株式会社アクシス

AXIS Capability for Clients (1) —都市、街、建築、生活におけるデザインの可能性を探求し、未来への展望を描く

2025年10月06日

情報化社会の進展や環境問題の深刻化のなかで、私たちの社会の未来はますます見えづらくなっています。従来のように効率を最優先させる考え方や、合理主義一辺倒なアプローチでは、こうしたさまざまな問題に対応できなくなってきています。私たちは都市、街、建築、生活をフィールドとして、そこにデザインの力を持ち込むことでこれからの可能性を探求し、希望ある未来を描いていきたいと考えています。

City / Architecture / Lifestyle x Design = ? 都市、街、建築、生活におけるデザインの可能性を探求し、未来への展望を描く

このSTORYでは、株式会社アクシスのクライアントビジネスの新たなイシューとして「City / Architecture / Lifestyle x Design = ? 都市、街、建築、生活におけるデザインの可能性を探求し、未来への展望を描く」を掲げ、弊社独自のアプローチ法に触れながら、私たちが目指すこれからの取り組みについての記事を数回にわたってお届けします。

プロジェクト事例としては、「ミュージアムタワー京橋」をクローズアップ。企画からデザイン、設計、施工、プロデュース、プロモーションまで、AXISのノウハウを結集し一貫して手がけたプロジェクトの舞台裏をご紹介します。

AXISのデザイン探求

新たな軸

アクシスは「生活と社会への創造力。」をフィロソフィーとして掲げ、デザインで生活や社会の質を高めていくさまざまな活動を行ってきました。そしてこれからは、培ってきた知見、ノウハウ、ネットワー クを最大限に活かしながら、「デザインの力で、企業や社会の課題を解決する組織」へと進化させていきたいと考えています。


吉田栄二|デザインプロデューサー


そこで、新たなイシュ ーとして掲げたのが「City / Architecture / Lifestyle x Design = ?都市、街、建築、生活におけるデザインの可能性を探求し、未来への展望を描く」ことです。


建築デザイン、インテリアデザイン、プロダクトデザイン、ビジュアルデザイン、プランディングデザインなど、実践的な「デザインの力」は多岐にわたります。その一つひとつには先人の知恵や技術が詰まっており、それぞれジャンルとして確立しています。これからのAXISは、視点をもう少し大きなCity(都市 ・街)、Architecture (建築)と、そこにおけるLifestyle(生活)に置くことで、個々のデザインジャンルではできなかったデザインの提案をしていきたい。


都市づくり、まちづくりの視点から考えるからこそできる建築やデザインの提案、あるいはサービスがあるはずです。個々のデザインの集積としての未来ではなく、リアルな生活のなかにある動的な関係性のなかから、より総合的なパースペクティブをもった未来を創造していきたいと考えています。

今、デザインに求められるもの

これまでのデザインは、ポスターやシンボルマーク、個々の製品のスタイリングやカラーリングなどに象徴されるように、美しい形や色彩を創造することで生活を彩り、豊かにしてきました。もちろんそこには、情報のスムーズな伝達や使いやすさという、デザインの機能的な側面も欠かせません。しかし情報化社会の進展や環境問題の深刻化のなかで私たちの生活の理想や未来の目標が見えにくくなると共に、生活や社会を支えるインフラストラクチャーとしてのデザインの考え方も変わりつつあります。


これからのデザインには、個々の生活を豊かにするだけではなく、企業や社会の課題解決や、それらを通してより良い未来を創る役割が期待されるようになっています。思考、プロセス、コミュニケー ション、サー ビスに至る幅広い領域をカバーし、常に新しい価値を創り出していくことがデザインに求められるようになり、「デザイン」という言葉の意味や内容も日々アップデートを続けています。


AXISビル外観(東京・六本木)

日本のデザインの軸(アクシス)であり続けてきたAXIS

株式会社アクシスは1981年、日本初の民間によるデザイン拠点として、東京の文化を発信する最先端の街の一つである六本木 ・飯倉片町に設立されました。設立にはトップデザイナーやプランナーが数多く参加し、独自のライフスタイル提案から空間・プロモー ション提案に至るまで、新たなデザインムーブメントを牽引する「デザインと生活の提案体」となることが構想されました。AXISという名称は、その中心軸(アクシス)となることを目指して名付けられています。


AXISビルには、「リビング・モティーフ」や「ル・ガラージュ」などの提案型直営店舗を始め、ギャラリー、フォトスタジオ、デザインスタジオ、レストランなどが結集し、同時に現在も続くデザイン誌「AXIS」を創刊するなど、国内外の最新のデザイン情報を発信すると共に、その幅広いネットワークを培ってきました。


自社でショップを運営していることは、AXISの大きな特徴の一つです。とくにキッチンウェアからバス、インテリア、ビジネス用品など、幅広いアイテムを揃えた「リビング ・モティーフ」は、AXIS のメインショップとして、上質な生活シーンを提案し続けています。直営店はAXIS からの提案であると共に、ユー ザー の声を直接キャッチするセンサーとしての役割も担っています。


