株式会社 鈴木ハーブ研究所
茨城県の魅力をもっと多くの方に伝えたい想いから新商品を開発茨城県南地域の夏の風物詩 ~れんこん畑に広がる蓮の花~
2025年07月30日
2025年6月27日(金)に鈴木ハーブ研究所から「蓮の花ハンドクリーム」が新発売となりました。「偕楽園の梅」、「筑波山麓の福来みかん」に次ぐ、茨城県のご当地ハンドクリーム第3弾となる商品です。
梅の花は早春(1月下旬から2月中旬頃)に見ごろを迎えます。福来みかんは晩秋(10月下旬~12月上旬)に収穫時期です。茨城県にゆかりのあるものかつ、既存の2商品と見ごろや収穫の時期が異なるもので新商品を開発したい、という思いから商品開発はスタートしました。茨城県は蓮の地下茎である“れんこん”の日本一の生産地です。そこで、「蓮の花」に着目し、新商品を開発することとなりました。弊社はこの商品を通して、茨城の魅力をもっと多くの方に知っていただきたい、と願っております。
今回「蓮の花ハンドクリーム」を開発するにあたり、「誠蓮(まことはす)」という品種の蓮の花を、土浦市でれんこん農家を営む八島農園さんからご提供いただいています。観賞用の蓮の花を育てている農家さんが少ない中、八島農園さんはれんこんと蓮の花を育てていらっしゃる希少な存在です。八島農園の代表 八島広宣氏からお話を伺いました。
―――いつから「れんこん」「蓮の花」の農家をしていらっしゃいますか
昭和31年前後の今から約69年前からになります。れんこん作りを始める前は稲作を行っていました。私の祖父母が疎開をしてきて、農業に取り組み始めたようです。当時、この辺り(土浦周辺)ではれんこん作りをしていなかったようですが、何かのご縁があって土浦市内のどなたかがレンコンを導入して、そこからのご縁で私の親父もれんこん作りを始めたようです。蓮の花を育てはじめたのも親父です。
親父は若い時かられんこん作りを行っていて、一時はれんこんバブルと言われるくらい出荷が間に合わない時期があったそうです。今のれんこん畑は田んぼのようなところ、いわゆる「水堀り(ひざの少し上まで水を張った田んぼで、ホースから水を出しながら水圧でれんこんを掘る方法)」なのですが、以前は湿り気のある畑のようなところで育てていて、「まんのう」と言われる道具でれんこんを掘っていました。千葉県のあたりで「水堀り」を開発した方がいて、この地域に導入したのは親父が入っていた研究会だそうです。親父は農業の近代化に対応する有能な農業者を育成するために認定される資格「農業経営士」を持っていました。当時、茨城県内でれんこんでこの資格を獲得したのは親父が初でした。
―――ご自身としてはいつかられんこん作りに携わっているのでしょうか?
僕自身はというと、学生時代にれんこん作りを少し手伝う程度しかしていなかったのですが、誰かが継がなければいけないとなった時に、30年くらいやっていたサラリーマンを辞めて家業を継いだという状況です。今から9年前で53歳の時です。うちは土浦で60年くらいれんこん作りを行っていて、土浦れんこんと言えば八島さんと言っていただけることもあるような状況でしたので、サラリーマン生活が決して嫌だったわけではないのですが、意を決して家業を継ぎました。それまではあまり携わってこなかったので、はじめは手探りでした。れんこん作りは5年やって半人前と言われています。半人前は卒業できたかもしれませんが、れんこん作りの難しさのようなものは今一番感じています。
―――れんこん作りの難しさを感じる中で独自で工夫されていることがあれば教えてください。
納豆を作る工程で出る産業廃棄物である大豆の蒸し汁を茨城県内有数の納豆製造会社から無償で譲っていただいています。これを真夏にれんこんの葉に葉面散布しています。これにより葉っぱから栄養が入り、地下茎のれんこんの味がよくなっている気がしています。県内の有名な農家さんがひきわり納豆を作る工程で出たものを田んぼに撒いている、というお話を聞いたのをヒントに行うことにしました。
―――「れんこん」に加え、「蓮の花」を販売することを始めた理由があれば教えてください
観賞用の蓮の花作りは、当初、親父の道楽であった、と聞いています。ご縁があり種を譲っていただき、親父が育てはじめました。食用のれんこんの花を取ってしまうと、地下のれんこんが腐ってしまいます。観賞用の蓮は地下に食べられるれんこんができません。そのため、どんなに花を取っても構いません。販売出来るなら鑑賞用の蓮の花を売り上げに繋げたかった、というのが販売することを始めた理由じゃないかと思います。
しかし、蓮の花は「仏花」でお盆以外は需要がなく、「れんこん」と「蓮の花」を同じ面積で育てた時の売上を比べると「れんこん」の方が25倍くらいの粗利があります。儲からないので育てる人も少ないように思います。
―――ハンドクリームに使用している品種「誠蓮」と霞ヶ浦周辺の「蓮の花」の色について
「蓮の花」と聞いて、淡いピンクの花をイメージする方がいらっしゃるようなのですが、実は蓮の花にもたくさん種類があって、ピンクや黄色のもの、花びらの数が多いものなどもあります。
うちで観賞用として育てている蓮の花は「誠蓮」という品種で、108枚の花弁があると言われており、ピンクの花が咲きます。この辺り(土浦周辺)で食用のれんこん畑に咲く花は白(品種名:霞ヶ浦の白)です。食用のれんこん畑にピンクの花が咲いていることもあるのですが、それは地下に食用のれんこんが少ないか、状態の悪い蓮があるということなんです。
―――蓮の花の見ごろはいつですか
れんこん畑の蓮の花の開花は7月上旬からです。陽が昇る前の早朝3時頃から開花します。蓮の花の開花期間はわずか3~4日ほどです。開花し始めの花は10時~11時頃に一旦つぼみます。花の開閉を3~4日繰り返したあと、
花びらは散ってしまいます。
土浦北インターから降りると、右も左もれんこん畑が広がっています。手が届きそうでも、食用れんこんの花の採取はれんこん生育に大きく影響するので厳禁です。
―――「蓮の花」を育てる、出荷する上で大切なこと
実は観賞用の蓮の花の肥料について詳細を把握している生産者は少ないです。また、鮮度保持が大切ですが、未だに保持方法がわかりません。それほど難しい花です。これまで「蓮の花を育ててみたい」とお声がけいただいたれんこん農家の方に、うちの畑の根っこをお分けしましたが、生育に成功した人には出会えていません。
花を咲かせるためになんとなく大事そうだと思っているのは、いじめる、過酷な状況にすることのような気がしています。いじめると子孫を残そうとする生命力が湧いてきて、より多くの花を咲かせるような気がしています。
―――今回、蓮の花の香りを利用したハンドクリームが製品化されることについて、ご意見やご感想があれば教えてください。
脱サラして農業を行ってみて感じるのが、この業界は出会いが少ない・刺激が少ないことが課題のひとつのような気がしています。他業種の方などとお話をすることは、ものすごく刺激になります。今回、ハンドクリームを通しての出会いもよい刺激になりました。
(写真)左:八島農園の代表 八島広宣氏 右:弊社代表 鈴木さちよ
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