株式会社伊勢半

【プロジェクトの裏側】「伊勢半200年の軌跡」と「あの頃の記憶」が交差する場所—— 紅ミュージアム「愛せよコスメ!リターンズ」

2025年10月23日



伊勢半グループのひとつである株式会社伊勢半ホールディングスが運営する東京・南青山の紅ミュージアムでは、6月25日~9月28日まで伊勢半グループ創業200周年を記念した企業史展「愛せよコスメ!リターンズ」が開催され、連日にぎわいを見せました。


時代に驚きとワクワクを与えてきた「キスミー」ブランドをはじめとする、伊勢半グループの商品・広告宣伝について、戦後80年の歩みを中心にお届けした本展。「昔使っていた!懐かしい!」「祖母や母のドレッサーに置いてあった!」など、来場者が嬉しそうに懐かしみながら、あの頃の記憶を思い起こしている姿も垣間見られました。


今回は約3か月にわたり企業史展を見届けた紅ミュージアムのスタッフ、松本知里と八木原美佳に話を聞きました。


株式会社伊勢半ホールディングス コーポレート企画本部 本紅事業部 松本知里


株式会社伊勢半ホールディングス コーポレート企画本部 本紅事業部 八木原美佳


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企業史展「愛せよコスメ!リターンズ」— 「美しくありたい」不変の願いに応え続けた200年の軌跡


企業史展「愛せよコスメ!リターンズ」は、紅ミュージアムを運営する伊勢半グループが今年、創業200周年を迎えたことを記念し開催されました。

いつの時代も変わらない「美しくありたい」という人々の願いに、200年もの長きにわたり応え続けてきた伊勢半グループの歩みを振り返るコンセプトで構成。

また、私たちの化粧品が果たしてきた社会的な役割や背景を紹介するという目的のもと、当時の出来事や社会背景なども交えながら解説しています。


会場最大の見どころ!歴代商品286本が並ぶ圧巻の口紅ツリー


200周年のバースデーを祝うパーティー会場をイメージした展示室は、明るくポップな色使いの装飾で彩られました。会場に入るとまず目を引く口紅ツリーは、一世を風靡した「キスミーシャインリップ」など、戦後に伊勢半グループが生み出した商品を中心に、紅ミュージアムに現存する全286本の口紅を大きなバースデーケーキに見立て、9段のタワー状に並べました。

圧巻の口紅ツリーは大きな見どころとして、来場者の皆様も足を止め、あの頃使っていた商品を探したり、ご自身の生まれ年のものを探したりと、思い思いに楽しまれていました。


世代を超えて共感と発見を呼んだ伊勢半ヒストリー、キスミーと来場者の記憶が交差する場所


客層について聞いてみると、若いころにキスミー商品を愛用していた40~70代の女性が友人同士で来場するケースが多く見られたといいます。限られたスペースながら、現在に至るまで約80年分の商品を所せましと並べた「商品ヒストリー」が、最も印象的だったという感想を多くいただきました。

自分がかつて使っていた化粧品や、祖母・母の鏡台にあった化粧品など、自身の記憶や経験と重ねて懐かしんだり、世代を超えて当時の話に花を咲かせたりする方も多くいらっしゃいました。


戦後における伊勢半グループの商品史を、当時の品とともに展示


八木原:1970年に発売され、最高で年間1300万本超とギネス級の売上を誇った「キスミーシャインリップ」を、学生時代に愛用していたというお客様も多かったです。

展示でシャインリップを見つけると、懐かしそうに盛り上がる様子もお見受けしました。お客様アンケートでも「シャインリップとともに学生時代を過ごした世代なので、とても楽しく拝見しました」「キスミーシャインリップを使っていた子どもの頃を思い出し懐かしい気持ちになりました」など熱量の高さを感じました。


