株式会社ジェーシービー

【前編】EMVCoと3Dセキュアが支える安全・安心な決済JCBの標準化への取り組み

2025年07月02日


ネットショッピングの安全性を高めるために欠かせない技術が「3Dセキュア」です。「3Dセキュア」は全世界で利用されている仕組みであり、その国際標準化を行う組織 EMVCo にJCBも参画し、業界全体のセキュリティ強化に貢献しています。


今回は3Dセキュアの活動に携わった矢澤さん、硲さん、孫さん、谷さんに、業界全体でどのように安全な決済環境を築いているのか、その中でJCBが果たしてきた役割、そしてJCBがどのような想いでこの活動に取り組んでいるのかなどについて話をうかがいました。


3Dセキュアとは?EMVCoが推進するオンライン決済の安全基盤

――3Dセキュアとはどのようなサービスか教えてください

硲:「3Dセキュアは、ネットショッピング時に第三者による不正利用を防ぐための「本人認証」の仕組みです。国際標準化団体であるEMVCoにて標準化されていて、日本だけでなく全世界のネットショッピング時に利用されています。3Dとは『Three Domains(3つの領域)』を意味し、具体的には、『加盟店、決済プロバイダー(商品やサービスを提供する事業者)及びアクワイアラ(加盟店管理会社)』、『イシュア(カードを発行する会社)』、そして『国際カードブランド』を指します。この3つの領域のプレーヤーが連携し、安全なネットショッピングを実現するのが3Dセキュアです。


ネットショッピングは、カード番号などの情報を入力することでお買い物ができるため、とても便利な反面、不正利用のリスクも高いため、本人の利用であることを確認する仕組みとして3Dセキュアが導入されました。」

――3Dセキュアは日常生活のどのような場面で使われていますか?

硲:「3Dセキュアは、主にネットショッピングでの決済時に利用されます。決済時にパスワード入力やSMS認証が求められるケースもありますが、近年ではネットショッピング時に使用しているPC・スマホなどの端末情報やOSのバージョン、言語設定などの観点でイシュアが不正取引でないと判断し、追加の本人認証なしで取引が完了するケースもあります。このように、お客様からは見えないところで、3Dセキュアが利用され、安全な決済を実現しています。」


――3Dセキュアの導入前にはどのような課題がありましたか?なぜ標準化が必要だったのでしょうか?

孫:「ネットショッピングが世の中で普及したことにより、不正利用が増加しセキュリティの重要性が強まっていました。新たなセキュリティ課題が次々と発生する中、各社で個別に対策をとるのではなく、全世界の決済業界全体で共通基盤を作る動きが生まれ、標準化が進められました。」


3Dセキュアの進化を牽引するEMVCo。業界全体の安全性と利便性を向上

――EMVCoは3Dセキュアの標準化に向けて、どのような取り組みを行いましたか?

矢澤:「EMVCoは国際カードブランド6社で運営されており、業界全体の視点から中立的な立場で3Dセキュアの標準化を推進してきました。EMVCoによる標準化がされる前に市場で導入されていた3Dセキュア1.0では固定パスワード方式でしたが、パスワードの事前登録や決済時の入力の負担が大きく、お客様が購入を途中であきらめてしまう『カゴ落ち』の一因にもなっていました。これを解決するため、EMVCoで標準化を行った3Dセキュア2.0では、パスワード等を入力しなくてもイシュアの判断次第で取引が完了できる方式を取り入れるなどの改善を行い、決済技術の進化とともに更に安全で便利な環境を整える活動を行っています。」


谷:「EMVCoは仕様の策定だけでなく、業界全体への普及にも注力しています。その一環として、加盟店側やイシュア側の3Dセキュア電文を送受信するシステムがEMVCoで定めた仕様に準拠していることを確認するテストも実施しており、テストの内容や頻度なども定期的に見直し、持続可能な運用方法を検討しています。」


JCBが切り拓く3Dセキュアの未来。日本・アジアの視点も反映した標準化への貢献

――JCBはEMVCoのメンバーとして、3Dセキュアの標準化においてどのような取り組みを行っていますか?

矢澤:「JCBは他ブランドとは異なりイシュア、アクワイアラ、国際カードブランドという3つの側面を持つ企業であるため、国際ブランドとしての視点のみならず、アクワイアラ、イシュアとしての視点からの意見も含めても、EMVCo内で適切に発信することを心がけています。またEMVCoを一緒に運営する他の国際カードブランドは米国の企業が多いため、JCBとしては特に日本やアジアの多様な意見を集約し、EMVCo内の議論の中で伝えていくことにより国際標準仕様へ反映できる点が特に業界に貢献できている点だと思います。」



孫:「JCBは実際にJCB内で3Dセキュアを運用している担当者が、EMVCoでの標準化活動に参加しています。他の国際ブランドのメンバーが持っていない実務的な視点からの発言ができるのもJCBの大きな強みであり、他の国際ブランドのメンバーからも評価いただいている点です。」


――3Dセキュアが導入されたことによって、お客様にとってどのような影響がありましたか?

硲:3Dセキュアの導入によってネットショッピングにおけるセキュリティ強化が実現されましたが、それに加えて、多くのネットショッピング時にパスワードなどの入力が不要になった点です。例えば、購入時のデバイスやブラウザの言語設定などをチェックするリスクベース認証を行うことで、いつもと異なる国のブラウザから取引が行われた場合『この取引は怪しい』と判定することができ、そのような怪しい場合にのみワンタイムパスワードや生体認証などの追加認証が要求される仕組みです。ユーザーによって決済が非常に楽になったほか、パスワードをフィッシングサイトなどに入力してしまって盗まれるリスクも軽減できるようになりました。


また、過去バージョンの3Dセキュア1.0では、Webブラウザでの買い物を前提としており、現在よく使われている、アプリ内でのお買い物には対応していませんでした。現在の3Dセキュア2.0では、アプリ内でのお買い物にも対応する仕様となり、現代の取引環境に適応できるようになっています。


矢澤:「消費者にとっては『気づかないうちに安全な取引ができる』ことが最大のメリットですね。一方、イシュアやアクワイアラにとっては、承認率向上や不正取引の減少につながります。リスクベース認証により、必要な場合のみ追加認証を求めることで、取引のスムーズさを損なわず、安全性を確保することが可能です。結果として、加盟店や発行会社にとっても売上向上や顧客満足度向上につながる仕組みとなっています。」


■後編へ続く・・・

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https://pr.global.jcb/n/n2c9d79fc7b56?utm_source=prts0624&utm_medium=emvco3&utm_id=prts0624



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