株式会社CAQNAL

【カクナル クライアント対談vol.1】「形式的な開示」を超えて。経営戦略と連動した“攻め”の人的資本経営へ、アウンコンサルティングが踏み出した理由

2026年02月10日

上場企業における人的資本情報の開示義務化や、人材獲得競争の激化により、多くの企業が「人」への投資と情報の透明性を模索しています。今回は、創業以来の変化の激しいSEO・Webマーケティング業界で約30年の歴史を持つアウンコンサルティング株式会社の高橋取締役と、同社の統合報告書および人的資本開示プロジェクトを支援した株式会社CAQNAL(カクナル)のプロジェクトマネジャー廣瀬、代表の中島による対談を実施いたしました。

単なる「開示のための開示」に終わらせず、企業価値向上に繋がるプロジェクトの裏側と、経営視点から見た人的資本のあり方について語り合いました。


【登壇者】

写真中央:高橋重行(タカハシ シゲユキ) 氏

アウンコンサルティング株式会社 取締役(以下、高橋氏)

写真右:廣瀬隆彦(ヒロセ タカヒコ)

株式会社CAQNAL(カクナル)CSMO / 人的資本担当プロジェクトマネジャー(以下、廣瀬)

写真左:中島 篤(ナカシマ アツシ)

株式会社CAQNAL(カクナル) 代表取締役(以下、中島)

不透明な時代だからこそ、開示へ舵を切る。保守的な姿勢から攻めの対話を選んだ理由

廣瀬:

まずは、今回のプロジェクトの発端となった課題認識についてお聞かせください。統合報告書の作成や人的資本開示に取り組もうと思われたきっかけはどこにあったのでしょうか。


高橋氏:

実はこれまで、当社では中期経営計画のようなものを対外的にあまり出してきませんでした。業界のトレンドの移り変わりが非常に激しく、長期スパンでの計画を出すことがかえって株主の皆様をミスリードしてしまう恐れがあったため、開示に対しては慎重かつ保守的でした。


アウンコンサルティング株式会社取締役 高橋重行 様


中島:

確かに、Webマーケティング業界の変化の速さは凄まじいですよね。


高橋氏:

はい。しかし、創業から30年近くが経ち、さすがに中長期的な会社の向かう方向性を不透明なままにするのではなく、しっかりと開示して株主とコミュニケーションを取らなければならないという課題意識がありました。また、有価証券報告書での人的資本情報の開示義務化も大きなきっかけです。ただ、女性管理職比率や離職率といった数字を単に出すだけでは、「開示のための開示」になってしまい、あまり意味がないと感じていました。


廣瀬:

最初にヒアリングをさせていただいた時から感じていたのですが、高橋取締役からは「やらなきゃいけないからやる」という受け身の姿勢ではなく、「やるからには価値を出したい」「攻めの人的資本開示にしたい」という強い意志を感じました。


高橋氏:

おっしゃる通りです。当社ぐらいの規模感(スタンダード市場上場)ですと、形式的な開示にとどまっているケースも多いのが実情です。しかし、せっかく取り組むのであれば、価値創造プロセスの中に人的資本をどう位置づけるのか、株主だけでなく従業員や求職者に対しても、解像度高くコミュニケーションが取れるものを作りたいと考えました。


中島:

社内向け資料にも「株価対策」だけでなく、「採用力・エンゲージメント向上」という目的が明確に記されていましたね。


高橋氏:

ええ。現在は事業の改革を推進している段階ですが、その源泉となる「人」の部分では前向きな取り組みができていました。そこをしっかりとアセットとして可視化し、成長性を提示していこうと考えたのです。

点ではなく経営の線で捉える。CAQNALが提示した、人事戦略と事業成長の不可分な関係

廣瀬:

人的資本開示や統合報告書の支援会社は数多くありますが、なぜCAQNALを選んでいただけたのでしょうか?


高橋氏:

正直なところ、最初は「どう進めていいか分からない」という状態でした。社内のリソースだけで形式的に開示することは可能ですが、将来を見据えた計画を可視化し、具体性を持って社外に伝えるには、社内だけでは難しいと感じ、外部にお願いしようと考えました。CAQNALさんを選んだ決め手は、「一気通貫性」です。他社さんは「人的資本の開示だけ支援します」「中計だけ作ります」といった一本足打法のご提案が多かったのですが、CAQNALさんは経営戦略、IR戦略、事業戦略、そして組織戦略までの繋がりを最初から意識したお話をしてくださいました。


中島:

ありがとうございます。私たちは常々、「人的資本経営」とは人事だけの話ではなく、経営戦略そのものだと捉えています。経営がどこに向かうのかが見えて初めて、そこに必要な人事戦略が描けますから。


廣瀬:

支援プロセスの中で、印象に残っていることはありますか?


高橋氏:

まず、廣瀬さんから統合報告書開示の「型」を提案していただいたことで、議論の土台ができました。その上で、各数値に対して「それは本当に意味があるのか?」「どういう意図なのか?」と、こちらの解像度を上げるような質問を投げかけ続けてくれたのが大きかったですね。社内では「当たり前」だと思ってスルーしてしまうことも、客観的な視点で「それは会社として支援すべきことでは?」と指摘され、ハッとさせられることが多々ありました。


▼価値創造プロセス (2025アウンコンサルティング株式会社 統合報告書より引用)


中島:

具体的にはどのような点でしょうか?


