医療法人社団養高会

「地域医療を未来へつなぐ」小澤典行理事長が挑む高野病院再建の軌跡

2025年12月01日

東日本大震災と原発事故の影響を受けながらも、地域医療の灯を絶やさず歩み続けてきた医療法人社団養高会(ようこうかい)が運営する福島県・高野病院。2023年11月、その舵を取ったのが循環器内科医であり、医療経営改革の専門家・小澤典行理事長です。「医療は人の命と暮らしを守る社会基盤」との信念のもと、診療体制の再構築、在宅医療の推進、人材育成を三本柱に、地域とともに生きる新しい医療の形を描いています。

小澤典行理事長とは ― 経歴と人物像

富山大学医学部を卒業後、循環器内科・救急医療の現場で数多くの命と向き合ってきた小澤典行理事長。心臓病治療のスペシャリストとして培った経験をもとに、複数の医療機関の経営再建にも成功してきました。医師でありながら経営者としての視点を持ち、地域医療を持続可能な形で守ることを使命としています。


心臓病治療・救急医療で培ったキャリア

小澤理事長は、循環器疾患や下肢血管治療など、命に直結する高度な医療分野で長年臨床に携わってきました。特に救急医療の現場では、迅速な判断と冷静な対応力が求められます。その経験を通じて、「医療は人の命と暮らしを守る最後の砦である」という信念を確立しました。


複数病院の再建に成功した経営者としての顔

臨床医としてだけでなく、医療経営の専門家としても高い実績を持つ小澤理事長。過去には複数の病院で経営改革に携わり、医療の質を保ちながら持続可能な経営体制を築いてきました。現場を知る医師だからこそできる「医療現場と経営の両立」を信条とし、医療従事者が誇りを持って働ける環境づくりを推進しています。


理念「医療は人の命と暮らしを守る社会基盤」

理事長が一貫して掲げるのは、「医療は単なるサービスではなく、社会を支える基盤である」という考え方です。患者さんの治療だけでなく、地域全体の健康や安心を守る存在でありたい。その理念は、高野病院の運営方針にも息づいています。


被災地に残る決意 ― 高野病院との出会い

東日本大震災と原発事故の影響を大きく受けた福島県双葉郡広野町。そんな中でも高野病院は、避難せず医療提供を続けた数少ない病院のひとつでした。その姿勢に深く感銘を受けた小澤理事長は、地域医療の灯を消さないために経営を引き継ぐ決意を固めました。


東日本大震災後も診療を続けた病院の現実

2011年3月の震災と原発事故により、多くの医療機関が一時休止を余儀なくされました。そんな中、高野病院は避難せず診療を継続。地域の「最後の砦」として、患者さんの命を守り続けました。医療スタッフの献身と地域住民の支えが、病院を今へとつなげています。

事業承継のきっかけと地域への想い

小澤理事長が高野病院の経営を引き継ぐ決意をしたのは、「地域医療の再生なくして復興なし」という想いからでした。高齢化が進む広野町で、住民が安心して暮らせる医療体制を守ること。それが、理事長にとっての新たな使命となりました。

旧理事長・高野己保氏との対話から生まれた信頼

高野病院の前理事長・高野己保氏との出会いは、地域医療の未来を語り合う真摯な対話から始まりました。震災を乗り越え、地域を支えてきた高野氏の志に共鳴した小澤理事長は、その想いを継承しながら新たな体制づくりに着手。両者の信頼関係が、現在の高野病院の礎となっています。


病院再建の3本柱 ― 小澤典行が重視する経営戦略

高野病院は、震災と復興を経てなお地域に根差す医療機関として、確かな再建の歩みを進めています。その中心に立つのが、2023年11月に理事長へ就任した小澤典行です。

循環器内科と救急医療、そして病院経営改革を専門としてきた小澤は、地域医療の再生に必要な3つの柱を掲げました。それは「診療体制の再構築」「地域密着型の在宅医療」「職員の働きやすさと成長支援」です。

