合同会社ねっか

自然首都と呼ばれる福島県只見町で、ウイスキー造りをする理由。【ねっか奥会津蒸留所のウイスキーものがたり/ 第二章】

2025年03月12日

ユネスコエコパークに認定されている自然首都・福島県只見町。米焼酎「ねっか」を造る「ねっか奥会津蒸留所」は、只見の豊かな自然の中で栽培する酒米から米焼酎を造ることで、美しい田園風景を未来に残す取り組みを続けています。


これまで以上に只見の自然を守り、地域の雇用と資産を創り出すには、酒蔵として何をすべきか――。導き出した答えは、酒米を原料にしたウイスキー造りでした。


当連載「ねっか奥会津蒸留所のウイスキーものがたり」では、私たちがこれから新たに挑戦するウイスキー造りについて、ここ只見町に新たに蒸留所を建設する意味と、その取り組みの過程を全10回にわたってご紹介していく予定です。第二章となる今回は「只見の自然環境とウイスキー造りの相関性」についてお話したいと思います。


ブナの原生林が生み出す、豊富な雪解け水の恩恵


只見町は、四季がはっきりとした日本の原風景が広がる地域です。冬は特別豪雪地帯として3メートル以上の雪に覆われ、春には雪解け水が大地を潤し、草木が芽吹き始めます。夏は緑の田園風景が広がり、秋には黄金の稲穂が風に揺れ、紅葉が山々を染めます。


この地には日本有数のブナの原生林が広がり、動植物の生態系維持をはじめ、二酸化炭素の吸収、山菜やきのこなどの山林資源の恵みをもたらしてくれます。



また、ブナをはじめとした豊かな森は、清冽な水を貯える天然の貯水庫として機能しています。水田を潤す湧水を枯らすまいと、水源となるブナ林は「水林(みずばやし)」として地元集落によって保存され、100年以上に渡って守られてきました。そのため現在では、胸高直径80センチ前後の大木が立ち並ぶ林に成長しています。



ブナの森が育んだ雪解け水は、只見川をはじめとする多くの河川に流れ込み、清らかな軟水が地域の暮らしを支えてきました。


ウイスキー造りにおいても「水」は命です。スコットランドに軟水地帯が多いように、ウイスキー製造には軟水が向いていると言われています。


只見の森に広がるブナの原生林がもたらす軟水が、穏やかな味わいのウイスキーを生み出してくれるのではないかと、私たちも期待を寄せています。


寒冷地ならではの蒸留と環境保全への想い


特別豪雪地帯の只見町では、人々は雪と共に生きる知恵を培ってきました。


家屋の構造も豪雪に適応していて、「厩中門造(うまやちゅうもんづくり)」と呼ばれる建築様式が見られます。これは、家の中に馬小屋を併設し、馬と人が同じ屋根の下で暮らすという、厳しい冬をともに乗り越えるための構造です。


また、雪を掘りながら生活する「雪掘り」の文化、雪を切るための道具「ユキヒキノコ」や雪上での移動を支える「カンジキ」の活用など、自然と共生する独自の暮らしや道具が受け継がれています。ねっか奥会津蒸留所が造る米焼酎のラインナップには「ねっか 雪中貯蔵酒」があり、これは冬に積もる雪の中で約4か月間熟成させてから出荷する、特別豪雪地帯ならではの限定商品です。



私たちが只見の地で計画しているウイスキー造りも、雪と共に生きてきた暮らしの延長線上にあります。寒冷地である只見の冬期にウイスキー造りをする最大のメリットは、自然冷媒による蒸留を行うことで、環境負荷を与えないことです。


ねっか奥会津蒸留で行ってきたこれまでの米焼酎造りでも、地域環境を守る最先端の農業を実践してきました。自社で管理する7haの圃場はJGAP認証を受け、肥料メーカーの片倉コープアグリ株式会社が開発したノンプラスチック肥料を使うなど、環境負荷をかけない安心安全な酒米で酒造りを行っています。


これから始まるウイスキー造りにおいても、環境に配慮して栽培された酒米を原料に用います。つまり、私たちの環境保全に対する情熱は、ウイスキー造りにおいても欠けることはありません。


里山保全と持続可能なウイスキー造り


私たちは、自社圃場で栽培した酒米を原料にしたライスウイスキーを造ります。


酒米を原料にする理由は、只見で盛んに栽培されている飯米よりも収穫時期が早く、米農家の作業分散が可能になるから。より広い面積での作付けを実現することで、これまで以上に只見の田園風景を守っていくことができると考えています。


私たちのウイスキー造りは単なる産業ではなく、地域の風景と文化を守る活動と捉えています。



豊かな自然環境を誇る只見町は、ユネスコエコパークにも認定されるほど生物多様性の高い地域です。


田んぼを維持することは、メダカやドジョウ、ホタルやカエルの生息地を守ることにつながります。只見の田んぼは希少な「モリアオガエル」の繁殖地であり、畔や周囲の草地を餌場とする野鳥「サシバ」も飛来。田んぼの維持は、多くの生物たちの生息に貢献します。


只見の大地に息づく、ウイスキーの未来


この地の自然がもたらす恩恵を最大限に活かすことを前提にした私たちのウイスキープロジェクトは、地域の農業文化を継承し、生物多様性や里山の保全につながる取り組みです。 


特別豪雪地帯の広大なブナ林がもたらす清らかな水、寒冷地ならではの環境負荷を軽減した蒸留方法、そして地域に根付いてきた文化と技術が交わることで、只見にしかない唯一無二のライスウイスキーが生まれます。


当連載「ねっか奥会津蒸留所のウイスキーものがたり」の第三章は「ウイスキー蒸留所がもたらす産業の創出」をテーマに、2025年4月頃にSTORYを配信予定。只見の風土が生み出す、新たなウイスキーものがたりに、どうぞご期待ください!



合同会社ねっか/ねっか奥会津蒸留所

〒968-0603 

福島県南会津郡只見町大字梁取字沖998

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