株式会社REGALO

日本人初、近藤太一がフィリピン最高峰「レオンギャラリー」で挑む新たな表現

2025年03月25日

2025年3月、アーティスト・Taichi Kondo(近藤太一)のフィリピンでの新たな挑戦に注目が集まっている。前回の個展「DUAL」では、自身のアイデンティティやルーツをテーマに作品を展開したが、今回はフィリピンのアートシーンにおいて、純粋なアーティストとしての挑戦となった。

昨年の個展からの変化と、彼の象徴的キャラクター「バナナンギン」の進化について話を聞いた。

▲近藤太一氏

■グループ展での新たな手応え

▲開催初日の盛況な様子


ーー 今回の展覧会はどんな様子ですか?

太一さん:

今回は8人のアーティストによるグループ展です。

フィリピンの現代アートシーンで活躍する、若手のアーティストが見たことのないようなフレッシュな作品を出展しています。テーマである 『VIVID REALM』とは直訳すると“鮮やかな領域“という意味になるんですが、正にフィリピンの新しい一面を示していると感じます。日本だけでなく、世界が持つ従来のフィリピンのイメージを覆す、フィリピンの新たな魅力を示す場になっていると感じます。

そういったフィリピンのイメージを刷新するようなメッセージを、一人のアーティストが発信するのではなく、様々なアーティストとその作品の力を使って色んな角度から発信することができる意義は大きいなと感じます。



ーー前回の個展との違いはありますか?

太一さん:

客観的に自分の作品を見られることが一番の違いかなと思います。

歴史観を反映させた暗めの作品が象徴的だった一方で、昨今のフィリピンのアートは明るいエネルギッシュなものが目につきます。その中でも自分の作品は、ずば抜けて明るい作品だなと、自分でも思いますが観に来てくださった方に言って頂くことが多いですね。実際、フィリピンのポジティブなエネルギーを発信していきたいと思って、作品を生み出している最中に、たまたま『VIVID REALM』という今回のテーマがあったという流れなのです。

加えて、個展は近藤太一に興味がある人が来場者の大半だったのに対し、グループ展では単純にアートに興味関心が高い人や他のアーティスト目当ての人など色んな方に自分の作品を観てもらいます。新しい繋がり、新しい人に届けられているという実感が湧きますし、もっと広げたいとも思います。

■バナナンギンの進化

▲バナナンギンを中心とした近藤太一氏の作品たち


ーー前回の個展から今回の展示会までどのような変化がありましたか?

太一さん:

自分なりには大きな変化があったと思います。特に一番変わったのは作品が思いっきりポップになりました。

前回の個展では、バナナンギン(※文末参照)というキャラクターの作品と自分の内面的なものをフレームとして施した結構凝った作品、それぞれ半々展示したんです。

結果として、バナナンギンに興味を持つ人達がものすごく多く、フィリピン大使館からフィリピン産バナナのプロモーションイベントにオファーを頂いて、会場でアイコンとしてバナナンギンのオブジェを展示する機会などがありました。



ーーポップになったというのはどういう意味でしょう?

太一さん:

バナナンギンの持つ可能性を改めて認識しました。より多くの人にとって親しみやすく、大衆に受け入れられるアプローチを模索するようになったんです。

バナナンギン自体は、2013年に師匠である田中拓馬さんの所に通っている時期に、アイディア出しのトレーニングの中から生まれたものでした。今から10年以上前に生まれていたものだったのに、僕はあんまりその可能性に気づかずにいて、展覧会を重ねるうちにようやくバナナンギンの力に気がつくようになりました。

今回の展覧会では、初めてバナナンギンに全力を注ぐという挑戦をしています。


■アーティストとしての進化とこれから

▲今回展示されているバナナンギンの新たなアプローチ


ーーバナナンギンの可能性は具体的にどんなところにあると感じられていますか?

太一さん:

バナナンギンはもっと自由に、独り歩きしていってほしい、キャラクターIP(知的財産)として、アートの世界だけでなく商業的な場でも活用していってもらいたいと思っています。

既に絵本や紙芝居になったりもしていますが、例えばステッカーみたいなものになっていくと、一気にアートの敷居が下がって一般の人の手に渡るようになるんですよね。そういった新しい可能性を更に感じたりしています。

そのおかげで作品としてはだいぶ扱いやすくなりました。実際バナナンギンの表情も垢が落ちて明るくなったというか、バナナンギンを描こうとしていたこれまでとは違って、抽象的な中にバナナンギンを置いてみる、そんな使い方ができるようになりました。



ーーバナナンギンとの関係性の変化は、これからの作品にどのような影響を与えるのでしょう?

太一さん:

バナナンギンにはものすごい可能性がある一方で、僕の表現の一部でしかなくて。バナナンギンを描くためにアートをやっているわけじゃないんです。

これまでは、自分中にあるアイデンティティの葛藤を表現として模索しているような状態だったと思います。でも、それだけを続けていると、自分が社会と乖離してしまうのではないか、そんな危機感を抱くようになってきました。

今は、日常の中で感じたことを作品として表現したいと思っています。だからもっといろんなことを勉強したいな、吸収したいな、世の中に寄り添いたいと思うようになってきました。



ーーそのような変化は今回の作品にはどのように落とし込まれているのでしょうか?

太一さん

今回の描いた作品の中に、呼吸をテーマにした、フルーツの中にバナナンギンがいるようなものがあるんですけど。少し前に実家にいた犬が亡くなって、その時の家族との関わり方や色んな想いからインスピレーションを得た作品です。

みんなが死に向かって生きていて、呼吸は生きるためにする、吸って吐くという連続的な活動は、生産活動でもありながら、人生のカウントダウンのようにも感じられるようになって。

以前、フルーツの会社で働いたことがあり、そのとき『バナナを単なる果物としてではなく、生き物として捉えろ』と教わったんです。緑のものが追熟して、黄色になって、だんだん色が濃くなって、黒くなって腐っていく。

もちろんそこは商業的な場なんですが、バナナからしたら人に食べられるために生まれていたわけじゃないんですよね。自然界では、そこから土に還ってまた新しい命に繋がっていく循環が存在しています。

広い視点で見ると、この世界には表と裏があり、自分が楽しんでいる一方で、苦しんでいる人もいる。そのことを想像し、発信していくことの重要性を感じています。


【展覧会詳細】

■期間: 3月20日(木)〜4月4日(金)

■場所: Leon Gallery International

■主催:Derek Flores(DF ART AGENCY創業者)

■住所: G/F, 120, Corinthian Plaza, 121 Paseo de Roxas, Legazpi Village, Makati, Kalakhang Manila, Philippines

■詳細: https://www.instagram.com/leongalleryinternational/




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