純日本紅茶 合同会社

価値が低いとされてきた二番茶を世界に通用する和紅茶に。ある和紅茶研究家の17年史。

2025年01月31日

2023年、「純日本紅茶 合同会社」(代表社員 中峰 剛 さいたま市)は、「田中製茶園」(代表 田中 信夫 入間市)の協力を得て製造した和紅茶「サヤマ オレンジペコ」が英国の食のコンテスト「グレート・テイスト・アワード」にてワンスター賞を受賞。 本コンテストは英国では「食のオスカー」と呼ばれ、食に関しては最も権威ある賞のひとつ。実は、中峰の手による和紅茶が、同コンテストで受賞したのは、 2012年に初出品した和紅茶「Sayama Congou Blacktea」のツースター賞受賞に遡ります。これらの和紅茶は、実は、一番茶に比べ価値が低いとされてきた二番茶をもとに製造したものでした。茶農家の課題に向き合い、二番茶のの高付加価値化を図る、「純日本紅茶合同会社」の取組みについて、中峰剛がお話します。

「純日本紅茶 合同会社」代表社員・中峰剛です。当社は、和紅茶に特化した飲食店向け卸売り事業を行う傍ら、私自身が紅茶製造技術者として、茶農園に伺い、世界に通用する品質の和紅茶を製造しています。最近では、入間市の「田中製茶園」様のお茶と製造ラインをご提供いただき、製造した和紅茶「サヤマオレンジペコ」が、2023年、「食のオスカー」と呼ばれ、食に関しては最も権威ある賞のひとつである「グレート・テイスト・アワード」にてワンスター賞を受賞しました。また、2024年には、全て埼玉で製造したハーブとドライフルーツをブレンドした「サヤマ フレーバードティー 」が、ワンスター賞を受賞。日本の果物農家さんや、国産ハーブの生産者さんとも、一緒に、和紅茶を作れる。という未来が 見えてきました。また、この受賞したふたつの和紅茶は、高い品質を維持と量産化の両立という挑戦を行いました。おかげさまで、このふたつのブランドは、広くみなさまに販売できる量を確保しております。2025年2月18日 午後6:30から、埼玉県川越市の「りそなコエドテラス 1F CLOCK KITCHEN」 https://www.saitamaresona.co.jp/labtama/koedo-terrace/ にて、飲食店様向け和紅茶の試飲会を行います。当社の紅茶のお取り扱いにご興味があれば、ぜひ、メールにてお申込みください。info@pure-japantea.com



「サヤマ オレンジペコ」は、世界水準の品質と量産化を両立

「オレンジペコ」とは本来、お茶の芯芽から数えて、2番目の若い茶葉の事を示します。これら若く 柔らかな茶葉から製造された紅茶、という意味になります。 紅茶を淹れた時の、ティーカップの中の紅茶の色味が、鮮やかなオレンジ色になるのが、名前の 由来になっているそうです。 当社の「サヤマ オレンジペコ」も、伝統に準じて、日本茶の若く柔らかいフレッシュな茶葉を摘んで紅茶を製造しています。 実は、この「サヤマ オレンジペコ」は、埼玉の別の茶農園様の茶葉を使い、2015年にも、「グレート・テイスト・アワード」でワンスター賞を受賞しています。当時は、機械を補助で使う程度の製造で、ほとんどの工程は、私が、 ハンドメイドで製造していました。非常に重労働、かつ、午前中の製造開始から、翌日早朝までかかって 製造をしていました。9年経過して、当社の「オレンジペコ」も製造の規模は大きく変わりました。2019年頃から、当社の「サヤマ オレンジペコ」は、日本茶工場の製造ラインを活用しており、高品質を保ちつつ、和紅茶を量産する事が可能になりました。2023年の受賞茶は、日本茶の製造ラインで作られた和紅茶を出品しました。ワンスター賞の受賞は、当社の和紅茶の量産技術が認められた事でもあり、大変、嬉しく思います。


