京セラコミュニケーションシステム株式会社

水害対策の新しいカタチ。136の自治体・企業で利用!浸水検知サービス「SUIJIN」

2025年10月07日

「もっと安心、安全を届けたい。」

そんな想いから生まれた、浸水検知サービス「SUIJIN」。


近年、記録的な豪雨や台風による水害が頻発するなか、防災意識はかつてないほど高まっており、災害大国である日本では、行政だけでなく、企業や個人に至るまで、迅速な災害対応や被害軽減のための新たな対策が求められています。

こうした社会的なニーズに応えるべく生まれたのが、低コストで広範囲に設置可能な浸水検知サービス「SUIJIN」です。



気候変動時代における水害への備えとして、SUIJINがどのように誕生し、どのような想いが込められているのか。当社担当者に加え、実際に導入された草加市役所、株式会社ゆりかもめのご担当者様にお話を伺いました。

▇「SUIJIN」がもたらす、新しい防災のカタチ

-はじめに、SUIJINの特長について教えてください。

井垣:SUIJINは、水害の発生をいち早く検知し、迅速な初動対応を可能にする浸水検知サービスです。その最大の特長は、低価格かつ設置が簡単なことです。これまでの機器は水位計での一級河川の氾濫監視がメインで、電源工事をはじめ各種費用も高額なため、浸水想定地域を広範囲に監視することが困難でしたが、SUIJINは一級河川だけでなく堤防や道路、交差点など広範囲に多数設置することが可能で、「浸水をしたか・していないか」を検知することに特化しています。検知した際は、当社のクラウドシステムを通じてリアルタイムに通知されるため災害の第一報として機能し、わざわざ現地に赴くことなく状況を把握し、迅速な対応ができます。

-SUIJINを開発したきっかけを教えてください。

熊澤:令和5年度から国土交通省が実施する「ワンコイン浸水センサ実証実験(※1)」に参画したのが開発の大きなきっかけです。

「ワンコイン(低価格・小型)」というコンセプトに注目し、KCCSが提供する低価格・低消費電力が特長のIoTネットワーク「Sigfox(※2)」との親和性が高いと考えました。大量にセンサを設置しデータを効率的に収集することで、社会課題の解決に貢献できると着想し、開発を始めました。


※1 センサを用いてリアルタイムに浸水状況を把握し防災行動に繋げる仕組みの構築に向けて、国や自治体、民間企業等のさまざまな関係者が協力し、センサの特性や情報共有の有効性等を実証する実験。

※2 低価格・低消費電力・長距離伝送を特長とするグローバルIoTネットワーク。KCCSが日本国内唯一のSigfoxオペレータとしてインフラ構築およびネットワークサービスの提供を行う。

▇現場で学んだ「シンプルさ」の重要性

-開発の中で大変だったことはありますか?

熊澤:開発における最大の課題は、「低価格」と「誰でも簡単に設置できるシンプルさ」の両立でした。構造やセンシング技術にこだわりすぎるとコストがかさんでしまうため、「水に触れたら通知する」という、徹底的にシンプルなセンサを実現することに注力しました。また、本来のコンセプトである設置の容易さを実現するため何度も現場に足を運び、自治体の方々の声を直接聞きました。

特に炎天下の中、実際にドリルを使ってコンクリート壁に穴を開け、試作品を設置したことは今でも鮮明に覚えています。この経験を通じて、設置を簡単にすることがいかに重要であるかを肌で感じ、結束バンドでも設置できる仕様にしました。こうした創意工夫により「低価格」を実現し、ワンコイン浸水センサ実証実験において非常に安価な価格でご提供できるまでになりました。


▇初動の迅速化が命綱。136の自治体・企業が選んだリアルタイム監視

-SUIJINは現在、どのくらいのお客様に導入され、導入先では実際にどのように活用されているのでしょうか?

井垣:現在、全国136の自治体や企業に導入が進んでいます。

自治体では、河川周辺だけでなく交差点や道路標識、ガードレールなど、身近な場所に設置されています。これにより、台風や内水氾濫による道路の冠水をいち早く検知し、通行止めなどの初動対応を迅速に行うことが可能になります。

一方、企業では事業所や浸水すると困る設備、倉庫などに設置されています。遠隔で浸水状況を一元管理できるため、被害の拡大を未然に防ぎ、迅速な対応につなげることができます。


▇【活用事例①】市民と職員の安全を守る、草加市の浸水対策|埼玉県草加市役所

草加市役所ご担当者様

-SUIJINを導入した背景について教えてください。

令和5年6月の台風2号の接近に伴う記録的な大雨により、草加市全域で家屋の浸水被害や道路冠水が発生しました。この経験を踏まえ、市民の安全確保や迅速な水防活動を実施するため、市内の浸水発生状況をリアルタイムで把握できるシステムを検討した結果、浸水検知サービス「SUIJIN」を導入するに至りました。

