相互住宅株式会社

相互住宅株式会社 民間分譲マンション建替事業の先駆け──海外生活様式を取り入れた住宅づくりの軌跡

2026年02月27日

相互住宅株式会社は、1955年に「第一生命住宅株式会社」として設立された総合不動産会社です。2025年7月から第一ライフ丸紅リアルエステートグループの一員となりました。

戦後の復興期、働く人々に向けた良質な住環境の整備が国の重要な課題とされていた時代、集合住宅供給のパイオニアとして産声を上げました。

高度成長期からバブル経済期へと、日本の住宅需要が急速に拡大・変化する中、相互住宅は、単なる住宅提供にとどまらず、建物の耐震性や資産価値を守ることを重視した建替事業にもいち早く取り組んできました。


今回のストーリーでは、民間分譲マンション建替えの先駆的プロジェクトに携わった宇髙、海外の生活様式を取り入れた住環境づくりを推進した小峯、そして分譲・建替・ホテル事業まで幅広い経験をもつ賀山の3名による対談を通して、知られざる相互住宅の挑戦の歴史と、その原点に迫ります。


「建替え」という言葉すら一般的ではなかった時代に始まった、着実で揺るぎない挑戦

相互住宅の創成期に建築したマンションが、築30年近くを迎えた1980年代後半以降、都内に保有する物件を一棟一棟調査し、建替えに向けた検討を本格化させてきました。

老朽化が進んだ物件の耐震性や設備の更新は、当時の住宅業界において将来を見据えた大きな課題になり始めていました。相互住宅では「資産価値を守り、高めること」を掲げ、麻布・青山エリアなど都心部の物件を中心に建替事業へと踏み出します。はじめは老朽化により安全性や快適性に課題を抱える物件を優先した取り組みでしたが、その後20年以上をかけ保有物件の計画的な建替えプロジェクトへと展開していきました。


マンション建替え検討初期の象徴的なプロジェクトが、三田清風ガーデン(旧・清風苑)です。

(左:清風苑 右:三田清風ガーデン 1991年建替竣工)


1957年に竣工・分譲した清風苑は当時としては画期的なハイグレードマンションでしたが、30年近くを経て建物は老朽化が進み、暮らし方や社会の変化に合わせた見直しが必要になっていました。

しかし、当時としては区分所有マンションの民間事業者による建替えは極めて先駆的な試みでした。

当時は関連法整備も十分とは言えず、区分所有マンション建替えの手法に関する知識も乏しい中、権利者の理解を深めることに苦心しました。そして、建替事業推進のためには全権利者の合意形成が不可欠という高いハードルが立ちはだかっていました。


図面よりも先に向き合ったのは、人への想い

清風苑建替プロジェクト(三田清風ガーデン)の最大の特徴は、「権利者の意向を反映したオーダーメイド型マンション」であることです。

上下階の住戸バランスや水回りの配置ひとつをとっても、関係権利者全員の合意が必要となり、一般的な建設プロジェクトとは比べものにならないほど、細やかで高度な調整が求められました。しかし、難しさは設計だけではありませんでした。


開発担当の社員たちは、現地の当社賃貸住戸の一室を事務所とし、居住者や近隣住民のもとへ頻繁に足を運びました。隣接土地所有者との各種権利関係の整理、権利変換計画、資産評価、工事期間中の仮住まい、日影の影響、工事騒音など、一人ひとりの不安や要望に耳を傾け、時間をかけて対話を重ね、その積み重ねによって、少しずつ信頼関係を築いていきました。これこそが、プロジェクトの成否を分ける最大の要素でした。

(三田清風ガーデン 当時のパンフレットより)


説明会や個別の対話を重ね、疑問や不安に一つずつ向き合う中で、入居者の声や近隣住民への配慮を設計に反映させる改善も行いました。こうしたやり取りを通じて、図面だけでは見えなかった課題や要望を把握し、住む人の生活に寄り添った住宅づくりが実現しました。建替え検討開始から基本計画案がまとまるまで約4年の歳月を要し、三田清風ガーデンは1991年にようやく竣工を迎えました。