和紅茶製造挑戦へのきっかけは、2007年リーマンショックでの急激な円安

私が和紅茶の製造挑戦のきっかけは、2007年のリーマンショックの時になります。 当時、私は台湾茶の販売を手がけていました。急激な円安が進行して、台湾茶の仕入れ価格が高騰したため、日本茶の販売も模索して、知人から地元埼玉の茶農家を紹介して頂いたのが、きっかけになります。茶農家さんを訪問して、色々な緑茶を試飲させてもらい、あらためて日本茶の品質の良さに発見がありました。もうひとつ、知ったのは、春製造の一番茶と、夏に製造された二番茶の価格の差です。二番茶は一番茶の、約半額でした。 (2022年の静岡茶市場は、一番茶、平均1535円/kg 二番茶、平均579円/kg(中日新聞より)) ちょうど訪問したのが7月で、二番茶の収穫時期も終盤の茶畑に案内してもらいました。摘み残された茶葉の残る茶畑が印象的でした。 素直に「なぜ、二番茶が摘まれずに残っているのですか?」と私が尋ねた時の埼玉の茶農家さんの言葉は今でも忘れません。 「二番茶は、元々価値が低いんだよ」と、話されていました。摘み残った茶葉は廃棄される。と、聞かされて「すごく勿体ない」という印象を持ちました。


タンニンの多い二番茶は、むしろ紅茶に向いている

取引先の台湾の茶農家さんに「蜜香紅茶」という品質の良い紅茶をつくる方がいます。この台湾の茶農園では、春に高価格販売できる「烏龍茶」を製造しています。 夏の茶葉は、タンニンという成分が多くなるので「烏龍茶」は、あまり製造していません。「タンニン量の多い夏茶は、緑茶や烏龍茶には、適さない。でも、タンニンが多い茶葉は紅茶に適しているんだよ。」 「だから夏に蜜香紅茶を製造するんだよ。」

この事を、台湾の茶農家さんから伺って、日本の二番茶が一番茶よりも低い価格で取引される理由に気付かされました。

日本の二番茶も紅茶にすることで、商品価値が上がるのではないか?そこで、日本の茶農家さんを台湾に連れて行き、私と一緒に紅茶製造の勉強する事を企画しました。しかし、初夏は台湾の茶農家も紅茶製造に忙しく、日本の研修生を受け入れる余裕がなく、日本の茶農家も初夏からは二番茶の製造の繁忙期に重なり、実現することは叶いませんでした。


台湾の茶農家に泊まりがけで、紅茶製造を学ぶ

 諦めきれなかった私は、台湾の茶農家に嘆願して、紅茶の製造を、私1人がゼロから教えてもらう運びになり、以降、2009年と2010年の初夏の2週間、台湾の茶農家に泊まり込みで、紅茶の製造をお手伝いする傍ら、みっちりと紅茶の製造の理論から実践までを教えて貰いました。

台湾の 蜜香紅茶の製造の特徴は、機械を極力使わず、手作業で製造する事でした。紅茶の製造中の 茶葉を、常に手に取り、目で見て、鼻でその香りの変化を追います。手に取った時の湿り気や茶葉の細かな皺の付き方、茶葉の色が緑から褐色に変容する様子、香りの移り変わり、など。「一つ一つの変化に意味がある。」と、教わりました。非常に有意義な経験でした。


そして、2011年、日本の茶農家と本格的な和紅茶製造へ

2011年に、埼玉の茶農家の協力を得て、紅茶の製造に取り掛かります。ほんの少量だけ、初めての和紅茶の製造です。

しかし、教わった通りに、茶葉が変化しないのです。1番初めに気付いたのは、茶葉の品種の違いでした。台湾の品種と日本の品種。「これが同じお茶なのか?」と思えるくらい異なる物でした。 当然ですが、手触りも違い、茶葉の外見も異なり、香りも似て非なる物でした。 紅茶の製造理論を教わっていたので、この異世界とも呼べる状況でも、なんとか紅茶には仕上がりました。しかし、理想には程遠い品質で、とても満足出来る物では有りませんでした。 2011年も台湾に渡り、紅茶の製造を、引き続き1人で教わります。 日本で製造した、初めての和紅茶を持って、見てもらいます。「初めての製造にしては上手く出来ている」と褒めては貰いましたが、改善点だけでも、10ヶ所以上指摘されました。指摘された事を考慮しながら、台湾での紅茶製造のお手伝い。1度、自分ひとりで製造した後だと、今まで見えなかったノウハウが、浮き上がって見えてきます。

