第一三共ヘルスケア株式会社

スタートアップ企業との協業も加速!ヘルスケアの新たな価値を創造する第一三共ヘルスケアのオープンイノベーション。

2025年02月06日

第一三共ヘルスケアでは、これまで培ってきた知見と外部の多彩な技術を融合させることで、革新的な製品・サービスの開発を目指す「オープンイノベーション」を加速させている。現在は、弘前大学との「共同研究講座」の開設や、業界を超えた4社が協業する「年に1度の睡眠診断運動」の推進などに取り組んでおり、新たに、スタートアップ企業との協業を加速する仕組みづくりも開始した。

ここでは、研究を担当する杉山、事業開発を担当する松尾、そして時久に、具体的な取り組みの内容やオープンイノベーションにかける想いを語ってもらった。


―社外パートナーとの協業が、研究開発と新規事業に革新をもたらす

現在、OTC医薬品(一般用医薬品)、機能性スキンケア・オーラルケア・食品を中心に製品やサービスを提供している第一三共ヘルスケア。しかし、将来的に業容の拡大やより幅広い価値提供を実現するためには、新しいアイデアや技術を持つ他社との協業が不可欠だと考えている。実際に研究や事業開発に携わる3人は、それぞれオープンイノベーションをどのように捉えているのだろうか。


松尾:自社で進める研究開発や新規事業の可能性を広げる意味合いが強いと思っています。協業相手はスタートアップに限らず、互いに持つアイデアや技術を共有して、自社単独では到達し得ないようなゴールに向かって力を合わせていくことができるパートナーであることが重要です。


杉山:私は研究の立場から、オープンイノベーションによって会社に新しい価値をもたらす研究を進めることができると考えています。当社の研究対象領域はどんどん広がっており、世の中のヘルスケア領域も拡大しているので、現状のリソースだけでは限界があります。自前では難しい部分に関してはオープンイノベーションで外部のリソースを活用することが今後の成果を生む鍵だと考えています。


時久:事業開発としては、広くいろいろな方法を模索しながら進めています。M&Aなど多様な手段があるため、オープンイノベーションでは取り組みを通して自社ができる範囲や相手の要望などを擦り合わせながら進めていくことが非常に重要だと考えています。文字通り「協業」が実現できるような仕組みを探ることも私たちの役割といえるでしょう。


松尾:当社は事業部門が基本的にはオーガニックグロース、つまり「現業をいかに成長させるか」といった目線で業務を推進しています。我々事業開発担当にとっては「飛躍的に非連続的な成長を獲得する」インオーガニックグロースも大きなミッションであり、オープンイノベーションはその鍵となります。

―弘前大学との産学連携。大規模健康調査で得たビッグデータを活用し、頭痛や口腔の研究に活かす

杉山が携わっている弘前大学との「共同研究講座」では、同大学が行っている大規模合同健康調査「岩木健康増進プロジェクト」で収集したビッグデータを基に、主に頭痛、睡眠、口腔に関する調査・研究を行い、得られた情報を技術開発や製品開発に活かすことを目的としている。


杉山:さまざまなデータを研究対象に新しい仮説を立て、次の研究につなげていく必要があると考え、協業できる可能性のあるパートナーを探していたときに、弘前大学の取り組みを知りました。年に1度実施している大規模健康調査「岩木健康増進プロジェクト健診」では、1,200人もの生活者から約3,000もの膨大な検診項目のデータを取得しています。これらのデータを解析すれば当社で活用できるデータが得られるのではないかと考え、大学側と話し合った結果、2024年3月1日付で「健康ライフサイエンス研究講座」を開設することができました。2024年の健診から我々も参加してデータを取得させていただき、そのデータを活用して研究をしていくことになるので、まさにこれからというところです。



「岩木健康増進プロジェクト」は弘前大学を中心に青森県や弘前市などの自治体も参画して行われているが、当社のようなメーカーなどにより24もの共同研究講座が開設されている。それぞれの研究内容が開示されているのも興味深いところだ。


杉山他の講座でどのような取り組みをしているのか分かりますし、意見を交わすこともできるので、一緒に新しい事業ができるのではないかと種を探すこともできる。そういう意味でも、研究のオープンイノベーションには最適なプロジェクトだと感じています。

―従業員の健康維持のため睡眠に関する課題を可視化する「年に1度の睡眠診断運動」を推進

松尾が4社と協業して推し進める「年に1度の睡眠診断運動」に参画したのは、コロナ禍でテレワークが普及し始めた2021年。テレワークにより仕事と私生活の境目が曖昧になったり、出社と在宅のハイブリッドワークで生活のリズムが乱れたり、「良い睡眠がとれない」という悩みを抱える人が増えてきたタイミングだった。


