東急リバブル株式会社

東急リバブルの一棟投資用不動産「ウェルスクエア」事業 ── 条例改正を逆手に「規格化された建築」から「自由なキャンバス」への進化が、海外投資家をも惹きつける一棟投資商品を生んだ 【第三話〜成長期篇〜】

2026年02月19日


 前回(第二話)では、東急リバブルの不動産開発事業「ウェルスクエア」創世のストーリーとして、”不動産流通企業ならでは”の工夫やこだわりを紹介しました。

 今回は、市場動向や条例による規制の変化に相対しながら進化をし続けた、「ウェルスクエア」の成長への取り組みを紹介します。


── 「ウェルスクエア」事業をスタートした時に鉄骨造(S造)を採用した理由は何でしょうか?


間山:

「ウェルスクエア」は、「鉄骨造(S造)」の採用からその歩みをスタートさせました。これは、S造が他の工法に比べ建築コストを抑えつつ、工期も短縮できるメリットがあったからです。実際、不整形地における1億円から5億円規模(一棟販売価格)の小規模集合住宅開発という新規事業において、比較的安価でスピーディに施工できるS造は、まさに理想的な工法でした。

また、小規模集合住宅の開発ノウハウに乏しかった当社にとって、工場生産部材による安定した品質確保が可能であり、かつ規格化されたS造の採用は、開発事業の基礎を学んでいく上でも最適の選択でした。施工会社やハウスメーカーからもノウハウを共有いただくなど、多くの知見を得られたことが、現在の事業発展の礎となっています。


古明地:

木造を選択しなかった理由の一つに、競合の多さが挙げられます。後発として参入するには市場のハードルが高いと判断しました。また、鉄筋コンクリート造(RC造)については、建築コストが割高で当初の事業戦略に見合わなかったこと、ならびに社内に知見を持つ人材が乏しかったという実情があったというのが正直なところです。


── 2019年の東京都建築安全条例の改正よって、旗竿地(敷地延長)の接道幅の変更や避難経路の確保など規制が強化されましたが、事業に影響はあったのでしょうか?


間山:

東京都安全条例の改正により、旗竿地における通路幅の基準が、原則として従来の2mから3mに引き上げられました。これにより、アパート等を建築する目的での土地活用のハードルが高くなりました。これまでは建築基準法の「接道義務2m」に合わせて、相続や売却の際に土地を切り分けてきたケースが多く、改正によって長屋の建築基準を満たせなくなる土地が多くなりました。

具体的に影響を受けたのは、避難経路の確保の問題です。道路に面しない住戸が10戸以上、あるいは住戸の床面積が合計300㎡を超える場合、改正前の幅2mから幅3m以上の避難通路の確保が必要になりました。これにより、多くの旗竿地で建てられる建物の規模が制限されることになったのです。

改正前であれば、旗竿地で100坪ほどの面積があれば事業化が可能でしたが、改正後は3mの接道幅の条件をクリアしたうえ、敷地面積を約150坪以上確保できないと事業として成り立たなくなりました。この「敷地面積のハードル」が上がったことも、用地確保がさらに難しくなった要因ですね。




──「ウェルスクエア」事業としては、ピンチと言える状況だったのではないですか?


間山:

実は当社では、条例改正前の2017年から、「壁式RC造」を採用した開発をスタートさせていました。壁式RC造には多くのメリットがあります。従来のRC造(ラーメン構造)より低コストかつ短期間で建築できるだけでなく、柱や梁などのデッドスペースが少なくスッキリと広い室内空間が造ることができます。さらに、耐火建築物であることから避難通路の幅の緩和措置が適用されるといった点も大きな利点です。


最初に壁式RC造を取り入れたのは、渋谷区内の物件でした。当初はS造で計画していましたが、建物の規模が大きかったため、投資家に販売するとなると5億円超の販売価格になる計画でした。5億円超のS造物件が投資対象として適しているのかどうかと悩んでいた時に、たまたま施工を依頼していた会社の建築現場で壁式RC造の建築看板を拝見する機会がありました。それを見て、「この工法もあり得る」と思い、壁式RC造で事業計画を組み立て直したのです。

結果として、S造より建築コストは上昇するものの、RC造であることで、より高い賃料設定が可能となりました。販売価格は上がりますが、そのぶん土地取得の際により高い金額を提示することができるようになり、結果として「より好条件な土地」を仕入れることが可能になったのです。


古明地:

その結果、壁式RC造による開発が「ウェルスクエア」事業の主軸となり、物件の規模も金額も大きくなっていきました。振り返ってみれば、これが事業の拡大と成長における大きな「転換点」になったと思います。

壁式RC造のメリットは、柱・梁の出っ張りを無くし、広い住空間を確保しつつ、柔軟な設計に対応出来るため、容積率をフルに活用できたり、通常のラーメン構造と比較して階高を低く設定できるため、日影規制や斜線制限をうまくクリアして階数を増やせたりと、規格商品のS造よりもはるかに効率的な設計ができる点にあります。計画担当としての感覚を例えるなら、S造が「確立されたフレームワークに則った機能美」だとすれば、壁式RC造は「制約を可能性へと変え、自由な発想を具体化するキャンバス」と言えるかもしれません。

最初は真っ白なキャンバスを用意されて「さあ、自由に描いてごらん」と放り出されたような戸惑いもありましたが、設計士や施工会社の皆さまに力をお借りしながら、一つひとつ実績を重ね、必死に勉強しました。プロの方々とのコミュニケーションを取る時間はとても楽しいですし、自分が思い描いたものがその通りに仕上がった時は充実感があります。

もちろん、S造をやめたわけではありません。立地条件や規模に合わせて、採用したことのない新たな工法の導入も含めて、常に「最適解」を選択・使い分けられる体制で、今後も事業を展開していきたいと考えています。


──壁式RC造の採用によって販売価格が上昇したことで、買い手である投資家に変化はあったのでしょうか?