これらはすべて、地域住民が「住み慣れた町で安心して医療を受け続けられること」を目的としています。

①診療体制の再構築と精神科再開

震災後に一時閉鎖していた精神科病棟を、2012年に再開した高野病院。その後も継続的な施設改修を行い、2018年には認知症治療病棟として再編しました。

これにより、身体疾患と認知症を併せ持つ高齢患者への包括的な治療体制が整備され、現在は療養病棟60床、認知症治療病棟49床、計109床を稼働しています。

また、杏林大学医学部付属病院との連携による内視鏡専門外来など、専門医療の強化にも取り組んでいます。

今後は、循環器や脳神経領域の治療精度を高め、急性期から慢性期、在宅までを一貫して支える診療モデルを確立する方針です。

②訪問診療・訪問看護による地域密着型医療

高野病院では、通院が困難な患者さんのもとへ医師や看護師が訪問する「訪問診療」「訪問看護」を積極的に実施しています。

訪問診療では、患者や家族の生活リズムに合わせた診療計画を立て、症状の安定化と生活支援を両立。訪問看護では、バイタルチェックや医療処置だけでなく、療養相談にも対応しています。

これにより、「病院の医療を地域へ運ぶ」仕組みが整い、在宅療養者や高齢者施設との連携が進んでいます。

地域医療連携室を中心に、紹介・転院・退院支援まで一貫したサポート体制を構築しており、地域完結型医療の実現を目指しています。

③働きやすい環境づくりと人材育成

高野病院のもう一つの柱は「人」です。

看護部をはじめとする全職種で**キャリアラダー制度「高野ラダー」**を導入し、段階的な教育と評価を実施。看護師の専門性と誇りを育てる職場づくりを進めています。

また、職員間の「褒める・讃える」文化を院内掲示で可視化し、チーム全体のモチベーション向上を図っています。

長時間労働是正のため、病状説明の対応時間を明確化し、医療者の健康維持にも配慮。

「医療の質」と「働く人の幸福度」を両立する経営体制を整備し、持続可能な地域医療の実現を目指しています。

地域とともに歩む ― 高野病院の現在と挑戦

福島県双葉郡広野町に位置する高野病院は、太平洋と阿武隈山地に囲まれた自然豊かな環境の中で、地域に根ざした医療を提供しています。1980年の開設以来、震災や原発事故といった困難を乗り越え、地域住民の「健康であり続けたい」という願いを支え続けてきました。現在も「地域に信頼される病院」として、患者一人ひとりに寄り添う医療を実践しています。

広野町の高齢化と医療需要に向き合う

広野町を含む双葉郡では高齢化が進み、慢性疾患や認知症に関する医療需要が増加しています。高野病院では、内科療養病棟と認知症治療病棟を中心に、高齢者の「健康寿命」を延ばす取り組みを行っています。


入院医療だけでなく、訪問診療・訪問看護・リハビリテーション栄養など、在宅生活を支える多職種連携体制を整備。患者さんが「自分の故郷で安心して暮らし続けられる」ことを目的に、地域包括ケアの一翼を担っています。

クラウドファンディングやICT活用による地域連携

震災以降、医療資源の不足や交通課題が深刻化する中で、高野病院はICT(情報通信技術)の導入を進め、遠隔医療・オンライン診療・データ共有などの仕組みを活用しています。また、地域医療連携室を中心に、他医療機関や介護施設との連携を強化。患者の入退院支援や在宅療養支援をスムーズに行う体制を築いています。


さらに、地域課題に対応するためにクラウドファンディングなどを通じた医療設備の整備支援にも取り組み、地域の人々と「共に創る医療」を目指しています。こうした取り組みは、持続可能な医療モデルとして注目されています。

福島・双葉郡の“医療の砦”としての役割

2011年の東日本大震災と原発事故の際、高野病院は避難せずに地域医療を継続し、復興の中核として機能しました。その精神は今も受け継がれています。医療法人社団養高会 理事長 小澤典行氏、院長 社本博氏のもと、「患者さんと地域のために医療を止めない」という理念を貫き、地域医療の最前線で使命を果たしています。


今後も、高野病院は医療・福祉・地域連携を三位一体で推進し、双葉郡における“医療の砦”としての責務を果たし続けます。朝日に輝く広野町の海のように、明るく穏やかな未来を見据えながら、地域とともに歩み続ける病院でありたいと考えています。

震災を越えて ― 継承される高野病院の理念

福島県双葉郡広野町。海と山に抱かれたこの地で、高野病院は地域医療の砦として歩みを続けています。1980年の開設以来、地域の暮らしとともに在り続け、東日本大震災と原発事故という未曾有の危機においても、その灯を消すことはありませんでした。