直営店舗 リビング・モティーフ

AXISが大切にしてきたもの

AXISを象徴する活動の一つが、デザイン誌「AXIS」を始めとするメディア事業です。創刊から40年以上継続し、現在は季刊で刊行されている「AXIS」は、1990年代から和英のバイリンガルで編集され、世界でも知名度の高いデザイン誌の一つとなっています。


デザインを、文化、コミュニケーション、ビジネスなどさまざまな視点から多面的に捉えた記事には、毎回国内外の著名なクリエイターやプロデューサーにご登場いただき、「AXIS」誌を中心とした独自のネットワークを培ってきました。とくに1997年から2017年にわたって、エットレ・ソットサスを始めとする国内外、総勢115組の著名なデザイナーに表紙を飾っていただいたことは、大きな財産となっています。


AXISのメディア事業では、「デザインの本質的な価値を追求し、未来への可能性を提示し続ける」こと、そして「人と人をデザインでつなぎ、創造性に富む社会を実現する」というミッションを掲げています。世界の兆候をいち早くキャッチし、広い意味でのデザイン視点で編集し、独自の情報として国内外へ発信していく。社会とデザインをつなぐ視点、これが、私たちAXISが培ってきた風土です。


「AXIS THE COVER STORIES —Interviews with 115 designers」(2018年出版)

AXISの提供価値

私たちAXISは、メディア事業の特徴である国内外の最新の情報を収集 ・編集し発信する力、そして直営店運営のリテール事業で培われたエンドユーザーの嗜好やライフスタイルの動向をキャッチする力、つまり世の中を俯諏して捉える「鳥の目」と、現代を生きる人たちの繊細な動向を捉える「虫の目」をもつことで、さまざまな社会課題に対して的確なソリューションを提供できると考えています。


メディア事業とリテー ル事業の蓄積を生かしつつ、現在は第3の柱として、デザインコンサルティングおよびデザインプロデュース事業を本格的に始動させています。とくにイシュ ー に掲げた「都市」「街」「建築」「生活」にかかわる領域では、建物の老朽化や不活性化を改善し、地域や街の賑わいを取り戻したいなど、切実な課題が山積しています。AXISでは、国内外のクリ エ イター 、エ ンジニア、研究者などとタッグを組みながら、調査分析からコンセプトメイキング、戦略構築、各種デザイン、プロデュース、具現化、効果検証まで、ワンストップで推進する体制を整えています。


AXISには、机上の計画で終わらせるのではなく、それを具現化できる強みがあります。私たちの活動に共感いただける企業や自治体と手を携えて取り組みながら解決策を見出し、社会へ発信し続ける。広い意味での「デザイン」が普及することで、より良い社会づくりの一助になればと考えています。



AXISのアプローチ

「Big D」と「Small d」とをあわせもつ視点

AXISでは、デザインコンサルティングおよびクリエイティブディレクションを行っています。プロジェクトでは、まずデザインリサー チから始め、現状や問題点を把握したうえで計画を立案し、具体的なデザインヘと進めます。もちろんデザインが軸となりますが、私たちが大きな目標としているのは、デザインを通して社会的・文化的な価値を創造することです。


皆川雄一 | アクシスデザイン研究所クリエイティブディレクター


そこで重要なのは、「Small d」と呼ばれる個々のデザインの質の追求だけではなく、もう少し視線を上げて、プロジェクト全体を、その周辺の状況や環境も含めて俯瞰できる「鳥の目」をもつことです。いわゆる「Big D」の視点ですね。私たちは、その企業や地域が根ざしている「文化的視点」や、過去を継承しながら未来へとつないでいく「未来的視点」を調査分析して「Big D」を描き、それをしっかりと「具現化」していく、総合的なデザインの実践を目指しています。


情報化社会の進展や環境問題の深刻化のなかで、柔軟性のある開かれた組織づくりやサステナブルな運営の仕組みなど、組織のあり方や運営方法にも大きな変革が求められています。「Big D」の視点は、組織やその仕組みにも積極的にアプロ ー チしていきます。個々のデザインの完成度を高めると共に、その背景も包括的に捉えたうえで、ハードもソフトもトータルに考える視点をもつこと。「Big D」と「Small d」をあわせもつ視点が、私たちAXISのアプローチの大きな特色だと考えています。



「体験(Experience)」という価値を創る

私たちがデザインの可能性として重視しているのは、使う人たちの「体験」をいかに豊かにできるのかという視点です。プロジェクトのスタートでは、なぜこのプロジェクトが必要か?という原点の確認と共に、誰に、どのような体験を届けるのかというコンセプトの構築に力を注ぎます。


