六甲バター株式会社

万博で28.8万食の大盛況! 100%植物性なのに食べた人の7割が「これもチーズ」と回答 ベビーチーズのQBBが挑んだ植物性レストラン 担当者が赤裸々に語る万博出店の現実と手応え

2025年10月23日

「正直、最初は泣きそうでした(笑)」そう語るのは、六甲バター株式会社 マーケティング本部 事業開発部長の中尾真範。大阪・関西万博に出店した『QBBこれもいいキッチン』は、動物由来の原材料を一切使わず、すべて植物性素材でメニューを構成した※1レストランだ。開幕当初は万博の来場者が少なかったこともあり、店の売上もやや低迷していたが、SNSで少しずつ好意的な反応が広がり、売上は右肩上がり。9月以降の平均日販は実に4月の2倍を超えた。最終的には行列が絶えない状態となり、総販売食数約28.8万食を達成。当初の売上必達目標もクリアした。来店者アンケートでは、植物性チーズメニューを食べた人の7割が「これもチーズ」と回答。さらに85%以上が「植物性食品への印象が良くなった」と答えた。「いろいろあったけど、やっぱり万博に出店してよかった」と中尾は振り返る。大阪・関西万博へのALL植物性※1レストラン出店の苦労と手応え、そしてチーズ代替植物性食品『Q・B・B PLANT MADE®』※2の展望について、六甲バターのブランド担当者が、万博の舞台裏を含めて赤裸々に語った。

六甲バター株式会社

マーケティング本部 事業開発部長

中尾真範



おいしくなければ『植物性チーズ』※3をつくる意味はない

2024年に植物性チーズを販売開始したとき、社外からは「よく既存事業と競合する商品を出しましたね」と言われました。でもチーズ事業が中心だからこそ分かるんです。乳製品の環境負荷の問題はもう避けて通れない。あまり知られていませんが、1kgのチーズをつくるのに排出されるCO₂は約21kg※4と言われています。チーズが大好きな会社だからこそ、これからもチーズを作り続けたいからこそ、持続可能なチーズ文化もつくりたかったんです。


開発コンセプトは『チーズ好きのための植物性』でした。植物性にしてはおいしい、ではなく、「チーズ好きが本当においしいと思えるかどうか」を基準にしました。社内では「おいしくなければQBBじゃない」という合言葉が飛び交っていました。ですが、乳タンパクって本当にすごい(笑)。乳タンパクを使わずにチーズの味と食感を再現するのは至難の業でした。状況を打開したのは発想の転換です。化学的にチーズに近い物性・味を目指すのではなく、人がチーズと感じる物性・味を目指す。言い換えると、分析値での近接ではなく、口内感覚での近接を目指す。開発思想をこのように変えたことで、従来よりもチーズを食べている感覚と近い感覚を得られるものができました。そこから一気においしくなっていきました。なんとか誕生した『Q・B・B PLANT MADE®』を初めて食べた時には「コレは絶対に皆様に愛される商品になる」と強く確信しました。

『Q・B・B PLANT MADE®』の開発メンバー



チーズ屋がなぜ、万博で植物性レストランをつくったのか

じつは、植物性チーズの開発初期から“万博に出そう”ということは決めていました。植物性チーズを広めるには、頭ではなく舌で理解してもらうしかない。万博は『未来社会の実験場』というテーマだったので、植物性チーズのおいしさを知ってもらうこれ以上ない舞台だと思っていました。しかも我々は神戸に拠点を持つ関西の会社です。日本中、世界中から多くの人が未知の体験を求めて関西にやってくるこの場で、未来の当り前となるであろう新しい食を体験してもらいたい、そしてそれがきっと社会の流れを変える契機となるはず、そう考えました。この構想を実現するために、特に食べ応えを強調した食事系のメニュー監修にはミシュラン三つ星『祇園 さゝ木』の佐々木浩シェフを起用し、感動するほどおいしい植物性チーズメニューをということで、妥協なく味を追求し開発を重ねました。結果、テレビでもずいぶん取り上げていただいた串カツをはじめ、カツサンドにキーマカレー、それにレアチーズケーキなど、味は大満足なのに100%プラントベースという、これまでの植物性食品のイメージとはまったく違うギャップのあるメニューができあがりました。我々のチーズメーカーとしての知見も総動員して、チーズ好きも大満足できるメニューを形にできたと思います。

QBBこれもいいキッチン



7割の人が「これもチーズ」と回答してくれた

2025年4月13日のオープン以来、多くのお客様にご来店いただき、総提供食数は28.8万食に到達しました。うち、植物性チーズを使ったメニューだけでも17.6万食にもなります。想像を超える反響があり、海外のお客様も多く、「これが植物性なの?」と驚かれる表情を見るたびに、食が国境を越えて人をつなぐことを実感しました。特に人気だったのは『これもスパイシーカツ』というグルメサンドです。植物性チーズを使用し、ボリューム満点で、食べ歩きメニューとしても好評でした。スイーツでは『これもレアチーズケーキ』が断トツ人気。動物性のチーズ不使用とは思えない濃厚さで、「おいしい」と言ってくださるお客様が非常に多かったです。レストランではお客様にアンケートを実施し、植物性チーズ使用メニューを食べた人の7割が“これもチーズ”と回答してくれました。さらに、85%以上の方が「植物性食品への印象が良くなった」と回答してくれています。