松本:お取引先や化粧品業界の方々にも多く来場いただきました。ご自身が仕事で携わった商品を当時の仕事の思い出と重ねて振り返られたり、キスミーのユニークな広告宣伝・販促や、6代目澤田亀之助の経営者としての姿を興味深くご覧になったりしている方が多い印象でした。

また、新聞などのメディアでもお取り上げいただき、それをきっかけに興味を持って来場してくださったお客様も多く、会期終盤に向けて賑わいが増していきました。


商品史のほか、昭和の人々の注目を集めたキスミーの広告なども展示


また、愛用している商品が伊勢半のものとは知らずに来館し展示を見て驚かれる方や、そのルーツが江戸時代から続く紅屋ということに新鮮な発見を覚えてくださる方もおり、世代を超えた共通の話題が生まれたばかりでなく、伊勢半グループの過去と現在をつなぐ企画展にもなりました。


PSPシステム再現で化粧品販売の革新を体感、“選ぶ楽しさ”が来場者を魅了


さらに、展示の最終章では、伊勢半が1966年に日本の化粧品業界に初めて導入したPSPシステムの商品棚を再現。お土産として好きなコスメ(ミニサンプル)をひとつ選んで持ち帰れる趣向にしたといいます。

PSP(パーフェクト・セルフ・パッケージ)システムは、透明のプラスチックカバーに入れて台紙をつけた商品をフック付きラックにかけ、売り場でお客様自身が自由に手にとって選び、購入できる販売方式です。現在ではドラックストアなどで見られる一般的な販売方式として浸透・定着しています。PSP導入以前、日本の化粧品販売は百貨店で見られるような対面接客が主流でした。


伊勢半が日本の化粧品業界に初めて導入した「PSPシステム」

現在のセルフ販売方式の礎となっている


八木原:PSPシステムは伊勢半が、現在に至るまで日本の化粧品業界で奮闘してきたことが分かる物のひとつですし、皆さん嬉しそうに商品を選ばれていました。なかでもミニサイズのヘビーローテーションの眉マスカラが人気でした。


ただお土産をもらえることが嬉しいというばかりでなく、「好きな商品を自ら選ぶ」ということに楽しみを見出している方も多く、かなり熟考されている方もいらっしゃいました。1966年にPSPシステムが日本の化粧品売り場に導入された当時も、このようにお客様が「どれにしようかな」と楽しく悩まれていたのかなと、思いを馳せました。


自分で好きな化粧品を選び取る楽しみを体験できる


松本:本来、PSPシステムは店員の力を借りずに自分で商品を選んでいただくための仕組みですが、悩まれる方にはスタッフがお声がけし、アイテム紹介や色選びのお手伝いをさせていただきました。

私たちの商品へのこだわりや思い入れをお伝えしたり、お客様からは商品のエピソードをお伺いしたりするなど、コミュニケーションが生まれ、「伊勢半愛」をわかち合うような、大変実りあるひと時でした。


化粧品づくりワークショップと紅ミュージアム20周年イベント、育まれた社内連携の成果


さらに会期中には小学生向けに「化粧品会社研究員と作ろう!スキンケア化粧品手づくり体験」という特別企画も開催されました。


「化粧品会社研究員と作ろう!スキンケア化粧品手づくり体験」の様子


八木原:伊勢半グループには自社の研究所があります。企業史展の会期中、研究員を講師役に乳液を手作りしながら化粧品が完成するまでの仕組みを学ぶ、小学校3年生~6年生を対象とした体験型のイベントを行いました。


普段はなかなか社内でも接点がない、研究所の皆さんの力を借りて実現できたワークショップでした。夏休みということもあり、自由研究として真剣に取り組むこどもたちの姿が印象的でした。

今回の企業史展は社内の連携が必要な場面も多く、グループ全体で良い一体感を醸成できたのではないかと思います。


そして、今年は伊勢半グループ創業200周年に加え、紅ミュージアムも2005年のオープンから20周年という節目を迎え、3月には20周年記念イベント「紅ミュージアムデー」も開催されました。



