Raise the STREAM

全員がアマチュア!立川のオーケストラ「Musica Promenade」が届ける、「楽しく上手い」音楽

2025年12月15日

今年大ヒットした映画『ベートーヴェン捏造』をご存知でしょうか。歴史ノンフィクションの傑作『ベートーヴェン捏造 名プロデューサーは嘘をつく』の実写映画です。


実はこの映画、指揮者を含む全員がアマチュアのオーケストラ「Musica Promenade(ムジカ・プロムナード)」が出演しているのです。


「Musica Promenade」は、結成から20年以上、コンセプト性の高い自主公演やファミリーコンサート、学校・施設での演奏など、地域に根差した活動を数多く行っています。


映画『オケ老人!』での出演・劇中⾳楽の担当や、テレビ朝日『仮面ライダービルド』への出演など、映画やTVでも活躍するほか、岩手県釜石市での演奏活動が評価され、第2回・第6回ウィーン・フィル&サントリー音楽復興祈念賞を受賞しています。


現在は、立川市を拠点に活動する「Musica Promenade」。今回は、立ち上げから現在までの活動、そして未来への思いについて、代表であり指揮者の瓦田尚に広報から話を聞きました。

「楽しく上手く」を追求したオケを

―オーケストラを立ち上げようと思った理由は?


もともと大学に入ったらオーケストラに入りたかったんです。でも大学のオケは雰囲気が合わなくて、1週間でやめてしまいました。他の大学オケも調べましたが「これ!」というところがなかったので、「じゃあ、自分で作ろう」と思ったのがオケを作ったきっかけです。いわゆる若気の至りでしたね!


既存のオケを見渡すと「厳しくて上手い」か「ゆるいけど上手くない」かの両極端でした。だから、誰もが目指せるような「楽しく上手く」を追求したオケを作りたいという想いは強くありました。


―すぐにメンバーは集まりましたか?


もともとの知り合い数人に加え、僕がいろんな団体に顔を出したり、当時流行っていた

Yahoo!掲示板で募集しました。ところが、ネットで集まったメンバーが中心となって準備を進めていた最初の演奏会は途中で頓挫してしまいました。‶幻の第0回”です。


そんなことがありながらも「もっとのんびりやれる人でやればいいんじゃない」と声をかけてくれる人がいて、第1回演奏会にこぎつけました。


第1回演奏会で挑んだベートーヴェン第九

―記念すべき第1回は、荒川区民会館(サンパール荒川)でベートーヴェン第九演奏会を開催していますね。

今では「Musica Promenade」を象徴する曲です。この曲を選んだ理由は?


僕がオケの魅力を知ったのが、故郷である岩手県釜石市で続いていた「かまいしの第九」だったからです。いつかやりたいと思っていたので、最初から挑戦することにしました。


当時、第九の合唱団は全く集まらず、オケも数人でスタートしました。ところが、練習終わりに飲みに行った居酒屋で「このままじゃまずい...どうしようかねー」と話していた僕たちの隣の席で、第九の歌詞「フロイデシェーネル」と言ってる人たちがいたんです!


「これは!」と思って、すぐに声をかけたところ、第九を歌っている合唱団の人たちだったので、その場でスカウトしました。ドラマのような出会いでしたね。


名前に込めた想いとオーケストラの特色

―「Musica Promenade」という名前に込めた想いは?


ムジカはイタリア語で「音楽」。プロムナードは「散歩道」という意味なのですが、僕は「逍遥」という言葉も好きなので「のんびり自分のペースで」という意味を込めました。


―「Musica Promenade」の特徴は?


最大の特徴は、指揮者である僕自身がプロではないことですね。アマチュアオーケストラでも指揮者だけはプロを呼んでいるのが一般的なんですよ。


あとは、家族で参加できるオケというのも特徴ですね。お子さんを連れて参加してるメンバーがいたり、なかには赤ちゃんを練習に連れてくる人もいます。


―どんな方が何名くらいで活動していますか?


固定された「団員」がいないのもムジカの特徴です。今、LINEグループにいるのは120人くらいで、一回のホールで出演するのは60人くらいですね。その時その時に気軽に乗り降りできるのも魅力かもしれません。ムジカはかっちりしてない、ゆるい団体なんです。


―どのような演奏会をしているのですか。


結成以来、音大生ソリストの起用や、子ども向けのファミリーコンサート、学校や施設での演奏、委嘱作品の初演、書道とのコラボレーションなど、さまざまな企画に挑戦してきました。


特に普段、クラシックにあまりなじみのない人を意識して企画していることが多いです。


―映画やテレビ出演のきっかけは?