松尾:睡眠の悩みは心や体の健康に影響を及ぼし、日中のパフォーマンスにも影響することから、日本全体の社会課題であると捉えており、当社として何かできることはないかと考えていました。そうした中、同じく睡眠を社会課題と捉えていた4社でコンソーシアムを形成して「睡眠」をテーマに一緒に取り組む運びとなりました。



4社でアイデアを出し合い、どのような取り組みができるか模索していたところ、「我々は本当に自分の睡眠について理解しているのか」という考えにたどりついた。そこで企業に対して、「従業員の睡眠状態を可視化し、課題をあぶり出して行動変容を促すきっかけにしてはどうか」という内容で4社合意し、年に1度の睡眠診断運動の実施に至った。


松尾:これまで2回実施して延べ数千人にご参加いただき現在3回目の実施に向けて営業活動を続けているところです。このサービスを構築した3年前と今を比べると社会の様子は変わり、睡眠の課題に対しても、さまざまな製品やサービスでセルフケアができるようになっています。今後はサービス自体も時代に合わせて進化させ、本当に必要な人に適切な方法で届けるようにしていきたいと考えています。


―投資によりパートナー企業のリスクを軽減し、事業のアイデアをドライブさせるCVC

事業関連のあるスタートアップ企業に投資を行い、協業を推進するCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)*。時久は現在この仕組みづくりに奔走している。


時久:単に事業提携をするだけでは、「やる」と言ったことを結局やらなかったり、募集した企業側だけが技術を利用するような形になってしまったりとスタートアップ企業にとってはリスクが大きい。しかし、投資が前提のCVCであれば、スタートアップ企業が目指すべき未来に対しても応援ができますし、我々は期待値を投資額という形で示すことができるようになります。スタートアップは面白い事業や技術を持っている企業が多いものの、「一つの案件に社命をかけている」というところも少なくありません。ですから、企業が持っているアイデアをドライブさせる要素がCVCの仕組みであり、狙いでもあるのです。


* CVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル):スタートアップ企業への投資活動を介して、自社のアセットとその企業のもつ独自の技術やサービスを掛け合わせ、新たなビジネスを生み出す仕組み。



第一三共ヘルスケアでは、2022年にフェムテックとスリープテックをテーマに事業アイデアを求めるアクセラレータープログラムを実施しており、67社からの応募があった。しかし、協業に向けてスタートアップ企業とじっくり話をする中で、資金面に関するニーズが大きいという実情が見えてきた。この経験が現在のCVC仕組みづくりにつながっている。

―オープンイノベーションという挑戦の裏側


第一三共ヘルスケアのオープンイノベーションを担う3人に、取り組みの裏側について語り合ってもらった。


杉山:弘前大学との「共同研究講座」では、研究内容はもちろん、社内を巻き込んで研究ができていることにもやりがいを感じています。社長自ら健診会場や開所式に足を運んでもらいましたし、健診にも多くのメンバーが補佐を申し出てくれました。一丸となって取り組んでいることを実感できる場面も多かったですね。


時久CVCの立ち上げに向けて、スタートアップの皆様と会話をする中で、ステークホルダーの多さに気付かされました。相手側の創業者をはじめ、役員や従業員、さらには先行投資家や企業が抱えている顧客など、彼らとの関係も考えなければなりません。もちろん、当社の既存事業の妨げになるようなこともできません。オープンイノベーションという新たな挑戦ができるのは、既存事業が盤石だからこそ。そう考えると、相手側ステークホルダーの生の声に耳を傾ける必要がありますし、当社側でもどんな影響があるのか各部門と話をしなければなりません。「顔を合わせて腹を割って話す」というスタンスを大事にしながら活動しているので、CVCを担当するようになってからは人と会うことがかなり増えました。


松尾:時久さんはとにかくフットワークが軽くて、いろいろな場面に顔を出して幅広く関係を構築するという強みがあり、刺激をもらっています。私には一人で考え込んでしまう癖があったのですが、時久さんのやり方をヒントにすることでより多くの打開策が生まれるかもしれないと感じています。


時久:強みというとおこがましい気がしますが、CVCの組織・風土づくりを進めていく上で気をつけている部分になりますね。CVCやスタートアップへの投資については、体制、考え方、実際の進め方、パートナー、何から何まで白紙から始めたので、その辺りの苦労もありました。CVCについて内部への理解を促し、協力を得るためにもどんなに魅力的な取り組みかということを発信しなければならないので、そこには気を配りながら挑戦しています。


杉山:白紙から始めたという点では、共同研究講座も同様です。当社としては初めての試みでしたし、ビッグデータを研究の対象にすることも初めてだったので、大学との契約や座組もよく分からず、今も苦労の連続です。1年はやってみないとどの時期に何が起こるか分からないので、これからも色々とあるだろうなと思いながら日々を過ごしています。しかし、中心になって一緒に進めているメンバーは非常に頼れる存在なので、メンバーと協力すれば乗り越えていけると信じています。


