき、“東京科学大学認定ベンチャー(第20号)”の称号を授与されています。
当社が目指す加速器駆動型未臨界炉(ADS)について
世界中で稼働する約400基の原子炉では、原子力のゴミが発生しています。こうした原子力のゴミを高レベル放射性廃棄物として処分しようとすると、数万年という長期にわたり隔離して管理する必要があります。しかし、原子力のゴミの中に含まれるマイナーアクチニド*を消滅させることができれば、廃棄物の最終処分の負担を大幅に軽減できます。

ADSは、下図に示すような陽子加速器と液体重金属ターゲット**を組み合わせた未臨界原子炉です。加速した陽子を液体重金属ターゲットに照射することで、核破砕反応が発生し、大量の中性子が放出されます。その核破砕中性子によって、高濃度のマイナーアクチニドを含む核燃料を未臨界状態のまま核分裂連鎖反応させることができます。この過程で、マイナーアクチニドの核分裂反応や中性子捕獲反応によって核変換が進み、それらを効率的に消滅させることが可能です。こうしたADSの研究は世界的に実施されており、日本はその中心的な役割を担ってきました。

東京科学大学では、ADS開発においてコア技術となる液体重金属ターゲットに関する研究を20年以上にわたり継続的に推進してきました。液体重金属は構造材料を腐食してしまうことが長年の課題でしたが、東京科学大学ではこの課題を解決するために、液体金属中に溶けている酸素の量を適切に制御しつつ、材料表面に優れた保護性を有する酸化被膜を形成させ、材料と液体金属を安定的に共存させる技術を確立してきました。当社は、こうした技術を活かして、ADSの早期社会実装に向けた事業を推進してまいります。

*マイナーアクチニド: 原子力発電所で発生する使用済み核燃料の中に存在するネプツニウム(Np-237)、アメリシウム(Am-241、Am-243)、キュリウム(Cm-244)などの核種

**液体重金属ターゲット: 鉛とビスマスの合金で融点が約125℃と低い液体金属。


左:ADSで使用される液体重金属のイメージ写真 、右:加速した陽子を照射した液体重金属ターゲットの核破砕反応と中性子によるマイナーアクチニドの核変換

シードラウンドにおける資金調達について
当社の代表取締役の近藤正聡は、創業前よりベンチャーキャピタルANRIの鮫島昌弘氏と連携しながら、事業構想と準備を進めてまいりました。その取り組みが評価され、『世界を変える大学発スタートアップを育てる』ことを掲げるプラットフォームGreater Tokyo Innovation Ecosystem (GTIE)のGAPファンドプログラム<エクスプロール2年>に採択され、創業に向けた支援を受けることができました。この度、ANRI-GREEN1号投資事業有限責任組合より資金調達を実施し、東京科学大学で培ってきた液体重金属技術を基盤としたADSの実現に向けて、さらなる開発と社会実装に尽力してまいります。

投資家からのコメント
ANRI ジェネラル・パートナー 鮫島 昌弘氏
日本で長年にわたり研究が進められてきた加速器駆動型未臨界炉に取り組む企業が、日本から立ち上がったことを大変嬉しく思います。近藤正聡先生とは、事業化に向けて長年議論を重ねてまいりましたが、ついに会社設立に至りました。カーボンニュートラル社会の実現に向け、世界では原子力への期待が一層高まっていますが、原子力のゴミを適切に処理することは人類にとって極めて重要な課題です。この課題の解決に資する加速器駆動型未臨界炉の実現に向けて、全力で取り組んでまいります。

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