株式会社マリングレイス
卸売市場から飲食店へ “魚屋の三方よし”を体現する店 滋賀県草津市にオープン
2025年11月20日
魚のプロが海なし県で挑む「ここが滋賀の海」
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(写真左から料理長 辻・株式会社マリングレイス代表取締役 田中・店長 田邊)
「魚屋直営 旬魚と鯛しゃぶ 静屋(しずや)」──2025年11月、滋賀県草津市にオープンした、鯛しゃぶを看板料理に掲げる飲食店です。運営するのは、大津市公設地方卸売市場内に拠点を構える水産卸「株式会社マリングレイス」。
今回は、魚の目利きとして長年市場に立ち続けてきた代表取締役・田中一男さんに、新たな挑戦の背景や、店づくりに込めた想いについて、お話を伺いました。
初の飲食店経営への挑戦
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「魚屋直営 旬魚と鯛しゃぶ 静屋」外観
もともと若いころから「いつか飲食店をやってみたい」という夢を抱いていました。コロナ禍を経て飲食業界が大きく変化する中、魚離れが進む現状を目にし、「魚の魅力を新しい形で伝える挑戦」が必要だと強く感じました。魚を食べない人や苦手な人も、普段はなかなか出会えない希少な魚や規格外の魚と触れ合うことで、新しい感動を味わえる――そんな体験を届けたいと思いました。
当社は鮮魚の仲卸業を営んでおり、全国の漁港とのつながりや仕入れルートを持っています。このネットワークを活かして、海のない滋賀でも「普段は出会えない魚」を届けられる店をつくりたいと考えました。そして、旬の魚はもちろん、規格外でも味は一級品の魚や、計画生産・持続可能な養殖で育てたオリジナルブランド「山崎真鯛」など、さまざまな魚を通じて、地元の食文化や魚食の楽しみ方に新しい価値を生み出していきたいと考えています。
そんな折に、理想の物件と巡り合い、料理人の辻(つじ)氏にもこの構想を話しました。辻氏は私の想いに深く共感し、迷わず料理長として参加を決意してくれました。店長の田邊(たなべ)は、2年前から当社で共に歩み、喜びも苦労も分かち合ってきた、かけがえのない仲間です。信頼できる仲間が揃い、理想の場所とのご縁も重なったことで、長年の夢だった出店に踏み切ることができました。一つひとつの出会いや縁に感謝しながら、ここから新たな挑戦が始まります。
それ以来、じっくりと準備を重ね、店舗のコンセプトづくりやメニュー開発に取り組んできました。この店では、卸業者として培った目利きと仕入れ力を活かし、全国の漁港から届く魚の魅力を丁寧に引き出します。規格外や一般にはあまり出回らない希少な魚も大切に扱い、料理を通して新しい魚体験を提供します。そして、地域の皆さまと対話を重ねながら、「ここが滋賀の海」と感じていただける、心に残る特別な場所に育てていきたい――それが私たちの強い想いです。
既存の飲食店と共存しながら、魚文化の新しい価値を草津から発信していく――これが私たちの挑戦です。
「若くても信頼できる、魚を愛する店長」
― 社長が語る、店長・田邊健人さんへの期待 ―
Q:店長の田邊健人(たなべ けんと)さんついてお聞かせ下さい。
今回、新たにオープンする店舗の店長には、真面目で誠実な人柄を信頼して田邊くんに務めてもらうことにしました。
田邊店長は2年前から当社の従業員で、前職は料理人として現場で経験を積んできた若き人材です。魚への深い知識と愛情を持ち、食材を丁寧に扱うその姿勢には、年齢以上の落ち着きと誠実さが感じられます。店舗オープンの話を持ちかけたところ、田邊店長は迷わず「ぜひやらせてください」と快諾してくれました。その意欲と前向きさは、若いながらも非常に頼もしいと感じました。細やかな気配りと真面目な性格もあり、安心して店長を任せられる人物です。田邊店長は、料理人としての経験を活かすだけでなく、スタッフのまとめ役としても活躍できる力があります。お客様とのコミュニケーションを大切にし、魚の魅力を最大限に引き出した料理と、心地よいサービスの両立を目指しています。
