渋谷ファッションウィーク実行委員会

渋谷を「耕し」、世界のカルチャー聖地へ――渋谷ファッションウィークが挑む、2 年連続のコンセプト「CULTIVATE」に込めた真意

2026年03月13日



渋谷ファッションウィークは 2014 年 3 月の初開催以来、今回で 13 年目・25 回目を迎えます。毎年春と秋に開催しており、ファッションを通して時代や変化を映すようなカルチャーを、渋谷の街から世界に向けて発信を続けてきました。


現在、渋谷は 100 年に一度の大規模再開発が進められ、さらなる注目を集めています。

そんな中で開催される今回の渋谷ファッションウィークでは、何を表現し、何を発信していくのでしょうか。プロジェクトを牽引するクリエイティブディレクターの田中ヒロさんと、キービジュアルを手がけたアーティストの Face Oka さんの 2 人にインタビューを行い、その熱い想いと、2 年連続で掲げられたコンセプト「CULTIVATE」に込められた理念をお伝えします。


※左から田中ヒロ、Face Okaさん

(3月13日(金)に実施された報道メディア向けラウンドテーブルイベントにて)



■改めて渋谷をファッション(トレンド)の聖地にしていきたい

――まず田中さんは、いつ頃から渋谷ファッションウィークに関わってこられたのでしょうか。

田中

僕は 2015 年の春から携わらせていただくようになりました。当時は、企画やコンセプトなど、クリエイティブの部分を専門に考える人間がまだスタッフにいなかったので、当初からクリエイティブディレクター的な立ち位置でしたね。その時々の世の中の状況や、街のブランディング・プロモーションという大きな目的に対して、どういう打ち出し方をしていったらいいのかを、ずっと考え続けています。


――近年の渋谷ファッションウィークについて、クリエイティブディレクターとしてどのようなビジョンを描かれていますか。

田中

夢はでっかく、大きく!じゃないですが……渋谷の街を舞台にした、世界的なカルチャーフェスまで、この渋谷ファッションウィークを持ち上げていきたい。というのも、渋谷が新しいカルチャーを生めなくなってしまったのではないか、という危機感を覚えているからです。

ファッションにおいても、渋谷じゃない場所が“聖地”のように語られることが多くなりました。だからこそ、改めてここ渋谷をファッション(トレンド)の聖地にしていきたい。そのために、ミッション・ビジョン・バリューを定め直して、去年の春からさらに大きいところを目指して、再スタートを切りました。



※渋谷ファッションウィーク クリエイティブディレクター 田中ヒロ

(3月13日(金)に実施された報道メディア向けラウンドテーブルイベントにて)


――今回、メインビジュアルなどに Face Oka さんを起用されたのは、どのような理由からでしょうか。

田中

世界を目指していく上で、キービジュアルはめちゃくちゃ大事。カルチャー的、ファッション的な文脈において、すでに世界で認知されている Face さんの存在は、渋谷ファッションウィークをもうひとつ、上のステージに引き上げてくれる。僕らが目指していく頂に対して、その考えを汲み取って一緒に目指していただけるなら、こんなに嬉しいことはない、という思いでオファーをさせていただきました。起用なんて、おこがましいです。Face さんの力をお借りする、という気持ちです。


―― Face さんはお話があったときの第一印象はいかがでしたか。

Face

正直に言えば、最初は渋谷ファッションウィークがどういうイベントなのか、よくわかっていませんでした(笑)。渋谷って年中何かしらのイベントをやっていますし、少し目にしたことがあるかな、というくらいの認識だったんです。ただ、僕の事務所も前の会社もずっと渋谷で、一年中、ほぼ毎日渋谷に行きます。そういう意味では、僕が生きてきた年数の中で、渋谷から与えられてきた影響はかなりの大きさになります。そんな場所で開催される催しのお話ならば、本当にありがたいですし、自分とはすごくリンクしている。これはぜひ一緒にやりたいと、お受けしました。



■コンセプトは「CULTIVATE」。簡単じゃないコンセプトだからこそ、続けていく

―― 今期のコンセプトは昨年に引き続き「CULTIVATE(耕す)」です。こちらにはどのような想いをこめているのでしょうか。

田中

カルチャーという言葉の語源をたどると、ラテン語のコレレ(colere)。そこから派生した言葉の中に耕すという意味の「CULTIVATE」があります。今の渋谷は再開発が進められていますが、きれいにしすぎてしまうと、余白や隙間、“溜まる場所”みたいなものがどんどんなくなってしまうような感覚があったんです。

カルチャーを果実だとした時に、最初にやらなきゃいけないことは、その土壌を用意して耕すこと――そういう気持ちでコンセプトとして定めました。2年続けて同じ言葉にしたのは、土を耕してちゃんとした状態にするのはそんなに簡単じゃないから。去年だけではなく、今年もやらなきゃいけない、という思いがありました。


―― Face さんは、このテーマを聞いて、今の渋谷に何を感じましたか。

Face

今の渋谷は、ある意味で出来上がってしまっていて、新しいものが生まれづらい気がしています。だからこそ、渋谷ファッションウィークが最初の土台づくり、土を耕す役割を担うのは面白いですね。1 年で土壌ができるほど甘くないという話もそうですが、今回のイベントが起点になって本当に実って、最終的には収穫したものがまた渋谷の外まで届いていく。

数年後に、あのイベントがあったおかげで今のカルチャーがあるよね、となったらすごく意味があることだなと思いながら、田中さんのお話を聞いていました。



※渋谷ファッションウィーク2026春のキービジュアルを担当したFace Okaさん

(3月13日(金)に実施された報道メディア向けラウンドテーブルイベントにて)