 2012年、国際水準の品質の和紅茶を「グレート・テイスト・アワード」へ

2012年、再び日本の茶農家の協力を得て、和紅茶の製造をしました。台湾で指摘された修正点 をクリアすべく、2012年も台湾を参考にした、ほぼ手作りの製造です。頂いたアドバイスを参考 に、丁寧に製造した和紅茶。流石に前年度よりも格段に良い和紅茶が出来ました。まだまだ、台湾の技術には到底及びませんが、飲んで美味しいと思える和紅茶が製造出来た事が、とても嬉しかったのを良く覚えています。完成した紅茶の評価も気になります。そこで、「グレート・テイスト・アワード」を主催している英国の団体「ギルド・オブ・ファインフード」にコンタクトしました。必死に英文を絞り出し、担当者との数回のやり取りを経て、2012年のアワードにエントリーする事が出来ました。さて、エントリー の時に困ったのは和紅茶の名前です。手本にしてきた 台湾「蜜香紅茶」とは、異なる個性の味と香り。悩んだ末に「コングーブラックティー」(Congou Blacktea)にしました。(Congouとは英語で手作り茶を意味します)

「グレート・テイスト・アワード2012」に初出品した和紅茶「Sayama Congou Blacktea」は、ツースター賞を受賞しました。本当にに感無量でした。台湾の茶農家にも、感謝の電話をしました。

二番茶を品質の良い「和紅茶」へ。そして、量産化への挑戦

2013年は、手摘みだった茶葉を機械での摘採に変更して、前年度よりも多く製造しました。同じ「 Congou」の名前で出品、ツースターを受賞しました。製造は、まだまだ手作りの状態でしたが、こ の頃から、少しずつ機械を導入し始めました。2014年は、製造の一部に機械を導入して製造した 和紅茶を「Sayama Orange Pekoe」の名前で出品して、ワンスター賞を受賞、2014年は「 Sayama Congou Blacktea」も引き続き出品、ツースター賞を頂き、ほぼ手作りの「Sayama Congou Blacktea」は、3年連続でツースター賞を受賞となりました。2016年にはオレンジペコをフレーバー加工して「アールグレイ」を出品、こちらもワンスター賞を受賞しました。 これらが報道されると、日本全国の茶農家から「紅茶の製造を教えて欲しい」という、和紅茶の製造コンサルタントの案件が舞い込み始めます。 福岡県、鹿児島県、三重県、静岡県、など、それぞれの地域へ出張して、和紅茶の製造技術を 全国に広げるのが、私の仕事に変わってゆきます。2017年に銀座・伊東屋で開催された「和紅茶の祭典」の企画で、インドのダージリンの鑑定員に和紅茶の鑑定を依頼。私がコンサルした福岡県の茶農家が「ダージリングレート」(ダージリンと同等のグレードという意味)を受賞。 2019年には、同じくコンサルしてた福岡の茶農家が「グレート・テイスト・アワード」でワンスター賞 を受賞。2021年2022年には、コンサルしている団体が、手摘み手揉みの和紅茶で「グレート・テ イスト・アワード」のツースター賞を受賞しました。

2019年以降は、和紅茶の製造パートナーとなる茶農家を埼玉に定めて、入間市の「田中製茶園」さんと本格的に生産を始めて、2023年の「サヤマ オレンジペコ」のワンスター受賞に繋がります。 2024年は全て埼玉で製造したハーブとドライフルーツをブレンドした「サヤマ フレーバードティー 」が、「グレート・テイスト・アワード」にて、ワンスター賞を受賞しました。 日本の果物農家さんや、国産ハーブの生産者さんとも、一緒に、和紅茶を作れる。という未来が見えてきました。 今後は茶農家に限らず、日本の農業に、より貢献して行きたいと思います。

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2月18日 午後6:30から、埼玉県川越市の「りそなコエドテラス 1F CLOCK KITCHEN」にて、https://www.saitamaresona.co.jp/labtama/koedo-terrace/

英国品評会入選の和紅茶の飲食店様向け試飲会を行います。当社の紅茶の取り扱いにご興味があれば、ぜひ、メール info@pure-japantea.com

または弊社ホームページ https://pure-japantea.com/ のページ下部

「CONTACT US」から、参加のお申込みをいただければと思います。






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