高橋氏:

例えばキャリア形成の支援です。私は大手人材・メディア企業出身ということもあり、「自分のキャリアは自分で切り拓くもの」という考えが染みついていて、「会社がそこまでお膳立てをする必要はないのでは?」という思いがどこかにありました。しかし、廣瀬さんとの対話を通じて、個人の自律に任せるだけでなく、会社としてもっと広い視野でキャリア支援の機会を提供すべきだと気づかされました。

感覚をロジックへ。抽象的な働きがいを再定義し、組織のポテンシャルを可視化する

廣瀬:

支援を経て、アウトプットである統合報告書や社内の認識はどう変わりましたか?


高橋氏:

一番の変化は、これまで感覚的だったものが定量化され、モニタリングできるようになった点です。人事制度や考え方が図式化され、自分たちの中でも腹落ちしました。特に印象的だったのは「働きがい」の定義が言語化できたことです。


廣瀬:

あの図式化は私もこだわったポイントです。「働きがい」という言葉は抽象的になりがちですが、御社ならではの定義ができましたね。


高橋氏:

はい。「経営ビジョン」があり、そこに向かう「事業・組織の成長」があって初めて「個人のキャリア実現」がある。その間に評価制度があり、自己成長の機会や自律性を広げていくことが「働きがい」に繋がるというサイクルです。このロジックが整理されたことで、優先順位をつけて課題に取り組めるようになりました。


▼アウンコンサルティングにおける”働きがい”の定義 (2025アウンコンサルティング株式会社 統合報告書より引用)



中島:

投資家やステークホルダーからの反応はいかがでしたか?


高橋氏:

「規模の割に情報開示がしっかりしている。透明性が高い。」といった評価をいただく機会が増えました。直接的な因果関係はわかりませんが、お問い合わせ自体も増えており、信頼獲得のスタートラインには立てたと感じています。

『人材は社会からの借り物である』人口減少時代に問われる、企業と個人のフェアな関係性


廣瀬:

今回のプロジェクトを通じて、アウンコンサルティング様にとって「人的資本」とはどのような位置づけになりましたか?


高橋氏:

まさに「価値創造の源泉」です。ただ、私が個人的に強く意識しているのは、「人材は会社のものではなく、社会からの借り物である。」という考え方です。


中島:

その言葉は、プロジェクト中も非常に印象的でした。


高橋氏:

社員は会社のために命の時間を使って働いてくれています。だからこそ、会社はその資産を大切に扱い、スキルや経験を通じて価値を高め、最終的には社会にお返ししなければならない。たとえ退職することになったとしても、その人が社会で活躍できる人材になっていれば、それは企業としての社会貢献でもあります。


廣瀬:

その視座の高さが、御社の魅力だと感じます。


高橋氏:

人口減少が進む中で、企業と従業員の関係はこれまで以上に「対等」でなければなりません。会社が一方的に強いわけでも、従業員が強すぎて会社が何も言えなくなるわけでもない。お互いがフェアな関係を築くためにも、会社はキャリア支援の機会を提供し、個人もしっかりと自分のキャリアを考える必要があります。

開示はゴールではなく、進化のための鏡。自社の哲学を言語化することから、すべては始まる


廣瀬:

最後に、今後の展望と、同じような課題を持つ企業の皆様へメッセージをお願いします。


高橋氏:

統合報告書を出して終わりではなく、これを「会社を良くするためのツール」として活用していきたいです。KPIをモニタリングし、良い時も悪い時も透明性高く開示しながら、改善活動に繋げていくことが重要だと考えています。


▼数値で見るアウンコンサルティング株式会社の人的資本 (2025アウンコンサルティング株式会社 統合報告書より引用)


中島

開示がゴールではなく、あくまで手段ということですね。


高橋氏:

はい。他社の経営者や人事の方へのメッセージとしては、まず「自分たちが人的資本に対してどのような考えを持っているのか。」を言語化することをお勧めします。世の中には人的資本に関する情報が溢れていますが、自社なりの哲学や価値観がないと、どうしても形式的な開示になりがちです。ただ、これを社内だけでまとめようとすると抽象的な議論で止まってしまうことも多い。だからこそ、外部のパートナーの力を借りて、壁打ちをしながら解像度を高めていくことが、最初のステップとして非常に有効だと思います。


廣瀬:

本日は貴重なお話をありがとうございました。御社の「社会から借りた資産を価値あるものにして返す。」という姿勢が、今後の開示や企業成長を通じてさらに広がっていくことを楽しみにしています。


【編集後記】

「人材は社会からの借り物」。高橋取締役のこの言葉には、これからの時代に求められる企業と個人のあるべき関係性が凝縮されていました。形式的な開示義務対応にとどまらず、自社の存在意義と人材戦略を深く結び付けたアウンコンサルティング社の取り組みは、多くの企業にとって一つの指針となるのではないでしょうか。CAQNALは今後も、企業の「らしさ」を引き出し、経営戦略と連動した”攻め”の人的資本経営を支援してまいります。






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