映画『オケ⽼⼈!』に出演したのは原作の荒木源さんがムジカの団員で、ファゴット奏者だったことがきっかけです。『仮⾯ライダービルド』は全く別のルートから来たオファーでしたが、『オケ⽼⼈!』の経験があったので即OKしました。


今回の『ベートーヴェン捏造』については、それまでの映画やテレビでの出演を知ってくださっていた方から声をかけていただき、出演につながりました。


故郷・釜石へ、音楽で恩返し

―震災後、都内だけでなく、故郷の釜石でも演奏をされていますね。

釜石では、どのような想いで活動をされていたのですか?また、活動を通して印象に残っていることは?


釜石には、音楽の楽しさを教えてくれた故郷に恩返しをしたいという、強い想いがありました。


印象に残っていることや活動については、


  • 2011年の釜石高校体育館での第九の演奏
  • 2012年の仮設住宅での書道とコラボレーションした演奏
  • 2013年の双葉小学校での第10回演奏会
  • 2018年の釜石市民ホールのこけら落としでの演奏
  • 演奏以外の地元の人たちとのつながり


など、語り尽くせません。


双葉小学校での演奏会では、仮設住宅から多くの方が茣蓙(ござ)を敷いた体育館に集まってくださりました。


また釜石市民ホールで演奏した時には、アンコールで、割れんばかりの拍手と「ありがとー!」という声をいただきました。「ブラボー」と言われるよりも嬉しかったです!


そんな2013年と2018年の演奏会は、仮設住宅や保育園などで演奏して回る「釜石音楽キャラバン」とあわせて取り組んできた活動が評価されて、それぞれ第2回・第6回の「ウィーン・フィル&サントリー音楽復興祈念賞」を受賞しました。受賞したときは感無量でしたね。


立川に根ざすオーケストラを目指して

―2020年から立川を拠点にされていますが、なぜ立川を選んだのですか?


立川は多摩地区の中心で便利だなと思い、引っ越してきたのがきっかけです。調べてみると、登録団体は学習館の使用料が無料だったりと、とても良い環境でした。


―立川というまちの印象や魅力は?


地元のつながりは強いですね。財団などがバックアップしてくれているのは大きいです。あとは子ども向けイベントを実施している団体同士のつながりにも助けられてます。


―地域の子ども向けイベントにも出演していますが、子どもたちに音楽を届ける上で大切にしていることは?


「この子たちが生まれて初めて聴く演奏になるかもしれない」という想いで頑張ってます。子どもだましが一番通じないのが子どもですから。


―立川の人たちにとって、「Musica Promenade」がどんな存在になれたら良いと思いますか?


「おらがまちのオケ」と思われたいですね。町会のイベントなどにも呼んでほしいです!避難訓練コンサートなど、ホールでの企画もいろいろと構想をしています。


―実際に演奏会に来たお客さんの反応で、印象に残っていることは?


ムジカの演奏会には、さまざまなお客さんが来てくださいます。生まれて初めて音楽を聴く人もいれば、人生最後に聴く音楽になる人もいると思います。

そんな中、アンケートに「みなさんの温かさ」とか「優しい人柄」なんて書かれているのを見ると、とても嬉しいですね。


「Musica Promenade」の展望

―今後、「こういう演奏会をやってみたい」「こんなコラボをしたい」といった構想はありますか?


やりたい曲はたくさんあります。選曲は僕の独断ですが、メンバーに離れてほしくないからちょうどいいところを探る、という緊張関係(?)があります。


コラボでいうと、今熱い視線を送りたいのは、笙(しょう)奏者でもあり芸人として活躍されているカニササレアヤコさんです。


―20年以上続ける中で、変わらない想いや、逆に変わってきたことはありますか?


変わってきたのはメンバーの置かれている環境です。仕事や家庭で忙しいので、アマオケには特に40代の女性が少ないと言われています。でもそうなりたくないですね。


また、メンバーは入れ替わっているんですが、「楽しく上手く」というコンセプトや、「なじみのない人にも音楽を」という想いは変わっていないです。テンプレっぽいコンサートではなく、面白いことをやっていきたいですね。


12月22日、「第1回 たちかわの第九」を開催!

―今後のコンサート予定について教えてください。


「第1回 たちかわの第九」を、12月22日(月)18:00より「たましんRISURUホール 大ホール」で開催します。文化芸術活動が盛んな立川で、地域に暮らす人々がオーケストラを気軽に楽しめるようにと準備を進めており、小学生から80代まで100名を超える方々がオーケストラや合唱に参加します。


立川の新しい”年末の風物詩”として続いていくような、未来につながるイベントとなることを目指しています。皆さんのご来場をお待ちしております!

※「第1回 たちかわの第九」の詳細はこちらをご覧ください。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000171928.html




行動者ストーリー詳細へ
PR TIMES STORYトップへ

記事一覧に戻る