紅ミュージアムデーのイベントで実施された色素の抽出実験の様子


松本:紅ミュージアム20周年を盛り上げようと、スタッフ全員でさまざまなアイデアを出し合いました。ガイドツアーや紅の原料から色素を抽出するデモンストレーション、紅染めした素材を使ってトートバックをデコレーションするワークショップなど、様々な角度から紅の魅力を体感していただく1日となりました。


企業史展の会期中は、過去の人気コスメを模したフォトプロップスなど、手作りの撮影用の小道具を用意すると同時に、現在の商品の店頭用ディスプレイ台とテスターも展示。創業200周年ならではの見せ方を工夫し、祖業の紅づくりだけでなく、伊勢半グループの現在地も知っていただけたのではないかと思います。


紅ミュージアムデー、企業史展「愛せよコスメ!リターンズ」に続き、紅ミュージアム開館20周年を盛り立てるイベントはまだまだ続きます。最後に、3か月におよぶ企画展を終えた現在の想いと、今後の紅ミュージアムの展望について聞きました。


紅の文化を未来へつなぐ施設として、何度でも訪れたくなるミュージアムへ


八木原:伊勢半グループ創業200周年の節目を記念した企業史展を無事に終えることができてホッとしています。この企業史展を通じ、社内一丸となって活動することができ、次の100年に向け良いスタートが切れたのではないかと思います。


11月からは「手仕事ギャラリー」も開催予定です。初めてご来館の方にも、何度もお越しいただいている方にも楽しんでいただける展示にしたいと準備中です。何度お越しいただいても楽しめる場所にできればと思いますので、引き続き紅ミュージアムに関心をお寄せいただけると嬉しいです。



松本:いろいろとアイデアを凝らした仕掛けの甲斐あり、お友達・家族といらした方だけでなく、おひとりでお越しのお客様にも、それぞれ楽しんでいただくことができてよかったです。連日、猛暑日が続くなか、足をお運びくださったお客様には感謝の気持ちが尽きません。

この企業史展をきっかけに、より深く伊勢半グループの歴史や商品について学ぶことができたこと、私たちにとっても大きな財産となりました。これからも他にはない個性的な展示をより多くの方に知っていただき、楽しんでいただけるよう、スタッフ一同、知恵を絞っていきたいと思います。


11月からは、これまで紅ミュージアムで紹介してきた伝統工芸に再び光を当てながら20年間の歩みを振り返る、手仕事ギャラリー 開館20周年記念「紅ミュージアム寿語録(

すごろく)」を開催予定。


江戸時代から守り継ぐ紅づくりの技や紅の文化を発信し、後世へと伝えていくことを使命にオープンした紅ミュージアム。

これまで、化粧・江戸・技・工芸をテーマにしたさまざまな企画展をはじめ、伝統工芸の技を継承し、未来を担うべく活動する作家や団体にスポットをあてて紹介する「未来の匠」や「手仕事ギャラリー」等の企画、講座やワークショップ、出前授業などの教育普及事業を行ってきました。

本展では、すごろくで開館からの歩みをたどりながら、伝統工芸の技や作品を紹介します。


手仕事ギャラリー 開館20周年記念「紅ミュージアム寿語録(すごろく)」

イラスト/笹井さゆり氏


手仕事ギャラリー 開館20周年記念「紅ミュージアム寿語録(すごろく)」

会期:2025年11月11日(火)~12月13日(土)

開館時間:10:00~17:00(入館は閉館の30分前まで)

休館日 :日・月曜日

観覧料 :無料

主催:(株)伊勢半ホールディングス

詳細:https://www.isehan-beni.co.jp/cat-museum/2025_teshigoto/



現存する最後の紅屋として、紅の文化や紅づくりの技術を後世へ繋いでいくべく、さまざまな切り口で来場者の好奇心をくすぐるような、身近で魅力的な施設になればと思います。今後も紅ミュージアムの活動にご注目ください。




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