当時は今のように情報発信の手段も整っておらず、こうした取り組みが外部に知られることはほとんどありませんでした。それでも私たちは、「安全で快適な住まいを届けることが、結果的に街と暮らしを守ることにつながる」という信念のもと、地道な取り組みを続けてきました。


こうした現場での取り組みの積み重ねが、現在の建替事業における「誠実かつ粘り強い合意形成」や「地域との共生」という価値観の土台となっています。単に建物を建替えるのではなく、住む人の生活や地域の未来まで見据えています。その姿勢こそが、相互住宅ならではの住宅事業のあり方であり、業界にとっても一つのモデルケースになったと私たちは考えています。

世界を知ることで、日本の住まいを見つめ直すきっかけに

相互住宅では早くから、住宅・ホテル・オフィス・宅地開発事業の創意工夫に加え、環境共生や高齢者住宅、サスティナブル分野など、多岐にわたる領域について海外の先進事例を学ぶため、部門横断のメンバーによる継続的な海外研修を実施してきました。

欧州・米国・アジアといった多様な地域を訪れ、建築思想や歴史・文化、生活様式の移り変わりなど、日本とは異なる価値観に触れることで、社員一人ひとりが視野を広げるとともに、その後の事業企画や商品開発の基盤となる知見を蓄積してきました。その経験の一つとして、小峯も現地で多くを学んだと振り返ります。



「海外研修でデンマーク、イギリス、スペインなどに足を運び、現地の住宅設計やライフスタイルの変化に触れました。部屋の広さやプライバシーの考え方、ゾーニングや空間の創り込み、洗練されたデザインなど、当時の日本ではまだ一般的ではなかった新たな視点にも触れ、多くの刺激を受けました」


こうした学びの蓄積は、後年のさまざまなプロジェクトにも生かされてきました。


その一つが、外国人向け高級賃貸マンションの建替えです。外国人向けマンションの先駆けとして建てられた青山第一マンションズ(1960年竣工)での経験を受け継ぎながら、時代のニーズにあわせ、従来の日本の住宅とは一線を画す空間設計やこだわりの住設機器を採用しました。海外からの居住者にも安心して快適に暮らしていただける上質な住環境とホテルライクなフロントサービスを整えました。 

その特徴は、単なるデザインや間取りの工夫にとどまりません。海外で培われた「住まい方」や「暮らしに対する価値観」を、日本の住宅に先駆的な試みとして取り入れました。アイランドキッチンの採用や浴室・トイレのゆとり、空間の心地よさ、自然や緑とつながる空間など、暮らしをより豊かにする発想が随所に取り入れられています。

(青山第一マンションズ 2003年建替竣工)


これらの試みは、外国人向けの住まいという新たな可能性を、住宅業界に示すきっかけにもなりました。現在では、海外の生活様式を取り入れた高級賃貸マンションは珍しい存在ではありません。しかし、それが“当たり前”になる以前から試行錯誤を重ねていたことも、また相互住宅の歩みの一つです。この経験は、外国人をターゲットとしたマンション開発・運営ノウハウとして、当社のフラッグシップとなる麻布第一マンションズの建替え(2006年竣工)にも受け継がれ、マンション開発のパイオニアとして業界全体に少なからず影響を与えているのではないかと考えます。


未来へ受け継がれる住まいづくり

相互住宅は、単なる建物の提供にとどまらず、住む人々のライフスタイルや資産価値を長く守ることを大切にしてきました。これまでご紹介してきた建替事業や海外生活様式の導入は、社員一人ひとりの創意工夫と、地道な努力の積み重ねによって実現してきたものです。これらの取り組みは、現在も当社の事業の核として息づいています。私たちが目指してきたのは、単なる住宅供給者ではなく、入居者と地域社会の未来までを見据えた存在であること。この精神は私たちの経営理念「創り よりそう」にも受け継がれています。

(相互住宅の経営理念「創り よりそう」)


これからも相互住宅は、時代の変化に向き合いながら、誠実に確かな挑戦を続けていきます。その歩みの先にあるのは、次の世代へと受け継がれていく「暮らしの価値」そのものです。


そして次回は、この挑戦の経験をさらに発展させ、賃貸マンション事業を本格化した歴史をご紹介します。入居者の満足と資産価値の両立を目指す、新たな挑戦の舞台裏に、ぜひご注目ください。




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