フレッシュな感性と前向きな意欲を持つ田邊店長と共に、新しいお店を一から創り上げ、滋賀県の皆さまに海の魅力を届ける、特別なお店に育てていきたいと思います。
「魚の魅力を最大限に伝えてくれる料理人」
― 社長が語る、料理長・辻氏への信頼 ―
Q:料理長の辻 義晴(つじ よしはるさん)さんについてお聞かせ下さい。
今回、当社が草津に新しくオープンする飲食店の料理長として、辻氏をお迎えすることになりました。辻氏と初めて出会ったのは、当社が食材を納めているホテルでのことです。厨房で魚を扱うその姿を見て、「この人は本当に魚を理解している」と強く感じたのを今でも覚えています。魚を手にしたときの繊細な目配りや、一匹一匹に対する丁寧な向き合い方に、料理人としての誇りと責任感が滲んでいました。
辻氏は、滋賀のリゾートホテルでレストラン調理長を務めたのち、京都の高級ホテルで料理長として腕を振るいました。さらに、大阪のホテル内の鉄板焼レストランにおいてシェフとして活躍し、琵琶湖周辺の食材や全国各地の魚介を巧みに取り入れた料理で高い評価を得ています。長年ホテルの現場で培ってきた経験と確かな技術を持つ辻氏は、魚の個性を見極め、その魅力を最大限に引き出すことに長けています。どんな魚であっても、最もおいしい状態を逃さずに一皿へと仕立てるその手腕は、まさに“魚を知る料理人”の真骨頂です。今回、そんな辻氏を料理長としてお迎えできることを、心から嬉しく思っています。
希少魚や規格外魚といった、通常では扱いの難しい魚でさえも、辻氏の手によって新たな価値を持つ料理へと生まれ変わります。卸直営ならではの鮮度と味わいを存分に活かし、「ここが滋賀の海」と感じていただけるような特別な食体験を、辻料理長とともにお届けしてまいります。
山崎真鯛──2年かけて育てる“見えない価値”と“確かな美味しさ”
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オリジナルブランド 山崎真鯛
Q:看板料理である「鯛しゃぶ」に使われている山崎真鯛(やまさきまだい)について教えてください。
「山崎真鯛」は、当社が自信を持ってお届けするオリジナルブランドです。
名前の由来は、かつて滋賀のホテルで料理長を務めた山崎さん。その方が掲げた「生産者良し・飲食業良し・消費者良し」という“三方よし”の精神を大切に受け継いでいます。
この真鯛は、約10年前から計画的に生産・出荷を行っているもので、愛媛県宇和島の養殖業者さんが2年かけて丁寧に育てています。単に安定した品質や価格を実現するだけでなく、養殖業の未来を支えるモデルケースとしても注目されています。
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看板メニューの鯛しゃぶ
養殖現場では、時間をかけてじっくりと育てることで、身の締まりと旨みを最大限に引き出しています。恵まれた自然環境の中で伸び伸びと育った真鯛は、滑らかな舌触りと歯ごたえのあるしっかりした身質が特長。独自の割合で配合した安心・安全な天然原料の餌を使用しており、筋繊維が細かく細胞の大きさが均一な身に仕上がります。余分な水分や脂質を抑えることで、ほどよい弾力と上品な甘みを感じられるのも魅力です。さらに、脂質量を天然真鯛に近づけることで、鮮度劣化の遅い身質を実現。臭みが少なく、ふっくらとした上質な味わいをお楽しみいただけます。
また、計画的な生産と出荷により、年間を通じて安定した価格でご提供することが可能です。こうした取り組みは、次世代へと続く“持続可能な養殖”の一つの形としても期待されています。
希少魚や規格外魚を無駄なく活用し、新たな価値を生み出す挑戦も進めており、ぜひその背景にもご注目ください。
「落ち着いた空間で、ゆっくり魚を味わってほしい」
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店内はテーブル席のほかにカウンター席や個室もあります
Q:店名の「静屋(しずや)」には、どのような意味が込められていますか?