時久:杉山さんも同じゼロからの挑戦に取り組まれているのはとても心強いです。



松尾:「年に1度の睡眠診断運動」は業界をまたいだ4社で話し合いながら進めていて、定期的な会議以外にもざっくばらんに話ができるオフサイトでのコミュニケーションもとるようにしています。例えば、雑談していて睡眠絡みの話が出てくると、そこから新たなアイデアが生まれることがあるんです。そういった「点」がポツポツと生まれて、将来的にその「点」がつながり、何か形をつくっていくことができたら面白いと思っています。将来的には新たな協業が生まれるきっかけになる可能性もあるので、こういった機会は今後も大事にしたいと思います。


時久:オープンイノベーションに携わると、別業界の人と話をする機会が増えますし、一緒に仕事をすることで普段は見えないものが見えてきたりしますよね。


松尾:そうなんですよ。協業のきっかけは「年に1度の睡眠診断運動を一緒にやっていく」という取り組みでしたが、その中で他社のやり方に刺激を受けるなど、勉強になることもたくさんありますから。

―今後は研究と事業開発が連携する仕組みを構築し、既存の枠を超えた新たな事業につなげたい

研究、事業開発それぞれの立場から、オープンイノベーションに関する今後の展望や目指すべき未来像についても聞いてみた。


杉山:まずは研究をしっかりと進めて、最終的にはしかるべきタイミングで松尾さんや時久さんが何らかの事業にしてくれるだろうと期待しています。


時久:急にきましたね(笑)。



杉山やはり研究だけでは事業にするのは難しいんです。ある程度成果が出て「面白いよね」となったとき、どういう仕組みで事業にしていくか、どう使っていけるかといったことを一緒に考えていきたいと思いますし、そういう流れができたら研究としてのイノベーションはもっと活性化するのではないかと思います。


松尾:私もメーカーとして新規事業を進めていく以上、研究とのコラボレーションは必要不可欠だと感じています。幸い私も時久さんも以前は研究畑にいたことがあり、技術的なコミュニケーションには困らないので、今後は情報を相互に共有していきたいです。例えば「弘前大学のビッグデータからこんな発見があったよ」という情報が共有されれば、「あのスタートアップはこんな技術を持っていたな」とつなげることができる。逆もしかりで、お付き合いのあるスタートアップの中から「こんなデータはないですか?」と聞かれたときに杉山さんに相談してみて、もし「できるよ」となれば素晴らしい。そういった「社内連携の仕組み」はこれから整備していく必要があり、うまくいけば将来的にどんどん拡大できるのではないかと期待しています。


時久:そうですよね。お互いにやりたいことやニーズ、現状を把握して、研究はもちろん、社内のあらゆる部門を巻き込みながら進めていけるといいですね。


杉山:研究と事業開発がうまく噛み合えば、大きな強みになりそうですし。


時久:それこそ、我々が社内のハブになり、「とりあえずあそこに相談してみよう」という仕組みをつくりたいという思いもあります。外向きにも「第一三共ヘルスケアはこんなに面白いオープンイノベーションをやっている」とアピールをしていかなければなりませんし、体感もしていただきたい。「第一三共ヘルスケアのオープンイノベーション担当に相談したら、親身になって一緒に考えてくれる」、「夢に対して建設的な議論ができる」と思ってもらえるように、自ら先に心を開き、相手を信じて敬意を払ってコミュニケーションすること、「オープン&リスペクト」を信念に推進していきたいと考えています。相手の思いも、自分たちの思いも大事にしながら腹を割って話し合い、「ヘルスケアでオープンイノベーションといったら第一三共ヘルスケアだよね」と言ってもらえるように真摯に取り組んでいきたいと思います。


無限の可能性を秘めたオープンイノベーションへの挑戦。未だ見ぬパートナーとの協業によってどのような革新が生まれるか楽しみだ。



<関連情報>

◆第一三共ヘルスケア オープンイノベーション

第一三共ヘルスケアのコーポレートサイトでは、オープンイノベーションに関するお問い合わせを受け付けています。

https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/openinnovation.html


◆第一三共ヘルスケア株式会社について

第一三共ヘルスケアは、第一三共グループ(※)の企業理念にある「多様な医療ニーズに応える医薬品を提供する」という考えのもと、生活者自ら選択し、購入できるOTC医薬品の事業を展開しています。

現在、OTC医薬品にとどまらず、機能性スキンケア・オーラルケア・食品へと事業領域を拡張し、コーポレートスローガン「Fit for You 健やかなライフスタイルをつくるパートナーへ」を掲げ、その実現に向けて取り組んでいます。

こうした事業を通じて、自分自身で健康を守り対処する「セルフケア」を推進し、誰もがより健康で美しくあり続けることのできる社会の実現に貢献します。


※ 第一三共グループは、イノベーティブ医薬品(新薬)・ワクチン・OTC医薬品の事業を展開しています。






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