株式会社LATURE

世界に台頭するアジアの華僑系レストラン。今後の日本のファインダイニングのあり方に危機感。

2025年07月30日


黑珍珠餐厅2025受賞。東京のレストラン勢が30受賞

中国最大の口コミサイト(日本でいうところの現在の食べログやグぐるナビに近いプラットフォーム)、大衆点評(ダージョンデンピン)を運営する美団(メイトゥアン)主催の黑珍珠餐厅(ブラックパール・レストランガイド)2025が、2025年4月25日にシンガポールのマリーナベイ・サンズ・エキスポ&コンベンションセンターで開催されました。

ブラックパール・レストランガイドは2018年に立ち上げられ、「中国版ミシュランガイド」と称され、中国の視点からアジアの最高峰の高級レストランの表彰を行っています。

美団は口コミサイトの運営だけでなく、電子商取引プラットフォーム、デリバーリーサービス等の生活に関わる様々なサービスを中国全土にて展開しています。


ミシュランガイド東京1ツ星8年連続獲得店のLATUREは料理の質やサービス、取り組みを評価されブラックパール・レストランガイド2025、1ダイヤモンドを受賞しました。

今回は香港、台湾、マカオ、シンガポール、バンコク等、東アジアを中心としたレストランが対象となっています。


シンガポールでの授賞式では、香港、マカオ、台湾、東京、バンコク、シンガポールのレストランに合計114の賞が授与されました。(中国の都市の受賞者に焦点を当てた以前のイベントは、2025年1月に中国の南昌で開催。)

香港を除くと、香港には37のレストランがガイドに掲載されているのに対し、東京は30の受賞数でその他エリアの受賞数を席巻し、次いでシンガポールが16、バンコクが9のレストランが受賞、この3都市で約半数の55を受賞しました。



ブラックパールレストランガイドの責任者である唐妍(TAN YANG)氏によるプレゼンテーション


東京渋谷でフランス料理店「LATURE」を展開するオーナーシェフの室田は黑珍珠餐厅2025受賞式典に参加。

LATUREとしての取り組み、今後の日本のレストランのあり方、日本の食文化の発展にどう貢献していけるか...室田自身、深く考えさせられる式典となりました。

日本の実力のあるお店も多数受賞しておりましたが、東京からは室田が唯一の参加。式典では授賞式だけでなく、受賞者による料理のプレゼンテーションも行われました。





海外の料理店を知る良い機会。同時に自身の状況を再確認できる場。

日本国内から一般的に浸透しているSNSやインターネットの情報から深く中国の情報を得ることが比較的容易ではないことは感じた方は少なくはないのではないでしょうか。もちろん中国語圏内だけでなく、その他アジア諸国も同様です。


大きくは言語の障壁にはなり、一般的な日本人の方からリアルタイムで中国や多言語のレストランの情報を得ることはなかなか難しい状況ではないかと感じています。

確認する手段として旅行会社のおすすめや現地のレストランガイド、グルメ系のインフルエンサー、知人からの紹介等が主な情報源の一つにはなりうる状況と言えます。


今回は中国国内ではなく、その周辺国が中心の授賞式とはなっていますが、主要なSNSが違っていたり、各個人、受動的に流れてくる情報が隔たっていたり、新鮮な情報を得ることがとても難しく、実際には日本人が知り得ない高度な技術を持つシェフが存在していたり、新しい料理法があったり、素晴らしいお店がたくさんあること等を実際に現地に赴いたり、イベントに参加してみてさらに知る機会を得ることができるのです。


ブラックパール・レストランガイドによる影響は中国を超えて広がり、世界の食や旅客、観光に大きな影響を与えてていくことは間違いありません。




多くの日本の料理店との経営スタイルの違い。そして、大きな危機感。

日本のファインダイニングの場合、シェフ自身がオーナーで経営者である場合が多いですが、海外(特に華僑オーナーのレストランではその傾向が強い)では経営と現場を分業し、レストランの運営資金において料理人にとって創作の自由度が高い環境が用意されているケースが少なくありません。

料理店をよりビジネスとして利益を追求しながらも、かつ質の高い料理を提供するための環境、そして労働環境、育成環境から優れているケースを目の当たりにします。


前回の掲載のストーリーの後半部の内容と重複しますが、日本国内でも手に入れることがとても難しい、日本の最高品質の食材を海外でようやく見つけることができ、その質には毎度驚かされます。室田自身も料理人として、その環境が羨ましくも同時に危機感を感じさせられています。