草津駅から徒歩5分という便利な立地にありながら、少し裏通りに入った静かな場所にお店があります。店名の「静屋」は、そんな落ち着いた空間で、ゆっくりと魚を味わってもらいたいという思いから名付けました。
賑やかな日常から少し離れ、穏やかな時間の中で丁寧に仕上げた料理を味わっていただきたい。そして、一皿一皿に込めた想いや、食材が育った背景を感じながら味わっていただけたら嬉しいです。
Q:提供しているお料理について教えてください。
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開けた瞬間に笑顔がこぼれる、彩り豊かな三段弁当
ランチでは、女性のお客さまにも気軽にお越しいただけるよう、三段の折に詰めた昼限定メニュー「旬魚三段お弁当」をご用意しています。開けた瞬間に思わず“わっ”と笑顔がこぼれる、季節を詰めた彩り豊かな三段弁当です。華やかで心躍る見た目と、ひとつひとつ丁寧に仕上げた味わいをお楽しみいただけます。
旬の食材を生かし、味わいはもちろん、盛りつけからも四季の移ろいを感じていただけるよう一品一品丁寧に仕上げています。それぞれの料理に込められた想いや食材の魅力を感じながら、ゆっくり味わっていただける、特別なランチです。
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山崎真鯛の旨みを、贅沢に味わう夜限定の鯛しゃぶコース
夜は、当社自慢の山崎真鯛を、旨みを引き立てる特製の出汁でゆっくりと楽しむ「鯛しゃぶコース」をご用意しています。出汁の香りとともに、鯛の豊かな甘みと旨みが口いっぱいに広がり、ふっくらとしながらも弾力のある身の食感を味わっていただけます。
さらに、季節ごとに水揚げされる旬の魚を使った一品料理や、料理長おまかせのコースもあり、その日の食材やおすすめを活かした多彩な味わいをお楽しみいただけます。訪れるたびに新しい味わいとの出会いを感じながら、ゆったりとした時間の中で、ひと皿ひと皿に込められた食材や料理人の想いを味わっていただける、特別な夜のひとときです。
「ここが滋賀の海、海を感じるひとときを」
お店のコンセプトは、「ここが滋賀の海」。海のない滋賀でも、新鮮な海の幸を身近に感じてほしい――そんな想いを込めたお店です。琵琶湖の恵みと全国各地の魚介の魅力を滋賀の地で表現し、ここでしか味わえない“海を感じるひととき”を楽しんでいただければ嬉しいです。
いつも人に助けられている
Q:ご苦労はありましたか?