どんな時も患者さんの命を守るという信念のもと、避難せず医療提供を継続したその姿勢は、今も職員一人ひとりに息づいています。

初代理事長・高野英男氏の精神

初代理事長・高野英男氏が掲げた理念は、「あたたかでやさしい心のつながりを大切にし、心身両面に目が届く医療を提供する」というものでした。

創設当初から地域に信頼される病院づくりを目指し、病床を拡大しながらも“人と人との関係を何よりも大切にする”姿勢を貫きました。職員に配られた「職員心得メモ」は今なお大切に受け継がれ、その精神が高野病院の根幹を支えています。

「患者第一」を貫く医療姿勢

震災後も、地域住民の健康を守るために医療提供を続けた高野病院。その原動力は、医療の原点である「患者第一」の理念です。


療養病棟では、急性期治療を終えた方が安心して療養を続けられる環境を整え、認知症治療病棟では、患者さんのプライバシーを尊重しながら短期集中治療と地域復帰支援を実施しています。


また、「最期まで口から食べる」という栄養方針や、地域医療連携・訪問診療体制の充実など、患者さんの生活を支える取り組みを地道に続けています。

新旧理事長が目指す“次の50年”

2023年11月、小澤典行理事長が就任しました。富山医科薬科大学卒業後、循環器内科と救急医療、病院経営改革を専門としてきた小澤理事長は、震災以降も地域医療を守り抜いた前理事長・高野己保氏やスタッフの姿に感銘を受け、その志を継ぐ決意を固めました。

「地域に信頼される病院として、質の高い医療とあたたかい心を届けたい」

その思いのもと、医療体制の充実、ICT化の推進、そして地域と共に育つ医療福祉の実現を目指しています。

朝日に輝く広野町の海のように、希望に満ちた未来のために。高野病院は、これからも地域とともに歩み続けます。

未来へのビジョン ― 持続可能な地域医療を目指して

高野病院は、福島県双葉郡広野町という自然豊かな地域で、40年以上にわたり地域医療を支えてきました。震災や人口減少といった厳しい環境の中でも、「地域に信頼される病院」という理念を守り抜き、住民の皆さまが安心して暮らせる医療環境の維持と発展に努めています。これからも地域の方々とともに歩み、医療の質と人の温かさを両立した「持続可能な地域医療モデル」を実現してまいります。

地域密着型医療のモデルケースを全国へ

高野病院では、内科療養病棟と認知症治療病棟を中心に、高齢化が進む地域の現実に即した医療体制を整えています。訪問診療・訪問看護・リハビリテーション栄養など、医療と生活支援を一体で行う仕組みを確立し、在宅医療や介護との連携を強化しています。

今後は、地域で培ったこのノウハウを全国へ発信し、地方における「地域完結型医療」のモデルケースとして貢献していきます。

次世代育成・医療人材のリーダーシップ教育

医療の継続には「人の力」が欠かせません。当院では、医師・看護師・セラピスト・管理栄養士など、多職種が互いに学び合い、尊重し合う風土を大切にしています。

また、若手職員のキャリア支援制度「高野ラダー」や段階別教育システムを通じて、専門性だけでなく、地域医療のリーダーとしての視点を育む教育を推進。将来を担う人材が、誇りを持って働ける環境を整えています。

「医療×経営×地域」で日本の医療を変える挑戦

理事長・小澤典行は、循環器内科・救急医療・病院経営改革の専門家として、医療の現場と経営の両軸から地域医療を支えています。医療の質を守りつつ、持続可能な経営基盤を築くこと。それが、地方医療の未来を左右する最重要課題です。

高野病院は、医療の枠を越え、「地域共創」の視点から福祉・介護・防災・教育などの分野とも連携し、住民の暮らし全体を支える仕組みづくりに挑戦しています。

まとめ

小澤典行理事長が掲げる「医療を未来につなぐ経営」とは、単に病院経営の効率化を目指すものではありません。震災後の地域医療の空白を埋め、再び地域に「安心して暮らせる日常」を取り戻すという強い使命感に基づいた取り組みです。


高野病院は、地域に根ざした医療機関として、医療の質と人の心を両立させることを目指しています。医療の現場で培われた確かな技術と、患者さん一人ひとりに寄り添う温かい姿勢が、地域の信頼を支えています。


病院再建の歩みは、単なる数字の回復ではなく、「人の命と地域の暮らしを守る挑戦」そのものです。職員一人ひとりが誇りを持ち、患者さんの笑顔を支える。その積み重ねが、未来の地域医療を創り出しています。


これからも高野病院は、広野町の豊かな自然とともに、「地域と共に生きる医療」を実践し続けてまいります。




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