株式会社YE DIGITAL
飼料輸送の盲点、高所作業が続く現場に潜むリスク ~「危険な現場」をなくすことが、畜産業の未来を守る鍵~
2026年01月07日
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私たちの食卓に欠かせない肉や卵。その生産を支えるのは、畜産農家、飼料メーカー、運送会社など、畜産業に携わる人々です。中でも、家畜に欠かせない飼料を農場へ届ける「飼料輸送業界」は、特殊車両や特殊作業を伴い、畜産業を支える重要な役割を担っています。
こうした重要な作業の中には、日常的に危険を伴う場面も少なくありません。特に、高所での作業は事故やけがのリスクが高く、業界全体の安全性や人材確保にも大きく関わります。
本コラムは、YEデジタルが2025年9月に開催したセミナー「飼料流通合理化の最前線」で、宮崎県トラック協会専務理事・大久津氏が基調講演された内容を当社にて要約し、私自身の見解を加えて構成しています。
高所作業という現場の危険を切り口に、危険な作業が常態化することが、ドライバー不足や畜産業の持続可能性にどのような影響が及ぶのかをお伝えします。
●見落とされがちな危険、タンクに登る高所作業
畜産業を支える飼料輸送の現場。そこでは巨大タンクに飼料を投入するため、日常的に高所作業が行われています。
タンクは高さ4〜8メートルに達し、昇降中の落下は命に関わる事故につながります。雨や雪による滑り、タンク側面の垂直型はしごは細いステップ(踏み板)で不安定なことなど、現場には常に危険が潜んでいます。このような高所作業では、命綱(安全帯)の着用が必須ですが、ちょっとした手間で未着用のままタンクに上ることも少なくないようです。未着用は落下事故の危険を格段に高める。運転手が行う場合もあれば、農家が行う場合もあり、いずれも事故のリスクは同じです。
●セミナーで浮き彫りになった輸送の危機
大久津氏は基調講演で、「このままでは飼料輸送が成り立たなくなる恐れがある」と強く警鐘を鳴らしました。
また、農場での高所作業中に飼料タンクの支柱が折れて倒壊。ドライバーは命こそ助かったものの、重傷で長期療養となった事例を紹介されました。
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こうした危険を放置すれば、担い手不足は加速します。安全対策の徹底と関係機関の連携強化が欠かせない。畜産業の未来は安全な輸送の上に成り立つことを改めて示す内容でした。
●数字で見る危機感、2030年には輸送能力35%不足
物流業界全体では「2024年問題」による働き方改革の影響で、ドライバー不足が加速しています。試算では、2025年に輸送能力が約28%不足、2030年には約35%不足。一部地域では不足が4割を超える見込みで、農畜産物の輸送にも深刻な影響が予想されます。
出典:NX総合研究所・野村総合研究所試算(宮崎県トラック協会講演資料、YEデジタルセミナー「飼料流通合理化の最前線」、2025年9月)
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飼料輸送は特殊車両(バルク車)を使うため他貨物と兼用できず、帰り荷がないため、運送業務の効率化が困難です。高所作業や防疫対応による負担が大きく、ドライバー不足の影響を最も受けやすい分野です。
●現場の声、「このままでは飼料輸送ができなくなる」
現場では「はしごが垂直で昇り降りが怖い」「雨や雪で滑ってヒヤリとすることが多い」「安全対策が進まないなら辞めたい」との声も聞かれます。
飼料タンクの多くは、老朽化や基礎不十分なまま使われている可能性があります。こうした環境が続けば、飼料輸送は敬遠される職種になってしまうと私自身も強く感じます。では、なぜこうした危険が長く放置されてしまうのか。なぜ改善が進みにくいのでしょうか。
●なぜ改善が進みにくいのか
・公的基準の不在:高さ8m未満のタンクは建築確認が不要で、設置基準や管理責任が不明確
・資産管理の曖昧さ:設置年・耐用年数・点検履歴などの管理が十分に行われておらず、所有や管理責任の区分が明確でないケースがあり、メーカー・農業協同組合・農家など、複数の関係者が関わるため、管理体系が複雑になっている場合がある
・老朽化と放置:基礎が弱いタンクや錆びた支柱が、そのまま使われ続けている
・多様な条件:畜種や農場規模、立地条件が異なり、統一的な安全対策が難しい
こうした要因が重なり、危険な高所作業は常態化し、労災リスクも高まっています。これは個々の関係者を責めるべき問題ではなく、構造的な曖昧さから生じている課題です。だからこそ、業界全体で所有・管理の仕組みを整理し、安全基準を共有していくことが求められます。
●短期の対策と長期の改善、両輪で未来を守る
大久津氏は講演で、危険な高所作業を減らし安全に輸送を続けるためには、短期的な安全対策と長期的な構造改善の両方が必要だと強調されました。
無理なく始められる工夫から、業界全体で進めるべき基準づくりまで、方向性が明確に示されたと思います。講演を通して私自身も、改善は一歩ずつでも積み重ねなければ未来は守れないことを改めて感じました。
●「Milfee」で高所作業ゼロへ
YEデジタルが提供する飼料タンク残量管理ソリューション「Milfee」は、危険な高所作業をなくすための第一歩です。タンク内の残量をリアルタイムで計測してクラウドで管理することで、目視確認のための昇降作業が不要になります。
さらに、残量データを活用することで、発注業務の効率化や配送計画の最適化が可能になり、ドライバーの負担軽減と働き方改革にもつながります。
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●さいごに
今回は、YEデジタルが2025年9月に開催したセミナー「飼料流通合理化の最前線」で、宮崎県トラック協会専務理事・大久津氏が基調講演された内容を当社にて要約し、私自身の見解を加えてお伝えしました。
老朽化した飼料タンクや危険な高所作業は、担い手不足を招き、畜産業の未来を危うくしています。安全対策の徹底は、物流の安定と人材確保に不可欠です。
働きやすく安全な環境を整えるため、今こそ業界全体で行動すべき時だとの思いに強く共感しました。私たちはこれからも、現場に寄り添った技術で、少しずつでも前進し、畜産業の未来を守るために貢献していきたいと考えています。
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