決して順風満帆だったわけではありません。特にコロナ禍は、予想もしなかった困難の連続でした。思い通りにいかないことも多く、先が見えない日々に不安を感じることもありました。それでも、私たちは「今、自分たちにできること」をひとつずつ丁寧に積み重ねていきました。
小さな一歩を重ねる中で気づいたのは、周りの人たちの存在の大きさです。人手不足が課題と言われている中、私たちは採用や運営で困ることがほとんどありません。それは、周囲に信頼できる、温かい人たちがたくさんいたからです。従業員や取引先、地域の方々――本当に多くの人たちの支えがあったからこそ、困難な時期を乗り越えられました。
こうした経験を通して改めて感じるのは、人に助けられて生きているということのありがたさです。
これからも支えてくれるすべての人への感謝を胸に、一歩一歩、丁寧に歩んでいきたいと思っています。
飲食店にとどまらない「魚屋の三方よし」
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宇和島産の山崎真鯛
Q:飲食店事業への挑戦に対する考え方を教えてください。
私たちにとって、飲食店は「ただ美味しい料理を提供する場所」ではありません。魚を育てる生産者にとって、一番困るのは、せっかく丁寧に育てた魚が安く買い叩かれたり、適切なタイミングで出荷できなかったり、市場の需要と合わず正当に評価されなかったりすることです。
そこで私たちは、自社で仕入れ量を年間単位で約束し、安定して買い取る仕組みをつくっています。これにより、生産者は安心して魚を育てることができ、価格も安定し、品質も向上します。そして、私たちの使命は、そうして大切に育てられた魚を、価値あるかたちでお客さまに届けること。生産者からいただいた「命の恵み」を、きちんと形にして返していく――それが、このお店の役割のひとつだと考えています。
さらに、卸業者として培ってきた目利きの力を生かし、海の資源を大切にする取り組みも行っています。一般にはあまり出回らない希少な魚や規格外の魚も無駄にせず活用し、新しい価値を生み出すことで、海の恵みを最後まで味わっていただけるよう心がけています。
私たちの挑戦は、単なる飲食店の枠を超え、魚を育てる人、調理して届ける人、味わう人――すべてが幸せになれる「三方よし」の仕組みを実現すること。その想いを、このお店から一人でも多くの方に伝えていきたいと思っています。
滋賀の魅力を“発信して送り出す”存在へ
Q:未来への展望はありますか?
これまで多くの方に支えていただいたからこそ、今度は自分たちがその恩を返していきたいと考えています。「静屋」を単なる飲食店ではなく、学びの場(研修センター)としても位置づけ、将来飲食店を開きたいと考えている人たちが、仕入先や魚の目利きに詳しくなくても挑戦できる環境をつくっていきたいと思っています。
また、鮮度の良い魚をリーズナブルに、多くの方に楽しんでいただくことも、この店の大切な役割です。さまざまな魚との出会いを通じて、「魚が苦手」という方にもその美味しさを知ってもらい、魚食文化の魅力を広げていきたいと考えています。
そして、将来的には、加盟店のような形でお店を増やし、仕入れを自社と契約してもらうことで、生産者にこれまで以上に安定した供給を約束できる体制を構築したいと考えています。これも「魚屋の三方よし」という理念につながる取り組みのひとつです。
社名「マリングレイス」には、“マリン”=海、“グレイス”=恵み――つまり「海の恵み」への感謝と敬意の想いが込められています。現在は全国から魚を仕入れ滋賀で提供していますが、今後は逆に、滋賀の特産品を全国、さらには海外へと発信していくことも視野に入れています。最終的には「地域の総合商社」のような存在を目指し、その中の拠点のひとつとして「静屋」を位置づけています。
これからも“魚の魅力をもっと身近に、もっと楽しく”伝えながら、食の未来や地域の食文化に貢献していきたいと思っています。やりたいことは、まだまだたくさんあります。すべてを実現しようと思ったら――きっと150歳までかかると思います。それでも、一歩ずつ丁寧に、想いを形にしていきたいと考えています。
■店舗情報
店名:魚屋直営 旬魚と鯛しゃぶ 静屋(しずや)
所在地:滋賀県草津市大路1丁目12番3-4号 1F(草津駅より徒歩5分)
電話番号:077-543-8386
営業時間:ランチ 11:00~14:00 / ディナー 17:30~23:00
席数:31席(カウンター・テーブル・個室あり)
定休日:水曜日
Instagram:https://www.instagram.com/shizuya_dining/
■会社概要
会社名:株式会社マリングレイス
所在地:滋賀県大津市瀬田大江町59-1(大津市公設地方卸売市場内)
代表者:代表取締役 田中一男
事業内容:鮮魚仲卸業
取扱商品:鮮魚・冷凍魚・高級珍味・業務用食材卸売・食品加工(鮮魚品)・ゴルフコンペ商品(海鮮品)・ギフト商品(海鮮品)
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