住友ベークライト株式会社

クリスマスに「採れたて」のぶどうを!

2025年11月11日

JA中野市と住友ベークライトが拓く長期貯蔵ぶどうの鮮度保持 新時代異業種が手を取り合い、「真冬のぶどう」を実現する共創の物語

包装材料の力で農業の未来を変える。住友ベークライトは、JA中野市と共に「真冬のぶどう」を実現しました。異業種が手を取り合い、長期貯蔵ぶどうの鮮度保持という難題に挑んだ共創の物語です。



JA中野市

園農部園芸課 指導販売係長(ぶどう担当) 清水達哉


住友ベークライト株式会社 

フィルムシート営業本部 P-プラス・食品包装営業部  天井 憲一

ぶどうに対する需要に応えたいという思い

日本のぶどうは、一般的に6月から出回り始め、7~9月頃に最盛期を迎えます。しかし、クリスマスや年末年始といった特別なシーズンにも「採れたての美味しさ」を求める声は年々高まってきました。家族や友人と過ごす食卓、贈答品としての特別な果物――12月は市場の需要がピークに達する時期です。


特別なシーズンの食卓を彩る特別なぶどう


こうしたニーズに応えるため、長野県北部で高品質なぶどうを生産するJA中野市は「クリスマスにも美味しいぶどうを届けたい」という課題に直面しました。しかし、これまでの長期貯蔵では、品質劣化が避けられず、挑戦は容易ではありませんでした。

この難題に対し、住友ベークライトは鮮度保持フィルム「P-プラス」を提案。独自の微細孔技術により、ぶどうを“冬眠状態”に保つことで、真冬でも高品質なぶどうを届ける技術を紹介しました。

JA中野市が誇る、栽培の土台と情熱

果樹栽培に最適な「扇状地」:JA中野市の基盤


長野県北部に位置するJA中野市は、志賀高原と善光寺平に囲まれた扇状地という、果樹栽培に最適な地形と気候に恵まれた地域です。この地で昭和30年頃から始まったぶどう栽培は、現在では576名の部会員が約360ヘクタールの面積で取り組む一大産業となっています。


JA中野市がこだわっているのはただ量を作ることではなく“最高の品質”です。そのため、年間50回以上の生育に合わせた栽培講習会を行っています。さらに、共選所では検査員が1箱ずつ丁寧に点検し、品質に応じて精算金額を調整する仕組みを導入しています。


JA中野市 園農部園芸課V指導販売係長(ぶどう担当) 清水達哉(以下JA中野市 清水)

「品質にこだわることで、市場はもちろん消費者の信頼を得ることができ、生産者の収益にもつながります。新規栽培者向けの講習会も開催し、地域全体で品質向上に取り組んでいます」

真冬にぶどうを届ける挑戦、そして立ちはだかる壁

「クリスマスに届けたい」――それは長期出荷という難題への挑戦


生産者のたゆまぬ努力により、JA中野市のぶどうは高い評価を得ています。しかし、JA中野市には新たな市場ニーズが寄せられていました。それが「冬にも新鮮なぶどうを届けてほしい」という声です。特に、贈答需要が高まるクリスマスシーズンに向けた出荷の要望は年々高まっていました。

平成27年から本格的に長期貯蔵ぶどうの出荷に取り組み始めたJA中野市ですが、そこには大きな課題が立ちはだかっていました。貯蔵中に発生する灰色かび病や軸枯れといった品質劣化です。これらは、せっかく収穫された高品質なぶどうの価値を損なう深刻な問題でした。


JA中野市 清水

「長期保存を目指す中で、ぶどうの軸が枯れてしまったり、カビが発生したりすると、見た目も味も大きく損なわれてしまいます。生産者にとっても、流通業者にとっても非常に頭の痛い問題でした」


貯蔵の課題:左から『灰色かび病』 『冷蔵焼け』 『軸枯れ』

鮮度保持の鍵は「冬眠」── P-プラスとの出会い

この課題を解決するために、JA中野市が注目したのが、住友ベークライトが開発した鮮度保持フィルム「P-プラス」でした。P-プラスは、果実の呼吸に合わせて袋内の酸素と二酸化炭素の濃度を調整することで、果実を“冬眠状態”に保ち、鮮度を長期間維持することができる特殊なフィルムです。


様々な青果の鮮度保持に活用されている『P-プラス』


住友ベークライト フィルムシート営業本部 P-プラス・食品包装営業部  

天井 憲一 (以下 住友ベークライト天井)

「P-プラスは、30年以上にわたる研究開発の成果です。微細な孔を持つフィルムが、果実の呼吸に合わせてガスバランスを調整し、鮮度を保ちます。ぶどうに限らず、さまざまな青果物で活用されています」


JA中野市 清水

JA中野市は、住友ベークライトの鮮度保持フィルム「P-プラス」を導入するにあたり、段階的な試験を実施しました。第一段階の初期試験では、収穫直後のぶどうを1房ずつP-プラス袋に入れ、冷蔵庫で一定期間保存しながら、軸枯れや灰色かび病の発生状況、果粒の硬さ、糖度の変化を細かく記録しました。

その後、複数房入りの大袋での試験に移行し、定量的な調査で品質保持効果を確認するとともに、生産者への聞き取り調査を行い、鮮度保持効果を実感できるかを検証しました。


「P-プラスを使うことで、ぶどうがまるで“冬眠”しているかのように、収穫時の鮮度を保ったまま出荷できるようになりました。これは本当に画期的な技術です」


試験の様子と冬眠がしていたかのようなぶどう

導入の成果──出荷量5倍、生産者の声も後押し

P-プラス導入後の成果は、数字にもはっきりと表れています。冷蔵ぶどうの出荷・販売実績は平成28年と比較して5倍に伸長し、取り組みに参加する出荷者数も2.8倍に増加しました。さらに、生産者への聞き取り調査では、72%がP-プラスの鮮度保持効果を実感していると回答しています。



JA中野市 清水

「出荷時期を分散できることで、市場価格が高い時期に販売できるようになり、結果として生産者の収益向上にもつながっています。経営の安定化という面でも大きな効果がありました」



冷蔵ぶどう出荷実績


生産者への鮮度保持効果についての聞き取り調査

共創がもたらす、持続可能な農業の未来


住友ベークライト 天井

「JA中野市の情熱と、住友ベークライトの技術が融合したこの取り組みは、単なる技術導入にとどまらず、地域農業の未来を切り拓く共創のモデルとなっています。私たちは素材メーカーとして、現場の課題に寄り添いながら、持続可能な食の未来に貢献していきたいと考えています。JA中野市との取り組みは、その象徴的な事例です。今後もこうした共創を通じて、社会課題の解決に取り組んでまいります」



この取り組みは、地域の枠を越えて、農業の可能性を広げる一歩となりました。もし同様の課題に直面している生産者やJAの方々がいらっしゃれば、ぜひ私たちにご相談ください。現場の声に耳を傾け、共に解決策を見つけていくことが、持続可能な農業の未来につながると信じています。



※掲載された商品名・会社名・ブランド名は、 各社の商標または登録商標です。





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