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思い出の詰まった服
リメイクでエコバッグに

思い出の詰まった服  リメイクでエコバッグに

 思い出のある服を再利用してエコバッグに。サステナブル(持続可能な)社会の実現に向けた取り組みとして、洋服のエコバッグへのリメイクを受け付けている会社が、川崎市内にあります。

子ども服をリメイクして作ったエコバッグを手にする「誠屋」取締役営業統括本部長の澁谷隆太さん

■きっかけは不織布バッグ廃止

 「リメイクエコバッグ」を手掛けているのは、創業64年目を迎える「誠屋」(本社=高津区末長)。高津区と宮前区を中心に、市内などに12店舗を展開するクリーニング会社です。

 きっかけは、2020年7月のレジ袋有料化に伴う、仕上がり品持ち帰り用不織布バッグの廃止。「会員に配布していた物だったが破れたりしたらゴミになってしまう。『本当にエコなのか?』と疑問を感じる部分もありました」と取締役営業統括本部長の澁谷隆太さん(34)。「環境に配慮した上で不織布バッグに代わる新たなサービスを」と考え、思い付いたのが、誰でも持っている〝思い出の服〟の再利用でした。

 愛着のある洋服や残しておきたい子ども服などをリメイクでよみがえらせて、ずっと使い続けてもらえたら―。そこで「捨てないアパレル」を企業理念に掲げ、持ち込まれた着物や毛皮などを使い、新しい衣料品に生まれ変わらせる〝グレードアップリメイク〟を手掛ける「ニィニ」(埼玉県蕨市)に相談。世界で一つだけの「リメイクエコバッグ」が誕生しました。

澁谷さんは家族で作ったTシャツを再利用

■汚れやシミも思い出に

 ほどよい柔らかさと軽さを併せ持つ綿帆布で作られたエコバッグの大きさは、使用時で縦42㌢×横54㌢で、15㌢のマチ付き。スーツなら5着は入るほどの容量がありながら、折りたたみサイズは縦13㌢×横25㌢とコンパクトで持ち運びに便利です。

 価格は1点3960円。誠屋各店で受け付けており、受注後、ニィニ社のデザイナーが持ち込まれた服の生地や色味に合わせて配色を施し、1カ月ほどで手元に届きます。

 作例として澁谷さんが見せてくれたのは、90センチの幼児用半袖Tシャツが縫い付けられた、かわいらしいエコバッグ。「数年前に家族4人で作ったおそろいのTシャツを再利用しました。下の子が1歳の時に着ていたものです」。  

 サイズアウトしてしまったけれど捨てられないベビー服などが持ち込まれることが多く、利用者からは「子どもが小さかった頃の思い出がよみがえって幸せな気分になる」といった声もあるそう。

 「現在は店頭のみの受け付けですが、今後はECサイトでの販売も予定しています」と澁谷さん。「小さな汚れやシミがあったとしても、それは家族の思い出が詰まった証しでもある。そんなリメイクエコバッグを通して、環境問題に取り組むきっかけにしてもらえれば」と話しています。

 問い合わせは、誠屋・事務所=044(712)4671まで

「ニィニ」でのエコバッグ製作風景