その際には、有識者へのヒアリングなどのリサー チも積極的に行います。考えるべき与件は多岐に及びますから、リサーチもなるべく領域を狭めないで、広くゆるやかに、より多くの方々のご意見をうかがうようにしています。もちろんリサーチには時間も費用もかかりますが、私たちはそのプロセスが、クライアントとコンセプトを共有するためにも有効だと感じていますし、だからこそ新しい発想を生み出すことができると考えています。


美しく機能的なデザインを実現する「Small d」を、ユーザー につないでいくのが「体験」のデザイン( Experience Design)です。大切なのはユーザーの感性に響くこと。その場所や施設ならではの力や文化、歴史、価値観が感じられるストーリーこそが、ユーザーの新しい「体験」を開いていく。狭い意味での機能性だけではなく、エンジニアリング、アート、サイエンスなど多彩な領域を統合しながら、常に仮説を立て、繰り返し検証していくことで、感性に響くデザインを実現していきたいですね。



検証し、進化し続けるAXISデザイン

AXISのもう一つの特色は、実験実証型のプロジェクト推進です。今後は、このパートをより重視していきたいと考えています。プロジェクトを実装して完成ではなく、その効果や影響力を調査し、 ユーザーの評価もしっかり認識したうえで、次のプロジェクトに反映させていく。これまで世の中にはなかった「新しい価値」の提案を目指すからこそ、検証し、その結果を取り込みながら進化していくことがより重要だと考えています。


私たちが重視する「体験」の価値は、なかなか数値で測ることができません。検証は、社会心理学者などそれぞれのプロジェクトにふさわしい専門家の助言をいただきながら、インタビュー 、アンケート、定点観測、行動観察など、さまざまな手法を駆使して継続的に行い、それをプロジェクトの一環として組み込みます。ー朝ータに効果が現れるものばかりではありませんから、その点でも継続することが重要です。


検証が継続できる仕組みづくりも大切です。たとえばテナントオフィスビルであれば、賃料の数パーセントをプロジェクトにストックし、効果の検証はもちろん、今後のさらなる社会的意義を高めた展開への投資とするなど、運営システムの工夫も必要になってくると思います。こうした検証を通じて効果を確かめながら、クライアントやユーザー の皆さんと共にプロジェクトを育てていける環境ができれば、とてもいいですね。

メディアを軸としたデザインの展開

私たちの軸となるスキルはデザインコンサルティングですが、プロジェクトの「なぜ(Why)」「何を(What)」「どのように(How)」を精査していくと、クライアントの組織のあり方やその目指すもの、プロジェクトのその後の運営の仕方などが課題となるケー スもあります。そこを契機に、母体となる企業の組織づくりやアイデンテイティづくりにも積極的にかかわりながら、プランディングを始めとする新たなソフトやハードの提案へと、トー タルなコンサルティングを展開できるのが、私たちの強みだと考えています。


そのベースとなっているのは、AXIS の誕生と共に創刊され、以来40年以上続くデザイン誌「AXIS」を中心としたAXISメディアです。現在ではWebも活用しながら、デザインを取り巻く国内外の最新の情報を継続的に収集・発信し続けています。私たちはそこに菩積された膨大な知見と、世界につながるネットワー クを駆使することで、建築やインテリアを含む空間デザインから、ブランディング、サービスデザイン、コミュニケーションデザイン、まちづくりに至るまで、幅広いフィールドに対応しています。



「ミュージアムタワー 京橋 (MTK) 」の試み

今回のMTKのリニューアルでは、企画および戦略構築、クリエイティブディレクションに携わりました。このプロジェクトを通して、テナントオフィスビルのあり方、クリエイティブな組織や人材づくり、さらにはまちづくりに至るまで、まさに、AXISの強みである「Media Based Design」を活かした、総合的なケイパビリティを発揮することができたと思っています。


とくにMTKでは、母体となるブリヂストンの創業者から連綿と受け継がれてきた歴史や文化資源、そこに貫かれた強い「想い」に深くアプローチしながら企画、デザインしたことで、過去、現在、未来をつなぐ体験的な空間が実現できたと思います。テーマとなった「WORK with ART」は、創業者がMoMA(ニュー ヨーク近代美術館)に感銘を受けてアーティゾン美術館の前身であるブリヂストン美術館を創設し、都市に生きる人々に豊かな環境を提供したことが、まさにその先駆けといえます。このリニューアルは、その文化的視点の延長線上に構想されています。


今、大きな社会的変動のなかで、次々と新しい施設や空間、場所が生まれ続けています。それと共に、変わりゆく社会に柔軟に対応できるように組織やそこで働く人々のあり方も大きく変わろうとしています。そこに、私たちはどのような貢献ができるのか。組織や人材をよりクリエイティブに変えていくことができる環境を、デザインの力で実現していく。私たちは、そのチャレンジを続けたいと考えています。




AXIS Capability for Clients(2) —[Case Study]ミュージアムタワー京橋 「WORK with ART」


AXIS Capability for Clients(3) —AXISが生み出す多彩なデザインソリューション











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