―― 渋谷の街の印象を、お二人はどう捉えていらっしゃいますか。

田中

渋谷は文字通り谷の地形で、かつてスクランブル交差点があった辺りは川が流れていて湿地帯だったという話もあります。そして、これだけストリート名が言える街って、渋谷以外にあまりないと思うんですよ。公園通り、ファイヤー通り、井の頭通り、文化村通り……谷に川があって、そこにストリートが形成されていった。この特徴的な土地の形状が、そこに集まってくる人に影響を与えて、今の渋谷のカルチャーが作られていったと感じますね。


Face

渋谷を一言でいうと、分かりやすくカオス。世界的な視点でも唯一無二な都市のひとつだと思います。そのイメージは僕が普段から自分の作品で作っている世界観にかなり近い。だから今回、渋谷をテーマにするからといって構えることはなくて、自分が受けてきた渋谷のカオスな空気感を、ただ自分の作品として正直に表現できたように思います。

僕は東京出身ですけど田舎のほうだったので、10 代とかのころの渋谷は憧れがありながらも少しの怖さがありました。すぐに行けるような距離ではあったんですけど、渋谷に行くとなるとちょっと緊張するような感覚でしたね。大人になって、渋谷が職場になり、なじみのエリアになり……強面の人の内面が、実は優しい、みたいな(笑)。それに、渋谷に行けば何かしら興味が惹かれるものがあるし、そこから調べればいろんなヒントが詰まっていますから。そういう刺激はたくさんあふれています。今の渋谷は、僕にとってそういう感じです。



■渋谷は寛容な街。どんどん参加して、奥に入っていく感覚を楽しんでほしい

―― 今回のキービジュアルについて、制作過程ではどのようなやり取りがあったのでしょうか。

田中

広告的というよりはアート的に作りたいと思いました。だから Face さんの世界観と渋谷ファッションウィークを分けたくなかった。ロゴすらも、Face さんの世界の中で遊んでほしかったんです。SFW®の積み木も何パターンかあって、もっと遊んでほしいです!ってお伝えして。最終的に縦になりましたが、そのあたりは結構、Face さんに付き合っていただきました。


Face

絵なので、平面として物理的にありえない見せ方もできるんですけど、僕はどっちかというと、そこはリアルに近づけたいタイプ。ピカソのキュビズムのように色んな面を見せる手法ではなく、あえてリアルな角度にこだわりたい、でも全体の整合性も取らなきゃいけない、という部分でうまい落とし所を見つけるまでは、かなり悩みました。最終的には納得のいく、いいものができたと思っています。



※Face Okaさんが渋谷ファッションウィークのために描き下ろしたキービジュアル



―― ビジュアルの細部にも、Face さんなりのこだわりが詰まっているそうですね。

Face

見る人がこれなんだろう?と気になるような要素を必ず入れたいと思っていて、今回はハチ公のモチーフを忍ばせています。あとは服のディテール。僕自身古着が好きなので、わかる人にはわかるような質感や細部のデザインを盛り込みました。街中にこのビジュアルが溢れたときに、ただ眺めるだけじゃなくて、そういうディテールを見つけてもらえると嬉しいです。


―― 今回のSFW®を、どんな風に楽しんでほしいですか。

田中

今回、新しいチャレンジとして、コミュニティを交ぜる橋渡しをする「THE CULTIVATE MARKET by SFW®」を渋谷サクラステージにて実施します。これはつくる人、届ける人、そして訪れる人、すべての参加者が関係を育てていくマーケットで、いろんな分野で活躍する出店者にご参加いただく予定です。

渋谷って、寛容度や許容度においてはすごく高い街だと思っていて、これじゃなきゃダメ、こんな人じゃないとダメ、みたいなものがほぼない。Face さんがカオスとおっしゃっていましたが、そのカオスがいい状態になれば、もっと面白いものが生まれてくると思うんです。なので、そんな面白いところに自分も参加してみたいという感覚で来ていただけると、中に入っていく感覚が得られるはずです。




※THE CITY DRESSING



Face

今の時代、SNS の画面上で満足しちゃうところがあると思うんですけど、やっぱり興味があるなら、実際に足を運んで人と会って話したほうが繋がりは深くなる。今回のルックのモデル募集に応募してカメラマンと出会うとか、そういうたまたまの出会い、たまたま知り合いができた、という体験を楽しむのがイベント本来の姿だと思うんです。興味さえあれば、どんどんその場に交ざりに来てほしいですね。

あと、今回キービジュアルを軸としたブランドとのコラボレーションも展開されることになりました。すごく光栄に思っています。過去にもいろいろなブランドさんとコラボさせていただいたことがあるのですが、いつも思うのは、お互いがお互いを満足させられるようなものづくりをしていきたい、ということ。今回、お客さんがどう見てくださるのかも楽しみです。



※THE CITY DRESSING


――ちなみに、個人的な渋谷の好きな場所、お気に入りスポットはありますか?

Face

昔はゴチャゴチャしたにぎやかなところを回るのが好きでしたけど、年齢を重ねて今は奥渋エリアの方が落ち着きますね。自分の成長によって居心地のいいスポットが変わっていくのも、渋谷の奥深さかもしれません。


田中

僕は、商業施設の上のほうの階から見える隙間のような景色が好きです。SNS でよく見る一定の角度の渋谷ではなく、“こんな角度の渋谷もあったんだ”という景色があるんですよ。例えばスクランブル交差点も、東急プラザから見るのと、MAGNET by SHIBUYA109から見るのとでは、結構印象が違うんです。そこで人が動いているのを眺めながら、考え事をしたりします。場所によって顔が変わるのが、渋谷の面白さだと思います。きっと、まだ知らない渋谷の景色があると思いますよ。






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