古明地:

開発規模の拡大と建築コストの上昇に伴い、物件の販売価格は2億円から5億円規模へと上昇しました。当時、この価格帯は一般の個人投資家にとっては手が届きにくく、プロ投資家にとっては投資効率などの観点から「規模が小さすぎる」として、逆に手を出しづらい規模でした。折しも海外の投資家が、住居系不動産投資について東京を魅力的な市場と再認識し始めた時期でしたが、彼らの投資対象にS造は含まれない傾向にありました。そのため、当社が壁式RC造を推進していたことは、とても理想的なタイミングだったといえます。

都内の再開発案件が一段落し、マーケットにプロ投資家が期待する規模の有望な物件が不足していた背景も重なり、「ウェルスクエア」が注目を集め、最終的に海外投資ファンドに25棟をバルク(一括)で購入していただいた事例もあります。


間山:

こうした海外を含むプロ投資家との接点は、当社のソリューション事業本部が持つチャネルを最大限に活用したものです。ソリューション事業本部は事業用・投資用不動産の法人仲介を主軸事業としており、国内外の投資家や投資ファンドとのネットワークがあります。このような社内のリソースも活用した情報連携を通じて、国内外の投資家に幅広くアプローチした結果だと思います。

また、ウェルスアドバイザリー本部では個人資産家や企業オーナーの方向けの資産コンサルティングを行っており、その一環として不動産小口化商品の検討が進んでいたため、当社商品である「ウェルスクエア」を小口化して販売することも実施しました。居住系物件に留まらず、オフィス、物販、クリニックといった商業ビルへも領域を広げ、進化を続けています。

これらの取り組みは、出口戦略の多角化を一つの目的としています。現在では売却先の裾野が大きく広がり、個人投資家から国内外プロの投資家・ファンドに至るまで、幅広い層から高く評価される物件になったと自負しています。


古明地:

今後は、工場で製造したコンクリート板などの部材を現場で組み立てる「プレキャスト建築」の採用や、東京都以外での事業展開なども視野に入れて検討しています。市場環境やお客様のニーズは常に変化しています。そうした変化に柔軟に対応できる体制を整え、これからも価値あるモノづくりを行っていきたいと考えています。


──開発事業を担当する個人として、「ウェルスクエア」事業の”面白さ”や”やりがい”をどう感じていますか?


間山:

日々の業務の中で、市場動向や技術的な課題など新たな発見に出会うのですが、それらに対して一つひとつ解決策を導き出し、目に見える結果を残すことに大きな醍醐味を感じています。刻々と変化するマーケットでは、過去の成功体験が通用しない場面も多々ありますが、その変化を楽しみながら乗り越えていくことこそが、私にとって大きなやりがいです。


古明地:

私の役割は、用地取得チームが買収した土地のポテンシャルを最大限に引き出し、優れた商品に昇華させることです。「地図に残る仕事」とよく言われますが、自分の携わった土地に建物が建っていく過程には、大きな喜びを感じます、また、老朽化した建物を再生し、安全で美しい建物の開発を行うことは、地域の防災力の強化や景観の向上により、街の発展にも寄与します。こうした社会貢献を実感できるこの仕事に、大きな誇りを持っています。


※次回は、【第四話~関西進出篇~】を紹介します。


⇒第一話はこちらから

東急リバブルの一棟投資用不動産「ウェルスクエア」事業 ── 年間約32万件におよぶ独自の開発用地情報と総合不動産流通企業の知識・経験を活かした開発事業とは【第一話~事業全体篇~】


⇒第二話はこちらから

東急リバブルの一棟投資用不動産「ウェルスクエア」事業── 条件の悪い土地に命を吹き込む!既存事業の強みを活かした独自の開発アプローチ【第二話〜創世期篇〜】


■東急リバブル株式会社

「売買仲介」「賃貸仲介」「不動産ソリューション」「不動産販売」「新築販売受託」の5つの事業を基軸に、お客様の様々なニーズにお応えする「総合不動産流通企業」です。

お客様の大切な資産を安心して託していただくために、当社ならではのサービスや事業を創出し、皆様に信頼される企業を目指しています。これからも総合不動産流通企業として様々なニーズにお応えし、常に新しい価値を提案し続けます。


HP:https://www.livable.co.jp/corp

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■アセット事業本部

本部紹介動画:youtube.com/watch?v=q4kkWc93rRk&feature=youtu.be


■お問い合わせ先

東急リバブル株式会社 経営企画部 広報課 市川・中村

TEL:03-6778-8328

MAIL:kouhou-info@ma.livable.jp





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