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9月は防災月間
アウトドアスキルを活かして

9月は防災月間  アウトドアスキルを活かして
記者もメタルマッチを使って火起こし体験

アウトドアスキルが災害時に役立つと聞いて、川崎市黒川青少年野外活動センターで「ロープ結び・簡易タープ・火起こし」に挑戦してきました。

 近年のキャンプブームで、さまざまなアウトドアスキルを身に付けてキャンプを楽しむ人が増えています。このスキル、災害時に役立つことも。9月は防災月間。いざというときにも慌てないで生活できる簡単なスキルを教えてもらいました。

 訪れたのは川崎市黒川青少年野外活動センター(麻生区)。親子防災デイキャンプの開催や、小学校などでの防災に役立つアウトドアスキルの普及を行っています。 

■基本の結び方3つをマスター

 まずはロープの結び方。基本の3つをマスターすれば日常でも役に立ちます。

 結んでから長さ調整ができる「自在結び」、棒や柱に結び付けるときにしっかり巻ける「巻き結び」、ロープを足すときなどにきちんと固定できる「本結び」。ポイントはどれも簡単にほどけることです。非常時に貴重なロープ。結び目を切らずに無駄なく使えます。

自在結び
資料提供 川崎市黒川青少年野外活動センター
資料提供 川崎市黒川青少年野外活動センター

■ブルーシートとロープでタープ作り

 これらの結び方を利用すると、100円ショップで買える材料で、災害時の日よけや雨よけにもなる簡易タープが作れます(作り方は下記参照)。

 用意するのは180㌢四方のブルーシート1枚、ペットボトルのキャップ4個、ロープ4本(6㍍程度2本、3㍍程度2本)、長さ180㌢程度の園芸用支柱2本(棒や柱があれば代用可)、ペグ6個。

簡易タープの作り方

①ブルーシートの四隅にペットボトルのキャップをくるむ。シートを三角に折った両端の2カ所を長いロープの真ん中で、残り2つの隅を短いロープの端で、巻き結びで固定(風が吹いてもシートとロープがしっかり固定できるため)。

②長いロープを使ったほうの角と支柱の先端を合わせ、支柱に巻き結びでくくりつける。

キャップをくるんだ箇所と支柱の先端を合わせ、巻き結びで固定

③支柱を立てる。

④支柱の近くに2カ所ペグを刺し、それぞれにロープを通し、折り返したところを自在結びで結ぶ。

支柱が倒れないよう、ロープを使い2カ所で固定

⑤ロープの長さを調節する。

⑥残り2つの角を持って広げた延長線上にペグを刺し、ロープを通し、折り返したところを自在結びで結ぶ。

※ロープの長さが足りない場合は本結びで足す

今回はペグの代わりに椅子を使用

これでタープが完成です!!

資料提供 川崎市黒川青少年野外活動センター

■メタルマッチで火起こし

 マグネシウムの棒を金属の片でこするメタルマッチを使った火起こしも教えてもらいました。雨に濡れても使用できるのが特長。コツさえつかめば簡単に使えます。数百円から買えるので、一つ持っていると災害時に便利です。

 麻紐をほどいて丸めたものにメタルマッチで着火します。麻紐がない場合はフェザースティックで代用。薪にナイフを当て、ナイフの先端を他の薪で叩きながら細く割っていきます。先端をそぐようにナイフを入れると着火しやすくなります。

ナイフで薪を細く割る
フェザースティック作り

■自然の中で生活の知恵を働かす 

 これまで紹介してきたのは、自然の中での生活の知恵「ブッシュクラフト」のスキルです。キャンプでは、なるべく自然の中にあるものを利用しながら不足する物資を補い、楽しもうというものです。

 野口透所長は「防災スキルというと、いつ使うか分からないものを習うイメージがあり、受講までのハードルが高い。アウトドアスキルが防災に役立つ、となると習得意欲が湧きやすい」と話します。身に付けるとキャンプに行きたくなるかも。災害時にもさまざまなところで応用できそうですね。

【川崎市黒川青少年野外活動センター】 ☎︎044(986)2511