運営上のコストや利益を考慮する優先度が低く、お客様へのサービスに全て集中できるレストランの環境下では最上級の素材を常に使用することができ、自由に料理に採用することができるのです。日本の多くの料理店はこのようなレストランとも戦っていかなければならない状況下にあります。


日本の良質なものを海外に向け、より高い価格で売ること、その価値を理解してご購入いただくこと自体は悪いことではなく、生産者さんが豊かになることはとても喜ばしいことです。

しかしながら、私たち日本国内を主戦場とする料理人にとっては質の高い食材が手に入らなくなってしまうこと、海外への輸出が優先され、質の高いものがどんどん流れてしまっていく状況は料理を追求していく上で大きな問題となりうる可能性を秘めています。


日本固有の技術の普及や、日本の食文化が世界に評価され広がっていくことも非常に喜ばしいことです。その中で、食材だけでなく優秀な人材も同時に大量に流れてしまうこと、日本人の料理人が日本国内から高みを目指すのことが難しくなる環境化になっていくことは、日本の食文化の発展にとって良い状況とは言えません。


経済的な影響、材料費が高騰化する中、価格を上げざるを得ない状況が発生しています。インバウンドでの訪日外国人が増加により、集客が成功しているお店では利益増加を見込んでさらに価格を上げるケースも少なくはありません。

観光で来日いただいたお客様だけでなく、現地の人々にも料理を愉しんでいただける環境づくりもとても大事だと感じています。




世界で勝負できる環境づくり、業界の活性化と未来のお客様の育成も課題。

海外の式典に出ると各国様々なシェフと話す機会を得ることができたり、多種多様な料理のプレゼンテーションに触れることができます。

来場されているレストランのスタッフは受賞を受けられる質のお店ということもあり、世界に通じる料理を提供していこうという意識がとても高いと感じられます。


フランス料理がチームで料理提供を行うように、レストラン運営、経営全体もチームで行い様々な専門家(料理人だけではなく、マーケティングやブランディング、経理、人材のマネジメント等)が集結し、世界で高みを目指してレストランを運営している意気込みがすごく感じられます。

実際にアジアBEST50にランクインしている海外の料理店を見ると比較的入れ替わりが激しく上位店が急にランク外になるケースもみられます。日本の料理店においては有名店が安定してランクインしているケースがここ数年続いている傾向があります。それはランクイン常連の日本お店は質を高めるよう日々努力し続けている結果の一つの現れだと思います。一方で若い新しいお店がそれらを超えるための環境を揃えることが以前よりまして難しくなる状況が増えていく可能性があるとも言えます。


これからも若い世代の日本の料理店が権威ある賞の受賞ができるように業界がもっと活性化していくことがとても重要です。


前述の通り、日本の料理店はこれから今まで以上に厳しい環境下の中、世界と勝負しなければなりません。そして、次の担い手とお越しいただくお客様の育成、この課題は永遠に続きます。それはどのレストランのシェフ(日本のみならず海外のシェフも)からも声が上がる大きな課題といえます。


日本国内のビジネスを成功させることだけでなく、世界でも勝負できる料理を目指し、その意識をより高めて取り組んでいく必要性、そして室田自身、日本の料理の業界にどのように貢献できるか改めて感じさせられた式典となりました。





「LATURE」 店舗概要

店名:「LATURE」

電話:03-6450-5297

住所: 〒150-0002 東京都渋谷区渋谷2−2−2 青山ルカビルB1、2F

アクセス:JR渋谷駅中央口ヒカリエ方面 徒歩7分 / 地下鉄表参道駅B1番出口 徒歩6分

営業時間

○Lunch / 11:30~15:30(L.O13:30)

○Dinner / 18:00~23:00(L.O20:30)

URL:https://www.lature.jp

ラチュレの予約サイト https://yoyaku.toreta.in/lature/#/


【会社概要】

社名:株式会社LATURE

本社所在地:〒150-0002 東京都渋谷区渋谷2-2-2青山ルカビルB1、2F

代表取締役:室田 拓人

事業内容: レストラン運営および食品の販売

設立:2017年 HP:https://www.lature.jp







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