星野リゾート
「ホテルで落語?」孤立無援の企画を救ったのは、沖縄からの一声だった。OMO3浅草が、流血ハプニングさえ笑いに変えて5,000人を魅了するまでの物語
2026年02月02日
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「浅草落語ナイト」は、ホテルの最上階にある「OMOベース」というスペースで開催されます。
夜景をバックに、プロの落語家さんの話を聞く、ちょっと変わった体験です 「ホテルで落語?」と最初は驚くかもしれませんが、浅草は昔から大衆芸能が盛んな街。
落語はまさに浅草の文化を代表するものです。
OMO3浅草では、もっと気軽に、もっと身近に落語を楽しんでほしいという思いから、このイベントを始めました。
その道のりは決して平坦なものではありませんでした。
落語の世界との繋がりはゼロ。手探りで始まったこの挑戦には、予期せぬ出会いと、数々の試行錯誤の物語が隠されています。
「ホテルで落語?」ゼロからの挑戦
2023年夏、OMO3浅草の開業に向けて準備が進む中、私たちの間では「浅草ならではの体験をもっとお客様に届けたい」という想いが日に日に強くなっていました。
OMOブランドのコンセプトは「テンションあがる『街ナカ』ホテル」。スタッフが提案する街の楽しみ方はもちろん、ホテルの中で過ごすだけで街の空気を感じるさりげない演出があちらこちらにちりばめ、思いがけず街の魅力に出会い、知らず知らずのうちにその街までお気に入りになるような、そんな宿泊施設を目指していました。
浅草寺からほど近いこの場所で、浅草の街の活気や文化の息吹をホテルの中でも感じていただきたい。 そんな議論の中から生まれたのが、「浅草落語ナイト」のアイデアでした。
ホテルの最上階にある「OMOベース」から東京スカイツリー®や浅草の夜景を眺めながら、プロの噺に耳を傾ける。
「浅草らしくて面白い!」と心は躍りましたが、同時に大きな壁に直面します。 落語の世界に、私たちの繋がりは全くなかったのです。
どなたに、どうやってお願いすれば良いのか。企画書を手にしても、その想いを届ける糸口さえ見つからない、手探りの日々が続きました。
「ご縁」が繋いだ、奇跡の扉
「本当に、この企画は実現できるのだろうか…」そんな不安がよぎる中、事態を動かしたのは、本当に予期せぬ「ご縁」でした。
きっかけは、OMO5沖縄那覇のスタッフでした。
開業に向けて準備している当時は、コロナ禍真っ只中。オンライン会議が主流でした。
全国各地のスタッフとオンラインで会議をしている時に
「わたし、落語家さんの知り合いいますよ」
かつてそのスタッフがラジオ局で働いていた時に、ある落語家さんと繋がりがあったのです。
まるで物語の一節のような偶然に、私たちは一縷の望みを託しました。
即座にアポイントをとりつけ、私たちの熱意と企画内容に真摯に耳を傾けてくださった師匠は、その場で快く協力を引き受けてくださいました。
そればかりか、他の落語家さまや浅草演芸ホールの社長様へと、次々に繋がりを広げてくださったのです。
固く閉ざされていると感じていた扉が、人の温かさによって開かれた瞬間でした。
嬉しい悲鳴と、予期せぬ「流血事件」
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こうして始まった「浅草落語ナイト」。当初は「落語に馴染みのないお客様にも楽しんでいただけるだろうか」という不安もありました。
しかし、蓋を開けてみると、私たちの心配は嬉しい形で裏切られます。
週末には会場がお客様でいっぱいになり、急いで予備の椅子を運び出すこともしばしば。
お客様に窮屈な思いをさせていないかと気がかりでしたが、終演後に「すごく面白かった!」「みんなで笑えて楽しかったね」と笑顔で声をかけてくださるお客様の姿に、心から安堵しました。
もちろん、ライブならではのハプニングもありました。
ある日、出演していた落語家さんが熱演のあまり、なんと鼻血を出してしまったのです。 一瞬、会場と私たちの間に緊張が走りました。
しかし、落語家さんは少しも動じることなく、その状況さえも噺に取り込んで会場を沸かせたのです。
お客様も一体となって笑ってくださり、会場が温かい空気に包まれた時、私たちはプロの凄みに衝撃を受けると共に、深い尊敬の念が湧き上がりました。
こうした日々の出来事やお客様からの直接の反応一つひとつが、私たちにとって貴重な学びとなりました。
「推し」ができるほどの熱意が、新たな価値を育む
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浅草落語ナイト終了後、落語家さん(左)御礼をするOMO3浅草のスタッフ(右)
「浅草落語ナイト」を続けていくうちに、私たちスタッフ自身も、落語という世界の奥深さにどんどん惹きつけられていきました。
日替わりで出演される落語家さんの個性や芸の魅力に触れるうち、スタッフの中に特定の落語家さんの「推し」が生まれ、その方の出演日には案内の言葉に一層熱が入ることも。
「今日の落語家さんは、こんな噺が得意なんですよ」
ただ時間を案内するだけでなく、自分の言葉でその魅力を伝える。
それがお客様の興味に繋がり、会話が弾む瞬間は、私たちにとって何より嬉しい時間です。今では、仕事としてだけでなく、プライベートで寄席に足を運ぶスタッフも増えました。
また、この取り組みが、若手の「二つ目」と呼ばれる落語家さんたちにとって、お客様の前で芸を磨く貴重な機会になっていると伺い、この企画の新たな意義を実感しています。
落語家の皆さまからも温かいご支援をいただき、真打昇進披露宴にお招きいただくなど、少しずつ業界との絆が深まっていることを感じる場面も増えました。
もちろん、課題もあります。
海外からのお客様に、言葉の壁を越えて落語の面白さをどう伝えるか。 AIによるリアルタイム翻訳を試したり、あらすじを多言語で用意したりと、今も試行錯誤の真っ最中です。
この課題に真摯に取り組むこともまた、私たちの大切な挑戦だと考えています。
(振り返りをしている様子)
5000名は通過点。これからも、このご縁を未来へ
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これまでに参加いただいた方の人数は5000名を越えようとしています。この数字は、私たちの挑戦が間違いではなかったことの証であり、大きな自信となりました。
しかし、これはあくまで通過点です。
この企画を実現させてくださり、あたたかく見守ってくださる落語家の皆さまとの「ご縁」、そして何よりも、「浅草落語ナイト」を楽しみ、育ててくださったお客様お一人おひとりに、心から感謝しています。
お客様の「落語って面白いね」という言葉と笑顔が、私たちの原動力です。
これからも、この「ご縁」を大切に、浅草の粋な文化を未来に繋いでいく挑戦を続けていきます。
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