来店者アンケート

実査日:2025年8月6日・7日 サンプル数:n=446 調査対象者:植物性チーズメニュー喫食者



我々は万博レストラン出店前に、『チーズと言えない植物性について』と題した意見広告を出していたのですが、実際に万博でチーズと言えるおいしさを証明できたことは、大きな自信になりました。もちろん、生みの親という贔屓目もあったかもしれませんが、実際に大阪・関西万博に出店させていただき、「どれを食べてもおいしい」「食べ応えのあるメニューをヴィーガンで食べられることが嬉しい」「万博が終わってもレストランなどで気軽に食べたい」といった皆様のお声を聞けたことで、植物性チーズに一層強い可能性を感じました。

『チーズと言えない植物性について』意見広告(2024年11月10日)



出店したからこそ肌で感じた、植物性を熱望する人たちの想い

忘れられない光景があります。ある時店頭に立っていたら、偶然男子高校生らしき2人組が来て「おれ、ここに一番注目してたのよ」と言いながら当店の列に並んでくれたのを目の当たりにしてびっくりしました。こういうことを友人同士で言い合う高校生が現実にいるんだ、と。いわゆる『意識高い系』といった感じでは全くなく(笑)、ごくごく普通の高校生が、他にも魅力あるお店がたくさんある万博で、“一番注目”と言ってくれる。これには本当に驚きました。時代は変わりつつある、と強く感じました。また、海外パビリオンのスタッフさんたちが、うちの常連さんになってくださったこともうれしい驚きでした。アメリカ館、インド館、カタール館などのスタッフの方が、何度も何度も来てくださいました。海外のヴィーガン比率を考えれば当然なのかもしれませんが、データで知っていた『世界の当たり前』を肌で感じることができたのも、万博に出店してよかったことのひとつです。



万博出店によって生まれた、『新しいビジネスの芽』をどう育てていくか

「万博に出店してよかったか?」と聞かれたら、こう答えます。トータルで言ったらよかった、と。でも前半は本当にヒヤヒヤ。やらなかった方がよかったのかも…と頭をよぎったくらいです。(笑)

けれどその分、後半にたくさんいいことがあって、前半のヒヤヒヤを補って余りある出店効果と学びを得られたと思っています。やはり商品を店頭に並べるだけだと、残念ながらまだまだ植物性チーズに魅力を感じてもらいにくい。でも、今回のようにメニューとして提供すれば段違いに関心を持ってもらえるし、喜んでもらえることを確認できました。お客様はもちろん、お招きしたお取引先様にも喜んでいただけたことも大きいです。実際ご来店いただいたお取引先で、すぐさま全店導入を決めてくださった企業様もありますし、万博で提供していた植物性のチーズカレーをスーパーマーケットのデリカコーナーで販売していただくことや、植物性のレアチーズケーキのスポット販売も決定しました。こうした展開はうれしかった半面、これまでの売り方を大いに反省しました。万博以前はセールスの際に『商品情報』を提供していたにすぎず、『おいしく食べる情報』がまったく不足していたのだと痛感しています。メーカーとして新しい食材を開発した際には、そのおいしい食べ方も同時に開発すべきだったと気づかされました。お客様にとって未知で不安な食材を買っていただくためには、まずはとにかく一度おいしく食べていただくことにもっと懸命に取り組むべきでした。今後は、植物性チーズをおいしく食べてもらう『食べ方提案』を強化したセールスを行っていきたいと思います。万博ロスですか?全然ないです。むしろここからがスタート。カフェでソイラテやオーツラテが当たり前の選択肢になったように、植物性チーズが“当たり前の選択肢”になる未来を目指していきます。


「2025年の万博が“食の転換点”だった」と言われる日を夢見て。

QBBの挑戦はまだ終わらない。



『Q・B・B PLANT MADE®』について

メニューに使用している『Q・B・B PLANT MADE®』は、環境に優しくサステナブルなチーズ代替植物性食品のブランドです。『チーズ好きのための植物性』を掲げ、植物性の原材料のみで作られているにも関わらず※1、チーズ好きのお客様にもご満足いただけるよう、おいしさにこだわって開発しています。

商品名:Pシュレッド

内容量:150g

希望小売価格:オープン価格

賞味期間:180日






商品名:Pシュレッドのびーるタイプ

内容量:150g

希望小売価格:オープン価格

賞味期間:180日


※1 食塩・香料製剤は植物由来ではありません。ただし動物由来のものは一切含みません。

※2 QBB PLANT MADEとは? https://www.qbb.co.jp/lp/plantmade

※3 植物性チーズは、正確には「チーズ代替植物性食品」と呼称されますが、本稿では可読性を考慮し、便宜上「植物性チーズ」と表記しています。

※4 出典:OurWorldinData.org



< 会社情報 >

会社名   : 六甲バター株式会社

代表者   : 代表取締役社長兼CEO 塚本浩康

所在地   : 神戸市中央区坂口通一丁目3番13号

設立       : 1948年12月13日

事業内容: チーズ等の製造販売、ナッツ等の販売

TEL       : 078-231-4681(代表) 

FAX       : 078-231-4678

                 公式HP: https://www.qbb.co.jp/





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