-そうした経験があったのですね。SUIJIN導入前の課題について教えてください。

導入前は、道路冠水の状況把握を職員によるパトロールや市民からの通報をもとに行っていました。そのため浸水状況の見落としや、いつから浸水が始まったかといった詳細な情報の把握が難しいという課題がありました。

また、草加市は水の溜まりやすい地形であり、大雨が降ると排水が追いつかず、浸水が発生する可能性が高い地域となっています。近年の記録的な豪雨により、いつ河川氾濫が起きてもおかしくない状況の中、職員によるパトロールは常に危険を伴うものです。浸水センサの導入によって、これらの課題を解決する一助になるものと考えています。

-それは大変でしたね。数ある浸水センサの中からなぜSUIJINを選ばれたのでしょうか?

草加市は、国土交通省が実施する「ワンコイン浸水センサ実証実験」に令和6年度から参加する中で、複数の浸水センサを比較・検討した結果、価格の安さと取り付けが容易なSUIJINの導入を決定しました。

-導入後は、実際にどのように活用されていますか?

令和5年の台風2号で被害を受けた箇所を中心に、浸水被害が発生しやすい地域43カ所に計93個のセンサを設置しました。路面から10cmと30cm(一部は加えて50cm)の高さに市職員が直接取り付けを行い、令和6年7月から運用を開始しています。

幸いなことに現時点では浸水の検知はありませんが、SUIJINの導入により職員はパソコンやスマートフォンを利用して、いち早く浸水状況を把握することができ、迅速で効率的な出動体制が構築できています。これからもSUIJINのデータを最大限に活用した災害対応体制を確立することで、市民の皆様の安全を守るための取り組みを続けていきます。


草加市内でのSUIJIN設置写真(左)とSUIJINアプリで浸水状況を確認している様子(右)

▇【活用事例②】無人運転を支える浸水状況のリアルタイム監視|株式会社ゆりかもめ

株式会社ゆりかもめご担当者様

-SUIJIN導入前の課題について教えてください。

近年、想定を上回る記録的な集中豪雨が増加傾向にあります。高架橋上を走るゆりかもめでは、一時的に排水能力が低下し、滞水が発生することがあります。昨年、豪雨により線路上のチリや飛来物が排水設備を閉塞し、急激に水かさが増して列車の運転を見合わせる初の事態となり、多くのお客様にご迷惑をおかけすることとなりました。 無人による自動運転を採用しているゆりかもめでは、これまで社員が列車の前方に乗り込み、目視で滞水状況を確認していましたが、強い雨や夜間は視界が悪く、正確な状況把握が困難でした。

-それは大変でしたね。数ある浸水センサの中からなぜSUIJINを選ばれたのでしょうか?

SUIJINの採用にあたっては、①外部電源の確保が不要であること、②一度設置すれば電池寿命内の約5年間はメンテナンスが不要であることが大きな選定理由となりました。さらに、設置後のランニングコスト(通信費など)が比較的安価であることも、導入の決め手となりました。

-実際に導入されてみていかがでしたか?

導入直後に強い雨が降り、実際に浸水を検知する事例がありました。導入してみて改めて感じたことは、滞水状況をリアルタイムに遠隔で把握できる点や強雨時・夜間時など視界が良くない環境においても滞水状況を定量的に把握できる点はSUIJINの最大の強みであると感じます。これまでは社員が目視で確認していたため、個人の判断に差が生じることがありましたが、SUIJINの導入により水位という明確なデータに基づいて迅速かつ的確な対応が可能となり、鉄道事業の使命である安全安定輸送の確保に大きく貢献しています。


線路内でのSUIJIN設置状況

▇SUIJINが描く未来-水害から命を守る-

-こうしたお客様の声を受けて、お二方は今後どのような展望を描いていますか?

熊澤:今後は、営業としてパートナー企業様との連携をさらに強化し、共にSUIJINを広めていきたいと考えています。そして、市場シェア50%を獲得することを目指していきたいです。


井垣:浸水被害を最小限に抑える未来を実現したいですね。これまでは「ワンコイン浸水センサ実証実験」に参画することで、全国の自治体様を中心にSUIJINの認知を広げ、導入いただくことができました。今後は、皆さんの身近な場所でSUIJINを見かけるくらいさらに多くのお客様にご活用いただき、住民の皆様の安全や大切な資産を水害から守るお手伝いをしていきたいと考えています。



公開時期:2025年10月

掲載されている内容は発表日現在の情報です




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